鎬の使い方の極意 その③
「鎬」を使った攻め相手の剣にすり込むように表鎬を使う先にも述べましたが、現代剣道は昔に比べ、鎬による攻防が格段に減ってきていると感じます。打とうとする気持ちが先走るあまり、攻防の重要性を忘れ、相手を制することのないまま打突に出てしまうのです。これでは、もし打突部位にあたったとしても確実な一本とは言えないでしょうし、むしろ、相手に返されてしまう可能性も高いでしょう。打突の機会は、自分の打ち間を理解し、剣の攻防で相手に勝ってはじめて生まれます。では相手に勝つとはどういう状態のことを指すのでしょうか。決してことさらに竹刀を押さえ込むことではありません。相手が打突に出ることのできない状態、もしくは出てきても容易に返すことのできる状態にすれば、それはもう勝っているということなのです。剣の攻防とは中心の取り合いです。中心を制していれば、相手のどんな打突も怖いものではありません。相手の中心を制するには、鎬を使った攻めが大変に有効です。相手の竹刀を押さえ込もうとすると、たしかに相手は身動きが取れなくなるかもしれませんが、こちらの剣先もから外れ、相手を正しく打突することができません。その点 鎬をつかえば、こちらの剣先は相手の中心を外れることなく、相手の剣先をこちらの中心から外すことができるのです。鎬を使った攻めの一番重要なポイントは、鎬を相手の剣にすり込むようにして攻め入ることです。そうすることで、こちらの剣の身幅分だけ相手の剣先は中心から外れることになります。「鎬」という言葉だけを聞くとなにかむずかしい気がしてきますが、これは四つ割りの竹刀においてもまったく同じことが言えます。四つの竹の左右二枚を表鎬と裏鎬と考え、真剣や木刀と同じように鎬をすり込んで攻め入る。そうすればかならず相手の竹刀は自分の中心から外れ、相手を制することができるはずです。「鎬」を使った攻め返し攻め入ってくると同時に相手の中心を鎬で制す相手が攻め込んできた場合に対しても、鎬は有効に使えます。攻防の中で相手が攻め入ったとき、みなさんはどのような対処方法をとるでしょうか。下がって間を切る、もしくは防御の体勢をとる、近年、試合などではこういった対処方法がよく見られます。剣道には「懸待一致」という考えがありますが、やはり攻撃と防御は表裏一体でなければなりません。間を切ったり防御姿勢をとってしまっては、一本は打たれないまでも、こちらから攻撃することもできなくなってしまいます。大野先生は「懸待一致」を地で行く人でした。相手の攻めに対し一切下がることがない。なぜそのようなことができるのかと不思議に思っていましたが答えは鎬の使い方にありました。大野先生は相手が攻め入ってきたとき、むしろこちらからその攻めに応じて一歩前に出ていたのです。その際、鎬を利かせ、必ず相手の中心を制していました。これは、手先だけでやっても通用するものではありません。相手は気の充実を感じて間合いを侵してくるわけですから、こちらにもそれ以上の気の充実と、くるならこいという気構えが必要となります。実はこの気構えが、応じ技では大変重要になってきます。攻められた時に攻め返すくらいの余裕が心になければ、応じ技は成功しないのです。ですから、応じ技を巧みに使いたいのであれば、まず、鎬を勉強し、攻めに入られても動揺しない気構えを自分の中につくっておくべきでしょう。フッ~~~~~~丸写し疲れたバイ。剣道時代こんな良いこと書いてあるなんてこの本なかなかっすねぇ~。竹刀を刀のように使い、鎬を使い攻めて応じ技を決める。自分の剣道に取り入れて たまには、試合で勝たなければ。。。