花の似合う作曲家 ヨハン・シュトラウス
ザルツブルグの青空市場は、いつも新鮮な食材でいっぱいです。手作りのハムやベーコン、自家製バターにチーズ。石窯で焼いた農家の黒パン。産みたての卵 等々見たことのない食材もたくさんありました。 市場の魅力に取りつかれた私は、毎週木曜日と土曜日を買い出しの日と決めて、それは楽しみに出かけたものです。特に新鮮な野菜が今でも忘れられません。留学して間もないころのことです。私は、ある日市場で素敵な花束に目を奪われました。その花束にはStraussと書いてある値札がついていました。Strauss(シュトラウス)って何の意味だろう?疑問に思って辞書を開いた私は、これが花束を意味することを知りました。Straussって花束のことなんだ!つまり、ヨハン・シュトラウスって花束さんなんだ!次の瞬間、私の耳には「美しき青きドナウ」の旋律が流れ、瞼には花で飾られたウィーンフィルハーモニーのニューイヤーコンサートの舞台が浮かびました。こうしてヨハン・シュトラウス=花の似合う作曲家というイメージがしっかりと私に刻まれたのでした。