アフリカから見る国際情勢

[韓国語または韓国] カテゴリの記事

全25件 (25件中 1-25件目)

1

• 

  茶房「李白」

  　昨日は午後自転車で自宅界隈をポタリング。下高井戸、経堂あたりは道路が複雑で何回通っても迷ってしまう。真夏の日射しをあび、汗だくになって向かったのは茶房「李白」。小田急経堂駅から徒歩5分くらいのところにひっそりとある一軒家の茶房。ここだけ違う風が吹いているようだった。  　李白は中国の詩人の李白ではなく、李氏朝鮮時代の白磁と云う意味らしい。店に入ると美しい白磁の壺が迎えてくれる。  　この茶房はもともと神田神保町にあった韓屋（韓国の古民家）。昔神保町には一軒家の個性的な茶房がたくさんあった。僕ももっと若い頃は、休日に東京堂で本を探索、どこかの茶房で一息をつくのが好きだった。でも今はドトールのようなお店しかない。とにかく、この店の主人は神保町にあった韓屋をそのまま経堂に移転して、茶房を開いたようだ。　韓国茶を頼む。木の実のお茶と言っていた。優しい味。隣にあるのは韓国の餅のお菓子2種とサクランボ。友達に勧められた玄侑宗久の本に没頭。  　インテリアが素晴らしい。テーブル、椅子、さりげなく置かれている棚などどれをとっても味がある。   　静かに読書をしたり、会話を楽しんだり。そんな気分の時にどうぞ。

  2012.07.17

  コメント(4)

• 『パーマ屋すみれ』

  　昨日は新国立劇場に『パーマ屋すみれ』を見に行ってきた。九州三池炭鉱にある通称「アリラン峠」を舞台に戦後の在日コリアンの哀しくもやるせない日々を時にシリアスに時にユーモラスに描いた佳作。　炭鉱事故の際に仲間を助けにヤマに入り、その結果一酸化炭素中毒の後遺症に悩まれる主人公姉妹夫婦が生活を守るために戦い、傷ついていく姿は痛々しい。しかし、「死んではいけない」と運命を背負って生きて行く。　2008年に『焼肉ドラゴン』で大阪の在日をテーマにした作品を世に問うた鄭義信が監督。主演は僕の好きな南果歩。逆況の中で強く生きる「パーマ屋」在日コリアン女性を好演した。一酸化炭素中毒のため体が不自由になってしまう南果歩の夫役の松重豊の演技は圧巻。多くの方に見て欲しい作品なのだが、残念ながら昨日が最終日。前回の『焼肉ドラゴン』は東京の後、ソウルにも遠征、彼の地でも好評を博した。今回もそのような公演が計画されているのだろうか？  

  2012.03.26

  コメント(1)

• 

  南漢山ハイク

  　マラソン翌日の19日は北朝鮮国境の都羅山駅と統一展望台見学に行く予定だった。しかし、残念ながら月曜日のツアーはないことが判明。おまけに月曜日は美術館等も軒並み休み。そこで考えたのは山歩き。　ソウルは四方を山に囲まれている。有名なのは北漢山。市内からよく見える急峻な岩山で麓には大統領官邸である青瓦台がある。しかし、この山に登るためには本格的な準備が必要。そのため、簡単に登ることができるソウル南方にある南漢山に行くことにした。　地下鉄を乗り継いで約一時間、8号線の山城駅下車。そこからタクシーで南漢山の登り口へ約15分。南漢山には昔城があり、元軍がソウルを陥落した後、当時の李氏朝鮮王朝はここに機能を移し、立て篭もったと云う。日本の占領時代にもここにはレジスタンス軍が潜んでいた。　山は四方を城壁に囲まれている。ぐるっと回ると2時間くらい。   西門には南漢山城跡があり、守禦将台と呼ばれる守備軍の詰め所が再現されていた。色彩が非常に鮮やか。  　この日天気は薄曇り。ちょっと霞んでいるがソウル市内が一望できた。ソウルの拡大ぶりには目を見張るものがある。実際、南漢山麓にも高層マンション群が伸びていた。    

  2012.03.25

  コメント(0)

• 

  ソウル食べ歩き

  　ソウルでの楽しみの一つは食。今回もよく食べた。　マラソン前夜は参鶏湯を食べたと書いたが、お店は景福宮の近くにある「土俗村参鶏湯」。韓国でもよく知られたお店だ。  　マラソンを走り終わった後は、良質のたんぱく質の補給が必要ということで蚕院（チャムウォン）洞にある納豆汁（チョングッチャン）のお店（「チョンジュ・チョングッチャンチプ」）に行く。ごはんに豆腐や野菜を乗せ、その上から納豆汁をかけてビビンバにしていただく。臭みがあるがなかなか美味い。蚕院洞のあたりにはカンジャンケジャン（蟹のしょうゆ漬け）で有名なお店が並んでいる。   　マラソン翌日の朝はお粥。ホテルからつながっている地下街にあった普通のお店で黒ゴマ粥。滋味深い。    　帰国する朝は初めて韓国に来た時（1983年）にも入ったことのある「里門ソルロンタン」で雪濃湯（ソルロンタン）を食べる。場所は鐘閣にあるYMCAホテルの裏側。以前あった場所から移転して、綺麗なお店になり、味もすっかり洗練されていた。この間の韓国の変化とこのソルロンタンの味の変化が見事にシンクロしていた。            

  2012.03.24

  コメント(2)

• 『日本代表・李忠成、北朝鮮代表・鄭大世　それでも、この道を選んだ』

  　寒い日が続く。年末年始に風邪をひいて以来、体調が優れない。二週間後に迫った若潮館山マラソンに黄信号。　さて、今日紹介するのは李忠成と鄭大世の二人のストライカーを取材しノンフィクションの書物。対照的ではあるが、選択の本質を一にする二人の在日コリアンアスリートの物語である。　『日本代表・李忠成、北朝鮮代表・鄭大世　それでも、この道を選んだ』（古田清吾+姜成明、光文社刊）。　李忠成は「り・ただなり」の名で日本国籍を取得し、日本代表を目指す。昨年1月のアジアカップで豪との決勝の延長で決勝点となる芸術的なボレーシュートを決め、一躍有名になったのは記憶に新しい。最近サンフレッチェ広島から英国プレミアリーグ2部のサウサンプトンへの移籍が決まった。　鄭大世は父が韓国籍、母が北朝鮮籍。民族学校教師の母親の影響で朝鮮学校に通う。そのような環境で北朝鮮代表を目指すことは自然の流れであったようだ。しかし、韓国籍である鄭大世が北朝鮮代表となるためには、1．他の国の代表経験がないこと、2．その国のパスポートを所持していること、の2つの条件をクリアする必要があった。難問は2。たまたま韓国のパスポートを所持していなかったため、関係当局に働きかけた結果、北朝鮮からパスポートが発給されることになる。2010年、北朝鮮の44年ぶりのW杯（南ア）に出場に貢献したのは記憶に新しいところ。川崎フロンターレで活躍した後、現在独ブンデスリーグ2部のボーフム所属。　さて、この本は在日コリアンの二人が「在日」と格闘し、それぞれが日本、北朝鮮の代表を目指す心の軌跡を描いている。しかし、正直に云うと、共著の二人（古田清吾、姜成明）の筆は力不足であり、内容的には物足りなかった。在日コリアンであるという二人の背景に関する掘り下げが足りず、描写も表面的、また、アスリートとしての二人の内心の葛藤にも十分迫れていない。しかし、二人の物語はまだ途上。次回作も期待したいところだ。 

  2012.01.16

  コメント(2)

• 北朝鮮の携帯電話事情

  　北朝鮮の金正日の死去が伝えられたのは19日。メディアでは金正恩後継体制の行方が盛んに議論されている。当面は様子見と云うのが多くの識者の見方。多くの北朝鮮関連報道の中で僕が注目したのは北朝鮮の携帯電話に関するもの。　 先月20日、ロイターは北朝鮮は2008年に携帯電話を解禁。エジプトの大手携帯電話会社であるオラスコム・テレコム社と4年契約を結び3G回線の敷設を開始、今年末までに加入者が100万人に到達する見込みとなったと報じていた。北朝鮮の人口は約2400万人なので普及率は4%と云うことになる。これは決して高い数値ではないがわずか2008年時点では普及がほぼゼロの状態だったことを考えると爆発的な普及速度と云ってもいいのではないか。　 ロイター報道の出所は米国のシンクタンクであるノーチラス研究所の報告書とあったので早速読んでみる。以下、その概略。・実は北朝鮮は一度携帯電話の普及に乗り出したことがある。2001年からタイのLoxley Pacific社との提携によりGSMネットワークによる携帯電話の試験的導入がなされたのだが、2004年に発生した龍川駅における爆発事故（金正日が乗車していた鉄道 が同駅に接近していたため、暗殺を狙ったものではないかとの憶測を呼んだ）において、火薬の点火に携帯電話が使用されていた可能性があるとされたことから、その後、携帯電話の普及は見送られた。・一度見送られた携帯電話普及計画であるが、2006年頃から、前述のオラスコム・テレコム社との接触が始まる。なぜ、オラスコムなのかは不明。オラスコム社のCEOは4度も北朝鮮を訪問、金正日とも食事をするなど信頼を得ていた。＊ちなみにオラスコム・テレコム社はアフリカでもMTN、VODACOM（共に南ア）に次ぐ規模の通信会社で、エジプトのほかにアルジェリア、中央アフリカ、ブルンジ等に進出している。 ・2009年、オラスコム・テレコム社75％、朝鮮逓信会社25％の出資で合弁会社を設立、サービスを開始。・ピョンヤンの20代～50代の世代の60％が携帯を使用、特に若者世代と商人にとって、携帯は必需品となっている。・当局は携帯によるコミュニケーションの監視を行っているが、急激な普及に当局の監視能力が追いつかないと云う事態も発生している。・携帯電話普及に関して、北朝鮮はすでにルビコン川を渡ったと云える。2004年に戻ることはできない。 ・ちなみにオラスコムの契約は2012年まで。懸案の一つは国際的な銀行システムと接続していない北朝鮮で得た利益をどのようにエジプトに送金するかと云うこと。 ・携帯電話を含むIT政策の立案にあたっては、中国の経験を参考にしている。金正日は2001年及び2006年に中国を訪問した際にIT企業を数多く訪問しているが、現在、北朝鮮で使用されている携帯電話器材は2006年に訪問した華為技術公司製（＊この会社は日本では有名ではないが、エリクソンに次ぐ世界第2位の売上高を誇る。ここまでが概略）。　北朝鮮のIT政策の立案には金正恩の見解も反映されていると云われている。金正恩の指導力は全くの未知数であるが、このように見てくると、これまでのように情報を統制、監視することは容易でないことがわかる。　北朝鮮の携帯電話普及を担っているのがオンゴーイングで「アラブの春」を経験しているエジプトの企業であることが北朝鮮の将来に対する暗喩であるようにも思えるのだ。    

  2011.12.24

  コメント(4)

• 

  有楽町界隈で飲んだくれる

  　恒例の皇居駅伝大会は大雨のため棄権。昼過ぎからひどい雨が降ってきたのでおそらく大会そのものも中止になったのではないか。　路頭に迷ったランナーたちは当然、宴会場に流れる。まずは集合時間前に一人でJR有楽町そばのまんぷく食堂へ。軽く一杯飲みたかったのだ。  　昼間は発泡酒がジョッキで180円とのこと。串揚げと牛もつと豆腐の煮込みを肴にジョッキを2杯かたむけいい気持。  　そこから打ち上げ会場の「韓豚屋」へ。ここは有楽町―新橋間のガード下、アートスポーツ日比谷店の目の前にある韓国料理の店。コンセプトはレトロな韓国の屋台。店内にはアルミの椅子が無造作においてあり、たくさんの看板がぶら下がっている。韓豚と云うだけあって、分厚いサムギョプサルがウリで美味い。店員も感じがよく、杯が進む。   　2時間で完全に出来上がり。走ってもいないのに飲むだけ飲んでちょっとした罪悪感。家に帰るとボジョ―レ―ヌーボーが待っている。来週はつくば。千々に乱れるわが心。   

  2011.11.20

  コメント(4)

• KollaBoに行ってきた（韓国忘れられない味）

   　過去、韓国で食べた忘れられない味が二つある。一つは92年初夏に大田で食べた冷麺。大田駅でタクシーの運転手に「何かうまいものが食べたいので紹介してくれ」と頼んだところ連れて行かれたのが冷麺屋。緑豆で作られたかなり細めの麺が、滋味のある汁に絡み合い絶妙の味だった。　もう一つは87年冬にソウルの武橋洞でたまたま入った店で注文した純豆腐（スンドゥブ）。ちょうど昼時で「模範食堂」（ソウルオリンピックの頃、韓国政府が外国人にお薦めできる食堂をそのように指定していた。ムクゲのマークが目印）だったので何も考えずに入った店だった。多くのサラリーマン客が食べているのが何やらぐつぐつと煮たった真っ赤なスープとご飯の定食。「あれをお願い」とでてきた純豆腐チゲはアサリだしの真っ赤な辛いスープにおぼろ豆腐、真ん中に卵の黄身がドンと乗ったもの。辛いのに豆腐が優しくて、海鮮ダシが効いていた。これも忘れられない味だ。　昨日、池袋のLABI日本総本店（すごい名前だ）の7Fにある「KollaBo」に行ってきた。この店は韓国料理を専門にしている9つの店舗の協力でいろんな味が楽しめると云うコンセプトの店で前から気になっていたのだ。　カンジャンケジャン（ワタリガニのしょうゆ漬け）は期待通りの味。マッコリと一緒においしくいただく。海鮮チジミもほくほくして美味い。しかし、楽しみにしていた純豆腐チゲはあれっと云う味。まず、ぐつぐつしていない。卵をほぐすと妙にマイルドな味になり、辛さがどこかに消えた。スープにはカキも入っていてコクがあるはずなのだが、何かべたべたした感じがする。これはまずい。　純豆腐チゲは「ソゴンドントッペギ」（漢字で書くと「小公洞土鍋」）と云う店が出しているメニュー。小公洞とはソウルの中心部にあり、何やらそこには純豆腐ストリートがあるらしい。この店は1962年に開店した老舗だ。それがなぜこんなにもまずいのか。　人の舌などいい加減なもので、忘れられない味などと云っても、同じものを今食べたらまた同じように美味しいと感じるかはわからない。特に最初に食べて「おいしい」思ったものは多少美化されて記憶に残る傾向がある。しかし、純豆腐チゲはその後も何度も食べているが、87年のものを上回る味に出会ったことはない。今回のはずれでまた、87年伝説は継続されることになった。 

  2011.11.18

  コメント(6)

• 韓国プロ野球の巨星逝く

  　韓国出張中、夜中に目が覚めて何気なくテレビを見ると、二人のプロ野球選手の追悼画像が流れていた。崔東源と張孝祚。1982年に創設された韓国プロ野球の草分け時代を代表する二人が今年の9月に相次いで亡くなっていたのだ。 　崔東源は後に中日の抑えとして活躍した宣銅烈と並んで80年代の韓国プロ野球を代表する投手であった。1980年、僕はたまたま彼の投球を後楽園球場で見ていた。この年、日本で世界アマチュア野球選手権が東京で開催され、崔東源が投げた試合を偶然にも僕は見ていたのだ。とにかく球が速かった。その時の韓国チームの相手がどこであったのかも思い出せないのだが、その球の速さに度肝を抜かれたことだけが記憶に残っている。 　1987年に宣銅烈と投げ合い延長15回で引き分けた伝説の試合があり、これは今でも画像で見ることができる。この試合の崔東源からは剛速球投手と云う印象は受けないかも知れないが、80年に僕が見た時の彼は江夏の全盛期を彷彿させるものだった。　 http://www.youtube.com/watch?v=fYurGqQIY0M　84年の韓国シリーズで、所属していたロッテジャイアンツを優勝に導いた(一人で4勝を挙げた）のが彼の最盛期だった。その後、今で云う選手会を作ろうとして球団にうとまれ、90年に引退。投球そのもののまっすぐな男であったようだ。　まだ、53歳の若さであった。合掌。  

  2011.11.10

  コメント(0)

• 再びソウルへ

  　昨日、今日と韓国出張。9月に続いて今年2度目の出張だ。韓国は2009年に先進国クラブであるOECD（経済協力開発機構）の一つの委員会であるDAC（開発援助委員会）に加盟した。日本の加盟は1961年なので実に50年間「次の」アジアの国の加盟を待っていたことになる。　韓国のDAC（開発援助委員会）での活動は活発だ。11月末に釜山でDACのハイレベルフォーラム(HLF4)が開催され、援助の効率性に関する議論が行われる予定であるが、韓国はホストカントリーとして重要な役割を果たそうとしている。実に頼もしい。　韓国の援助はこれまでアジア諸国に対するものがほとんどであったが、OECD加盟に伴い、援助が必要とされるアフリカへの援助も拡大している。そのため、今回は韓国の関係機関と意見交換を行い、将来の連携について議論を進めてきた。　韓国には途上国の開発の実施機関として技術協力と無償資金協力事業を担当する韓国国際協力団（KOICA)、借款事業を担当する経済開発協力基金（EDCF)がある。日本では国際協力機構（JICA)が一元的にこれらの事業を担っているが、2008年の組織統合（技術協力と無償を担当するJICAと借款を担当するJBICの海外経済協力部門の統合）前の姿に似ている。　ただ、今回改めて感じたのは韓国開発院（KDI)の存在の重要性だ。KDIは300余名の職員を擁する研究機関で韓国の開発に関する経験の体系化を図り、それを途上国の開発に役立てようとしている。このような研究機関は日本にはない。 　KDIは途上国の要請や国際機関の委託で主に政策レベルの協力を行っている。日本では政府（各省庁）、JICA、大学等の研究機関に分散している協力を取りまとめて実施しているイメージだ。　もちろん、実際にはKDIも韓国政府やその他の研究機関との関係は綺麗事ばかりではないだろう。しかし、政府として開発に関する研究組織を一元化している点では日本よりも一歩も二歩も進んでいると感じた。　その韓国はアフリカへの関心を深めており、今回訪問したどの機関もそれぞれ積極的に動いていることが確認でき、日本との連携も期待している。　これまで開発援助の世界では欧米諸国が先行し、それを日本が追うと云う構図があった。日本が出る杭になると打たれた。アジアの開発思想なり、経験なりを披露しても日本だけの経験と理解を得るのに苦労してきた。しかし、今後は韓国と組むことが可能になった。特にアフリカにおいては日韓の利害もぶつかることは少ないため、連携もスムーズだろう。この機会に相互理解を深めて具体化を進めてみたいと考えている。  

  2011.11.08

  コメント(4)

• 

  KBQバーガーを食した

  　昨日の峠走は体に良い効果をもたらしている。臀部やハムストリングスの筋肉は張っているが、脚には疲れが余り残っていない。午後、1時間30分ほどジョグをしたが、確かに尻やハムが勝手に動いてくれる。これから何回か峠走に通って見ようと思う。　さて、息子からマクドナルドで韓国バーガーが期間限定で販売されたと聞いて、さっそく試食をすることに。韓国本国では2001年に訪問した時に「キムチバーガー」なる商品が販売されていた記憶がある。それはハンバーガーの中に普通に白菜キムチが挟まっていた。僕は嫌いではなかった。　日本で販売されているのはKBQ（コリアンバーベキュー）バーガー。　注文してみると、  　包装紙には、ハングルで「マクドナルド」「コチュジャン味のブルコギ」と書いてある。パンズを開けてみると、ハンバーガーとキャベツにひき肉の韓国風のソースがかかっている。食してみると、甘い。その後に確かにコチュジャンの辛い味が追いかけてくるが、すっと逃げて行く感じ。パンチが足りない。　もう一度食べたいかと云われれば、あえて選ぶことはないだろう。中途半端なものを食べるよりは、韓国料理を食べに行った方がいい。しかし、このような商品が販売されること自体は現象として面白い。   

  2011.10.30

  コメント(4)

• 

  ソウル弾丸出張

  　中国東北地方旅行記は一休み。　先週8～9日、ソウルへ出張。ソウルに行くのは8年ぶり。ただし、ゆっくりする時間はない。8日、通常の勤務を終えて事務所を飛び出し、羽田へ。20：20発のアシアナに乗る。ソウル金浦空港には22：40到着。そこから、タクシーに乗って鐘路3街にあるホテルにチェックインしたのは24時ちょっと前。すぐに眠れないので近所のポジャンマチャ（屋台）でマッコリを引っ掛け、寝たのは2時。久しぶりのソウルは楽しい。　朝からミーティングが予定されていたが、走らないわけにはいかない。6時半に起きて、まずは清渓川を目指す。暗渠であった川を市民の憩いの場に変えた清渓川復元プロジェクト。　小雨の中、鐘路3街から鐘閣までの短い距離を往復。  　太平路から光化門、北漢山方面を眺める。1983年初めて韓国を訪問した時も、ここに立ったことを思い出す。光化門の前にあった日本総督府の建物はその後撤去された。  　ミーティングを終え、昼食に東大門近くの広蔵市場で「タッカンマリ」を食べる。「タッカンマリ」とは「鶏一羽」という意味。鶏を潰して、それにジャガイモ、トッポギ、ネギなどをかなだらいで煮込み、薬味をつけて食べる単純な料理。僕は参鶏湯の方がいい。   　夕方の便で帰国。国内出張と同じ感覚だが、もう少し余裕のある日程を組めばよかった。

  2011.09.11

  コメント(4)

• 「冬の小鳥-Une vie toute neuve-」

  　三連休初日。天気予報どおり東京も朝から雪。雪の中を走る元気はなく、下高井戸に映画を見に行く。　韓国系フランス人ウニ―・ルコント監督作品「冬の小鳥」。父に棄てられた9歳の少女が施設に預けられ、海外養子となる。監督自身の実体験がベースになった作品だ。　韓国の海外養子の歴史は朝鮮戦争に遡る。米軍兵士と韓国人女性との間に生まれた戦争孤児を米のキリスト教団体が養子として引き取るようになったのがはじまり。その後も貧困、特に婚外子に対する厳しい社会環境などを背景に海外養子は常態化、朝鮮戦争以降の50年間に15万とも20万とも言われる子供たちが海外に渡って行ったと云う。　もう名前も忘れてしまったが、僕がフランスに滞在していた時に通った在仏韓国大使館の韓国語講座で韓国人の養子に複数出会ったことを思い出した。　今では考えられないが、民主化以前の60年、70年代、貧困からの脱却、政治的・経済的な自由などを求めて韓国からは大量の移民がアメリカなどに渡っている。また、韓国人看護師がドイツなどに労働力として渡り、医療現場を支えたと云う。現在、日本がフィリピンやインドネシアから看護師を受け入れようとしているのと同じようなことが起こっていたのだ。　映画のストーリーに戻ると、家庭の事情（映画では貧困と云うよりは、父母の離婚、父の再婚というプロセスの中で新しい家庭から捨てられたという風に描かれている）。施設に預けられた主人公の女の子ジニは、その現実を受け入れられず、心を閉じ、孤独の中で日々を過ごす。ある日、怪我をして飛べなくなった小鳥を助け、小さな箱に入れて癒すが、甲斐なくその小鳥は死んでしまう。この小鳥はまさにジニの暗喩である。やがて、ジニは小鳥を埋葬したその場所に大きな穴を掘り、自らを葬り去ろうとする。　そこで再生が行われるのだ。ジニは一度死に、そして新しい生を得る。フランス語の原題であるUne vie toute neuveを直訳すると「全く新しい一つの命」。ジニは徐々に現実を受け入れ、フランスへ海外養子として一人向かう。パリの空港でジニを待つ新しいフランス人父母に向かい、しっかりとした足取りで歩くジニの全身からは現実を受けとめたけなげさとある種の決意が宿っていて心が震えた。　現在韓国にはこうした海外養子が立ち上げたNPOがあり、実の父母との再会や韓国との関係づくりなどを支援していると云う。先進国入りするプロセスの中での「負の遺産」とも云えるこのような歴史に社会として向き合っていることを感じることができる。この映画もそうした歴史との対話の一つと云うことができるだろう。　「冬の小鳥」オフィシャルサイト     

  2011.02.11

  コメント(2)

• 

  中国・延辺朝鮮族自治州を行く（おまけ）

  　延辺からの帰路、北京に一泊した。北京に行くのは初めて。宿泊先が北京中心部、建国門そばの日本で言えば大手町のようなところだったこともあるが、街のスケールの大きさに度肝を抜かれた。　到着後、地下鉄で2駅先の王府井へ。巨大な繁華街を見ながら、世界のどこにも似ていない街だと感じた。正直言って僕の好みにはあわない街だが。延吉は20年くらい前の韓国にタイムスリップしたような印象の街で住みやすそうであったが、北京には住みたいと思わなかった。　最後に中国語。僕は中国語が音として好きになれず、学習する意欲がわかなかった。それでも、今回は目から入ってくる情報（簡体字）が多少わかるようにと入門書を買った。簡略化するパターンを理解したので多少推測できるようになったが、風情はない。やはり、意欲がわかない。　閑話休題。延辺空港で見つけた看板。日本語で読むとおかしい。漢字文化圏ではこの手のダジャレ的楽しみはある。   

  2010.08.13

  コメント(4)

• 

  中国・延辺朝鮮族自治州を行く（その5）

  　固い話が続いた。今日は柔らかい話題を。昔青年海外協力隊の日本語教師として延吉で活動していた知り合いがいる。旅行に際しての彼女のアドバイスは、補身湯、冷麺はぜひ食べた方がいい。マッサージが安いのでぜひ、ということだった。　冷麺は「地球の歩き方」に紹介されている「金達菜飯店」へ。普通の冷麺が15元（約200円）。麺のコシが尋常ではなく、顎が疲れるが、うまい。　補身湯（犬肉のスープ）は「梅光狗肉館」で食べた。日本の朝鮮族料理屋で食べたものよりもさっぱりして洗練された味。宿泊した柳京飯店近くの朝市（水上市場）では皮を剥がされ手足を縛られて売られている犬がずらっと並べられていて、度肝を抜かれたが、延辺では普通に食べるようだ。一杯12元（約150円）。　また、もともと新彊ウイグルの料理である串焼きもうまかった。10年前くらいから延辺の方々が独自に料理法を開発したということだが、唐辛子とクミンで味付けした羊、牛、鶏肉を炭火で焼く。締めは冷麺。今度はトウモロコシ麺の冷麺に挑戦。トウモロコシの甘みとほのかに辛いスープがマッチする。　三合鎮で食べた地鶏料理も絶品だった。タッカンマリ（鶏一羽）という料理は蒸した鶏を一羽すべて食べつくすものそれぞれの部位を食べ比べることができる。また、野菜炒めの松茸も食べた（写真右にちょっと見える）。もったいない感じもするが、香りと食感を楽しむ。奥に見える黒いものはスンデ（豚の腸の皮におコメなどを詰めたもの）、手前にちょっと見えるのは山菜炒め。　マッサージにも行った。全身を一通りマッサージする一時間の基本セットがわずか30元（約400円）。安いのでそろってマッサージを受けている家族も多かった。技術はいまいちだが、中国風のマッサージは豪快で力のこもったものだった。 　

  2010.08.11

  コメント(2)

• 

  中国・延辺朝鮮族自治州を行く（その4）

  　中国にいる朝鮮族の人口は約200万人。その多くは延辺朝鮮族自治州を擁する吉林省、さらに遼寧省、黒龍江省からなる東北3省に住んでいる。延辺朝鮮族自治州の人口は220万人。約4割が朝鮮族ということなので自治州の朝鮮族人口は88万人という計算だ。延吉、図們、龍井の3市は朝鮮族の割合が高く、約6割。しかし、1950年代の初頭は自治州全体で約6割が朝鮮族だったということなので、朝鮮族の割合は相対的に減少している。理由を単純化すると、朝鮮族の流出と漢族の流入ということになる。　特に1992年に韓国と中国が国交を樹立して以来、韓国への出稼ぎ労働者が急増した。さらに中国国内でも韓国企業が進出した都会に移り住むケースも増えている。（もっとも逆に、例えば延辺大学には500人もの韓国人留学生が在籍しているそうだ。目的は中国語学習）。その結果、今回通訳等を依頼した朝鮮族の方の子供が通っている学校では一クラス52名の内、両親とも延辺にいるのは11人に過ぎず、残りは片親、あるいは両親が出稼ぎに行っているとのこと。背景には朝鮮族の旺盛な教育熱（聞くと日本以上の受験地獄で塾通いも普通とのこと）があるが、親がいないことによる社会問題も深刻化しているという説明であった。　下の写真はあるビルのものだが、2階には、出稼ぎ、結婚（韓国人男性が嫁ぎ先として多いそうだ）、留学斡旋と思しき看板が並んでいる。象徴的だ。 　そもそも自治州の「自治」とは何か、きちんと調べる必要があるが、聞き取りをしたところ、学校教育で朝鮮語が公用語の一つとされていること、街の看板、交通表示等においては中国語と朝鮮語の併用が義務付けられていること、役所の発行する資料等において、朝鮮語専門のものがあること、等など。つまり公的空間において朝鮮文化が公認されているということが一つの表れだ。（財政の仕組み等はわからなかった）。役所における職員の数なども、明文化されていないものの、人口比である4割強が朝鮮族だという。　ちなみに、街の建物の看板、バスの広告等は中国語とハングルが併用されている。ハングルを解する僕も表意文字である漢字を先に読んでしまうが、簡略文字のために理解できないことも多く、ハングルで読み直すという繰り返しで、頭が疲れてしまった。また、ハングルのフォントも最近の韓国のおしゃれなものと、草書体のような北朝鮮流のものが混在しており、疲れを倍加させた。 　このような状況の中、中国政府が延辺朝鮮族自治州における漢族の影響力拡大を進めていることは確かだ。それは北朝鮮崩壊のシナリオと関連する。近い将来北朝鮮が崩壊し、現在の韓国が形はどうであれ、統一韓国（朝鮮）を形成した場合、延辺の朝鮮族に動揺が走ることは間違いなく、場合によっては統一韓国への自主的統合という動きが出てくるかも知れない。中国政府が怖れるのはこうした動きだ。そして、それは朝鮮族にとどまらず、チベットやウイグルといった他の有力少数民族に波及することも考えられる。それは絶対防がなくてはならない。もっとも、このまま朝鮮族の人口が減少すれば、一種のアファーマティブアクションである「自治州」制度も消滅する可能性がないとは言えないが。難しい問題だ。　ちなみに日本に来る中国人留学生の内、東北三省の出身者は約20万人で全体の35％を占めると言う。朝鮮族は元々日本語学習者が多く、そのうちかなりの数を占めると言う。新大久保や池袋などには東北中国のレストランが多く、その中には延辺料理屋も結構あるようだ。 　

  2010.08.09

  コメント(0)

• 

  中国・延辺朝鮮族自治州を行く（その3）

  　北朝鮮との国境から離れて、詩人尹東柱の生家に向かう。尹東柱については昨年のブログで書いたことがある。韓国の国民的詩人だ。生家は三合鎮からほどない智新鎮（当時は明東村）にあった。尹東柱の曽祖父が今の北朝鮮から延辺朝鮮族自治州に移住したということだ。逆算すると1700年代か。今回訪問してよくわかったが、この自治州は土地が豊かだ。車で走るとトウモロコシや小麦の大規模な青々とした畑が続く。　祖父は小地主であり、地域のキリスト教信者の長老を務めていた。父は尹東柱が生まれた時は地元の学校の先生だった。生家は村人達によってきれいに保存されていたが、地元の名士の息子だったということだ。　そこから龍井市に向かう。龍井市は日本の統治時代、この地域（間島）の中心地であり総領事館が置かれていた町だ。今でも当時の総領事館は市役所として使われている。堅牢な建物だ。植民地時代の日本の建築技術の高さを知ることができる。　続いて尹東柱が学んだ大成中学校を訪ねる。詩碑があり、韓国人観光客を乗せた大型観光バスが何台も止まっている。この中学校は近隣の学校と統合し、龍井一中として今でも使われている。学校には観光バスが似合わないが。　詩碑に刻まれているのは「序詩」以前紹介した有名な詩。それにしても韓国人は詩が好きだ。日本では日本人詩人をあげよと言われてもさっと出てこない。ところが、韓国の詩人は幸せだ。韓国の書店に行くと詩のコーナーが非常に大きいのに驚く。何が違うのだろうか。   　  

  2010.08.09

  コメント(0)

• 

  中国・延辺朝鮮族自治州を行く（その2）

  　昨日はアートスポーツ池袋店鈴木店長主催のウルトラマラソンクリニックに参加。昨年も参加したが、9月26日の秋田内陸チャレンジウルトラマラソンに向けて、あらためてウエアリングやレース中の補給方法などを確認。普段の練習もLSD、トレラン、インターバル走と目的を明確にし、走行距離も増やしている。先月は初めて250キロを越えた。来シーズン前半はこの秋田と11月23日の大田原（フル）を目標にしている。秋田は12時間、大田原は3時間40分を目標に設定。後半は東京マラソン（当たれば）を軸にこれから設定するが、あこがれのサロマ湖ウルトラを最後の目標にしたいと考えている。とにかく練習あるのみ。　さて、旅行記の続き。8月1日は延吉から中朝国境の街図們に足を延ばす。往路は鉄道で。約1時間の短い距離ではあったが、快速列車に乗る。旅行中は天気に恵まれたが、延辺付近では、直前の7月末に大雨が降り、洪水、土砂崩れ等の被害が発生。車窓からも増水して濁流となった川の様子やところどころ作物が水に浸ってしまっている畑や川に抉られた河岸等が見えた。延吉駅構内の様子。　　図們駅からは借り上げた車で北朝鮮との国境施設へ。日曜日であったため、税関等はお休み。国境ゲートの上に登ったり、図們大橋を国境線の真ん中まで歩いたりして、北朝鮮側（南陽市）を望む。最初の印象はとにかく近いということ。この地点での豆満江の川幅は、下流の多摩川よりも狭い。100メートルくらいか。増水していなければ泳いで渡れそうな近さだ。脱北者の気持ちがよくわかる。中国側は我々のような観光客がぽつぽつといるが、北朝鮮側は人っ子一人ない。中国側は雰囲気は緩く、緊張感はゼロ。監視員も橋のたもとに軍人が一人いるだけ。記念写真を撮っている観光客の足元の白い文字の先が国境線。　　図們からは川に沿って、左側に川と北朝鮮を望みつつ、三合鎮という村まで約80キロを乗用車で南下。途中、増水した川が道まで浸水しぬかるみにはまるような場面もあり、悪戦苦闘。説明によると中国側では定期的なパトロールを行う程度だが、北朝鮮側は脱北者等の監視のため、密に警備員を配置しているようだ。北朝鮮側には川に沿って線路が敷かれており、駅舎も見える。この地帯は両岸とも山岳地帯であるが、北朝鮮側の山は上の方まで開墾されているか、禿げ山の様相を呈しており、中国側が堂々たる山林地帯であるのとは対照的だ。住民が燃料の薪を伐採してしまったのか、森林破壊がかなり進んでいる印象だ。　2時間ほど走って着いた三合鎮で対岸の会寧市を望む。人口12万というかなり大きな町だ。人々の生活をうかがい知ることはできないが、訪れたことのある朝鮮族の方の話によると、1か月の予定で出張したものの、電気はほとんど停電状態で満足なホテルもなく、早々に引き揚げてきた由。中国側は急速に発展しており、農家の家もかなり立派であり、コントラストがはっきり見える。  

  2010.08.08

  コメント(2)

• 

  中国・延辺朝鮮族自治州を行く（その1）

  　7月31日～8月4日まで4泊5日（一泊は北京）の日程で中国吉林州にある延辺朝鮮族自治州を旅行した。成田から北京を経由し国内線で約2時間。延辺の中心地延吉に到着。実質2日半の短い滞在であったが、中朝国境地帯の視察に一日、韓国・朝鮮民族にとっての霊峰である白頭山（中国名：長白山）の観光に一日、延吉市内巡りに半日を費やす。　　中国、北朝鮮、ロシアの3ヶ国が接する中国東北部の極東に位置するこの地域には、1910年の日韓併合前から、朝鮮人が集住するようになったと言う（このころ、日本はこの地域を間島と呼んでいた）。1932年の満州建国以降、終戦までは日本の領土であった。　　白頭山は、朝鮮民族の始祖とされる檀君が山神となった山であると同時に満州民族にとっても聖地であり、清の時代には封禁の地として付近一帯の立ち入りが禁止された時期もあったと言う。この地域は高句麗、渤海、高麗等、朝鮮族と女真族が覇を競った地域であり、歴史的にみても複雑だ。さらに北朝鮮の金正日は白頭山の麓で生まれたことになっており、「革命の聖山」としても喧伝されている。　　延吉を朝5時半に出発、100キロ前後で飛ばして約3時間。山門からは一般車両の出入りは禁止。シャトルバスを途中で四駆に乗り換え、1800メートル付近から一気に頂上付近（2600メートルくらい。中国側では2670メートルが最高地点）まで登る。バスや四駆は次から次へと観光客を運ぶ。ベルトコンベアーのようで風情はない。現在、徒歩での登頂はできないようで、基本的にこのコンベアを使うしかないようだ。登山ができたらもっと楽しかったのだろうが致し方がない。　　それでも頂上にあるカルデラ湖、天池を見ると韓国・朝鮮人が、あるいは満州人が聖山と崇める気持ちが理解できた。深い青色の水をたたえる周囲13キロの巨大な湖。中国と北朝鮮の国境はこの湖の中間線にある。北朝鮮側には人っ子一人見えないが、中国側では多くの観光客が歓声をあげている。僕は以前金日成、正日親子が天池をバックにしている宣伝写真（絵）を見て、天池の青は脚色された青なのだろうと思っていた。奇跡のように深く青い水を湛えた湖と言う形容は禁じ手か。 　　

  2010.08.05

  コメント(4)

• 空と風と星と詩と

  　少し前の話になるが、11月29日、立教大学池袋キャンパスに演劇「空と風と星と詩と」を見に出かけた。これは韓国の国民的詩人である尹　東柱(ユン　トンジュ)の生涯を描いた韓国の劇団による演劇。尹　東柱は戦前の厳しい時代に朝鮮文学を志し、延喜専門学校（現在の延世大学、当時、朝鮮半島においては、京城帝国大学以外は「専門学校」とされていた）に進学。しかし、やがて、朝鮮総督府の圧力により、民族的カラーが強かった同大学で朝鮮文学を学ぶことが困難になり、やむなく創氏改名（名前を日本風にする）をして日本に留学。留学先が立教大学だったのだ。　東京では文学を学びつつ、政治に目覚め、独立後の朝鮮の政治のあり方を議論する秘密結社に参加。その後、身の危険を感じ、京都・同志社大学に転校したが、その京都で逮捕。福岡刑務所で短い生涯を終える。　大学時代に彼の詩を耽読した時期があった。一見、抒情的な詩にも見えるが、彼の生き様と重ね合わせると詩は彼にとっての武器であったことがわかる。　彼の代表作品の一つである「序詩」。詩集「空と風と星と詩と」に収めてある。　死ぬ日まで空を仰ぎ　一点の恥辱(はじ)なきことを、　葉あいにそよぐ風にも　わたしは心痛んだ。　星をうたう心で　生きとし生けるものをいとおしまねば　そしてわたしに与えられた　道を　歩みゆかねば。　今宵も星が風に吹き晒される。 　    

  2009.12.12

  コメント(2)

• 岡本太郎の見た韓国1964・1977展

  　久しぶりの秋晴れ。朝から休日出勤で仕事を片付けました。午後になって疲労困憊、気分転換！と前から気になっていた川崎市岡本太郎美術館の企画展を見に行きました。この企画展は、岡本太郎が韓国に1964、1977年と2度短期訪問した際に撮られた写真や資料に加え、彼が関心を寄せた仮面劇やシャーマニズムなどにつて国立民族博物館所蔵のビデオで補うという構成でした。展示されていた旅程を見ると、それぞれ一週間程度のお決まりの観光地をめぐる訪問であったにも関わらず、物事の本質を見抜く目を持つ人の視点はさすがに凡人とは違うと改めて認識。面白い企画でしたので、関心のある方はどうぞ。　　　岡本太郎の見た韓国　1964・1977　1964年と77年の間、朴政権下、韓国は「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を果たします。岡本太郎はこの間の韓国社会の変動を肌で感じ、それを写真や文章に表しています（若干ネガティブに）。僕は1982年に初めて韓国を訪問しましたが、1980年前後からの20年間の変化は日本の高度成長期の比ではなく、開発途上国から先進国へジャンプアップした「革命的」な変化でした。岡本太郎が生きていたら、この変動をどのように感じたでしょうか。　展示資料の中に1977年に旅行した際の慶州の観光地図がありました。地図といっても、いい加減な縮尺の観光パノラマのようなものですが、僕が1982年に旅行した時に重宝した地図と同じものでした。そのいい加減な地図を片手に5日間、慶州の古墳・仏像群を求めて山の中を歩いたことが急に思い出されました。　岡本太郎は韓国には「ユーラシア大陸の透明な風が流れている」と評したそうですが、韓「半島」とは言え、大陸につながっているため、島国日本とは流れる空気や時間が違います。韓国を訪問すると何か、大きなものにつながっているような落ち着きを感じるので、時々、無性に行きたくなるのです。ああ、また韓国に行きたくなってきた。　　

  2008.09.23

  コメント(2)

• 光州5･18

  　先日、映画「光州5･18」を見てきました。韓国現代史のおさらいをすると、79年10月の朴大統領暗殺事件を受け、「プラハの春」ならぬ、「ソウルの春」と言われたのが80年春。その年の5月に市民が民主化を求めて、軍と衝突した事件が光州事件です。僕が高校生の時のことでした。　当時は、軍（政府）が情報を隠蔽したため、実際に何が起きたのか、判然としませんでした。しかし、映画にもでてきましたが、ＡＰの記者が現場に入り、打電したことから、世界に知られることになりました。今のミャンマーの情勢と似ているかも知れません。　この映画では、タクシーの運転手をしている兄とソウル大学法学部入学を目指す学業優秀な弟、そして、軍隊の出世争いに敗れ、退職、光州でタクシー会社を経営している父とその娘が主人公。当初、光州大学の民主化運動を抑えるために投入された軍隊が暴走し、市民を巻き添えにし始める。韓国では地域格差が顕著です。全羅道に位置する光州は、朴チョンヒ、全斗カン、魯テウと慶州道出身が続いていることでわかるように、政治的に差別を受けてきました。軍は、朴大統領暗殺の後の政治的空白を埋め、軍による支配を確立するため、民主化運動を抑える必要があった。そのためのスケープゴートが光州だったわけです。　何千、何万の無辜の市民が殺害されました。映画では、光州を守るために、元軍幹部のタクシーの経営者は立ち上がり、市民軍を組織、高校生の弟が殺害され、その兄が市民軍に参加します。タクシー経営者の娘は、兄を慕いながら、看護師として、市民の抵抗を支持します。　光州は日帝時代（日本が韓国を支配した1910から1945年）も抵抗をした土地柄ですが、この光州事件に関して言えば、韓国の中でこのような事件があったことは長い間、伏されてきました。約30年が経過してようやくこうして表に出て、映画になったということになります。30年はいわゆる一世代。一世代が経過することで、歴史を少し客観的に見ることが可能になったのかも知れません。　先日は、アメリカからの輸入牛の狂牛問題（ＢＳＥ）を巡って、ソウルで30万人ものデモが行なわれ、着任したばかりの李明博政権を大きく揺さぶりました。韓国はきわめて政治的な国だと思います。かつ、民意が国政に反映されるという意味で言えば、日本を大きく凌駕していると言えると思います。日本で30万人デモはありえないですよね。　

  2008.06.15

  コメント(2)

• ハングル検定受験記

  　ハングル検定の準2級を受験してきました。結果は。。。厳しい。準2級は筆記60点、ヒアリング40点の計100点満点で70点が合格点とされています。筆記が終了した段階では、合格点の7割をギリギリ確保できたかとほくそ笑んだのですが、ヒアリングが異常に難しく、自信を持って回答できたのは、3割程度。これじゃ、ダメだ。　このハングル検定、ここ2年を見ると、春季が難しく、秋季が比較的簡単という傾向があります。昨年は秋季の合格率が38％だったのに、春季の合格率は10.2％。受験した知り合いも今回は難しかったとの感想でしたので、今年も同じような傾向にあるのかも知れません。　ハングル検定協会がどちらのレベルを狙っているのか、判然としませんが、合格率が春と秋でこんなに違うのはおかしい、と八つ当たりもしたくなります。しかし、文句を言ったところで、試験が多少難しくても、ゆるぎない実力がある方は合格するのですよね。さて、もう一回がんばりますか、と一人ごちています。

  2008.06.02

  コメント(2)

• 韓国語の学習（その2）

  　僕と韓国語の出会いは高校時代に遡ります。僕は東北の日本海に面した小さな港町に住んでいました。インターネットがなかった当時ラジオの深夜放送は若者のサブカルチャーの発信源の一つでした。その深夜放送を聴くために毎晩のようにラジオのアンテナを東京方面に向けるのですが、関東と東北の間には山脈があるため、なかなかきれいに受信できない時があります。ところが、朝鮮半島からの音波は何の障害もなく、飛び込んでくる。それが東京からの深夜放送とハブリングを起こす時などは本当に悲しくなったものです。　ところが、そうこうしているうちに日本海を飛び越えてダイレクトに入ってくる韓国（朝鮮）語放送の音がとても美しいことに気づきます。韓国語はフランス語と同じように鼻音やリエゾンがあるため、特に女性が話すと美しい（偏見かもしれませんが）。だんだんと耳を傾けるようになっていきます。その後、初めてソウルの地下鉄で女性アナウンスによる「タウム　ヨグン　○（駅の名前）イムニダ。ネリシンムヌン　ウェンチョギムニダ（次の停車駅は○駅です。降り口は左側です）」という車内放送を聞いた時、その美しさに背中がゾクゾクときたものです。　さて、主にKBS（韓国放送公社）の日本語放送を聞いていましたが、韓国と言えば、独裁、軍政、民主化運動等の言葉が新聞上に踊っていた当時、市井の人々はどのような暮らしをしているのだろう、ぜひ見てみたいとの思いを募らせていきました。そして、数年後大学時代に韓国へ足を踏み入れることになります。 　後から気づいたのですが、実は僕の田舎の方言には韓国語と音が近い言葉があるのです。例えば、「ありがとう」を「もっけだこと、もっけだの」と言うのですが、韓国語で「モッケスムニダ」と言えば「ごちそうになります、いただきます」の意。韓国語で「やってみたら」を「へ　バ」と言いますが、これは田舎では親しい友人同士が使う「またね」の意です。また、語中のカ行やタ行が濁音になるところ、例えば「行く」の発音は「いぐ」となりますが、これは韓国語の発音の法則と全く同じです。70歳になる僕の叔母が田舎から東京に上京する汽車の中で友人と方言で話していたら、同乗していた東京の方から「韓国の方ですか」と聞かれたというエピソードを聞いたことがありますが、テレビによる標準語化の波が押し寄せる以前の方言が方言らしかった昔、そのように聞こえたのもむべなるべしかなという気がします。

  2008.05.10

  コメント(0)

• 韓国語の学習（その１）

   　最後の日記を書いてから二年以上が経過しました。忙しさにかまけていたこともありますが、現場から離れてしまったため、西アフリカの情報を追いかけることが難しくなり、日記を書くのが億劫になってしまったというのが正直なところでしょうか。 　タイトルを変えて再出発！と、何度も思ったのですが、そうすると大変なので、タイトルはそのまま、身の回りのことなどをぼちぼちと書いてみようかなと思った次第です。 　たまにしか更新できないと思いますが、またお付合い下さい。 　今日は韓国語の話。昨年春、釜山、慶州を旅行したことをきっかけに韓国語の勉強を再開しようと思い立ちます。大学時代に第2外国語として1年間勉強して以来、YMCAの講座に通ったりして、一時期は結構なレベルまで行ったと思っていましたが、10年くらい放っておいたため、その釜山、慶州旅行では語学力の落ち込みにがっくり。このままではいけないと目標をハングル検定合格において、系統立てて勉強する作戦を練りました。ハングル検定は5、4級が初級、3、準2級が中級、2、1級が上級レベルと分類されています。問題を見て、上級レベルは留学でもして集中的かつ数年間勉強しないと合格はおぼつかないと判断。中級レベルに照準を合わせました。昨年秋に3級は合格。ここまでは大学時代の勉強を思い出すことで、予定通り。でも、3級と準2級の間には大きな溝があり、準2級を独学でパスするのは難しそう。そこで何十年ぶり（おおげさ）かで語学学校に通うことにしました。 　通っているのは週一回の検定試験の準備講座ですが、参加されている方のレベルが非常に高い。実際、準2級をすでにお持ちの方や、この講座に通わなくても合格できそうな方ばかりがそろっている。毎回劣等感にさいなまれながら、周回遅れでついていっているところです。　目標の検定試験は6月１日。実力的には厳しいものがありますが、今月は集中的にやるぞと思っているところです。 

  2008.05.04

  コメント(0)

全25件 (25件中 1-25件目)

1