東アフリカにおける干ばつと人道危機
日本のメディアカバレージは極めて少ないが、「アフリカの角」と呼ばれる地域(エチオピア、ケニア、ジブチ、ソマリアなど)における干ばつをきっかけとした危機が深刻な状態となっていることをご存じであろうか。 この干ばつは東アフリカにおいて過去60年で最悪のものであり、1240万人に対する人道的な支援が必要であるとされている。特にソマリア南部の状況は深刻で国連は一部地域が「Famine(飢饉)」の状況にあると宣言した。「飢饉」という言葉が使われるのは19年ぶりのことだ。 今回の危機の特徴は、要因が複合的であると云うこと。60年ぶりの大干ばつに輪をかけたのは、折からの食糧・エネルギー価格の高騰。さらにソマリアにおいては、91年以来の内戦状況がある(現在も国を実効支配する勢力が存在しない)。被害が大きい中南部を支配しているのは海賊行為で有名になったアル・シャバブと云うアルカイダ系のイスラム過激派。AU軍の攻勢により、8月6日に首都モガディシュから撤退したものの、非イスラムからの援助物資受け入れを制限しており、緊急に食糧が必要な人々に物資が適切に届かない状況が続いている。天災に人災が重なり、事態の深刻化を招いているのは我が国の状況と同じだ。 国際社会も救援に動いている。今動けば、被害を最小限に抑えることができる。我が国も遅ればせながら食糧援助(500万ドル)、緊急物資供与(5000万円)など緊急支援を開始した。先日、国連4機関(WFP,FAO,UNICEF,UNHCR)が日本記者クラブで共同記者会見を行ったが、ツイッターでは「東日本大震災への支援がまだまだ必要なのになぜ遠く離れたアフリカに支援をしなければならないのか」と云う反応が多かったそうだ。東日本大震災への支援が必要なのはその通りだ。しかし、世界の別のエリアで未曽有の危機が起ころうとしている時に見て見ぬふりをしていいのだろうか。東日本大震災での学びは地球村においては「お互い様」と云うこと。実は「アフリカの角」地域からも日本は物心両面での支援をいただいている。次は腐っても経済規模世界第3位の日本がお返しをする番だと思う。