おばあちゃんハーモニカ
子パンダ、この春2年生。担任の先生はおばちゃん先生らしい。おばちゃん、と言っても韓国では結婚したらみんな「アジュンマ」(おばさん)と呼ばれるので、年齢の幅は広い。「ん~、アジュンマって言ってもさ、アガシ(お嬢さん)に近いアジュンマ? それともハルモニ(おばあちゃん)に近いアジュンマ?」と聞くと、「う~ん・・・アジュンマとハルモニの間くらいかな~?」という返事。50代後半くらいか??新学期、一週間ほど通った頃、子パンダが「お母さん~先生がね、休み時間にハーモニカ教えてくれるって。 無料だよ!」ちょうど、去年里帰りしたときに友人が子パンダにプレゼントしてくれたハーモニカがある。子パンダが無料だ、とわざわざ言うのには訳がある。韓国の学校には放課後のクラブ活動というものがなく、「特技適正」と呼ばれる放課後の課外授業みたいなのが、クラブ活動に近い。だけど、それらはその学校の先生方が受け持つのではなく、外部から講師を呼んで、有料で教えてくれるものなのだよね。だから、子パンダの担任の先生もそれらとは違います、無料ですと説明されたのだと思う。ちなみに、学校にはプールはもちろん、美術室や音楽室もない。「え?じゃ、歌とか歌わないの?」「歌うよ。」「ピアノはどこにあるの?」「ピアノじゃなくて、ビデオ見ながら歌うの。」「先生、ピアノは弾かないの?」「うん。」へ~、でもハーモニカは教えてくれるんだ・・・それから、数日後、子パンダが「お母さん、ハーモニカね、15個のじゃダメなんだよ。」穴が15個のハーモニカではなくて、24個穴、しかも2段のを買ってくるようにと言われたのだそうだよ。小学2年生だよ。音楽の教科書もないんだよ。音譜読めない子ばっかなのよ。ハーモニカは1段でいいでしょうよ。うわ~、また頭ん中?だらけになっちゃったおまけにそのお知らせの翌日に持って来いとか言うのよ。おまけにおまけに、初めは希望者だけが休み時間に練習って話だったのにいつの間にか、「学芸会で発表しますから、全員参加」ってことになってる。それなら、学校でどっかの楽器屋さんで団体注文して、割引してもらったらいいじゃない?卒業するまでずっと音楽の時間に使う、っていうならわかるけどたかだか1回の学芸会のためにハーモニカ1本に5千円って、もったいない。と庶民の奥さんは思うのだ。韓国のハーモニカならもっと安いんだけど、困ったことに、奥さんは韓国製のものがあまり好きではない。ものづくりというものが、なってないと思うことが多いからだ。「ねえ、ハーモニカ、みんな買ったって言ってる?」「まだ。あ、○○ちゃんはおばあちゃんからもらったって言ってた。」「そう・・・ じゃ、子パンダも日本のおばあちゃんちのを送ってもらう? 探したらあるかも。ヤマハのだよ!ヤマハ!!」いや、わたしがヤマハだと思い込んでるだけで違ってたらどうしよう、と後になって心配になったのだけど、サザエ姉から心強いメールが届いた。「今日送った。埃ついてるやろうから 洗おうかとおもったけど さびるといややし、綿棒で少しふくだけにした。 病院のエタノールいれといた。消毒してや。 二段やで~ ヤマハやで~! 『おく』って、きっとコンパスの針で書いたやろな。サイン入りや! 子パンダえらいな。ケースもないし、つやもないでかわいそうやで。 ケース今から作っといてあげて。 」よかった!ヤマハのだったのね♪ぎゃはは、しかもサザエ姉のサイン入りそして翌々日ハーモニカ到着。早いね~。(うわっ!ほんとにツヤが無い!!!)と奥さん、内心焦ったのだけど、パンダと二人で「うわ~~~いいなあ、子パンダ!ヤマハのだ!ヤマハ!! これお母さんも使ったし、サザエおばちゃんも使ったんだよ。」「もうずっと引き出しの中だったから、ハーモニカも喜んでるよ。 きっと嬉しくて、勝手にいい音出してくれるよ~♪」「うわ、いいね、奥さんそれ映画かなんかになりそう!」と盛り上げてると、ようやく子パンダもにっこり3月8日月曜日「ハーモニカ」 今日、お父さんお母さんとご飯を食べながら、「お母さん、学芸会でハーモニカやるんだって。」 と言うと、お母さんが「あら、そう?ハーモニカは買わなくていいわよ。 日本のおばあちゃんち探したら、2段のがあるから。」 と言った。日本のおばあちゃんちにあるハーモニカは、 お母さんが小学生の時に使ったものだ。 音はどうだかわからない。 もう30~40年ずっと使ってなかったから ハーモニカもどんなに嬉しいだろう・・・ お父さんが「おばあちゃんハーモニカだから、ハーモニカじゃなくて、 ハルモニカ??」 と言うので、わたしもお母さんもお腹を抱えて笑った。 今日は、おばあちゃんハーモニカのおかげで、眠れそうにない。 3月10日水曜日「ハルモニカが届いた」 今日、日本からハーモニカが届いた。 だけど、ちょっとおもしろくなかった。 ハーモニカのケースがなかったからだ。 でもお母さんがケースを作ってあげると言った。 だから、明日からこのハルモニカで練習する。 すごく嬉しい。 あ、そうだ。低いドから高いドまでは出せるようになった。 お母さんは小学校でいっぱい習ったので、 少しだけ教えてもらった。 まだいっぱい練習しなくっちゃ。 明日先生からい~っぱい教えてもらおう。 明日も楽しみだな。 さ~っと寝て、さ~っと起きないと明日にならない。 明日になったらハルモニカで練習だよ^^というわけで、昔々のボロいハーモニカでも喜んでくれてる子パンダに奥さんも久しぶりにミシンを出してきた。きんちゃく袋がいいんだって。なんか、レトロだな。実家とサザエ姉にお礼を言うと、サザエ姉からメールが来た。「子パンダ、みんなと違うのは嫌!って言わないの、えらいな。 頭なでてやってくれ。」ほんとね。うちはよそのお宅に比べたら、あれこれ買ってやる親じゃないし、やりたいこと全部させてるわけでもないし、我慢もさせてると思う。でも、夫婦でも親子でも、相手に我慢をさせて当たり前になってしまってはいけないと思う。なんでも当たり前になると、そこには感謝は生まれないからね。気をつけないとね、奥さん。ありがとうね、子パンダ。 ちなみに、昨日から子パンダはお借りしてた先生のハーモニカじゃなくて、マイ・ハーモニカで練習している。「ねえ、穴さ、24個全部使う曲なの??」「ううん。」「あ?じゃ、半音上がったり下がったりはあるの? え~っと、上の段は使うの?ってこと。」「使わないよ。」「・・・・・」?????「あ・・・あの・・・なんの曲だっけ?」「『野バラ』でも学芸会では別の曲だよ。今は練習だよ。」「ふ~ん・・・楽譜は?もらった?」「ううん、楽譜じゃななくてね、これ。」?????子パンダが書き取ったノートには、ハングルで「ド」とか「ソ」とか書いてあるちょっと、こりゃないんじゃない???