『花燃ゆ』 第11回 ~ 人間って、こうなるのかな
NHK大河ドラマの 『花燃ゆ』 。幕末青春ドラマ的な「大河ドラマ」です。とはいえ、今回は視聴率がUPしたので、歴史的なことより恋愛ドキドキ青春ドラマを期待している視聴者が多いということでしょうか。今回のドラマでは、現代の生活でもよく見る、実に人間臭い部分を、私はあちらこちらに感じました。例えばドラマの序盤で、塾生が「どうにも腹が減って、先生のお話が頭に入りません。」と台所にくる場面。塾にいる間の腹ごしらえは、最初は「頂いていいのですか?」とありがたく頂戴していたと思います。でも腹ごしらえを出してもらえるのが当たり前になると、いちおう差し入れ持参だけど、自分から食事を要求するようになるのですね。あるいは、塾生のお世話に明け暮れる妹の文を心配して、寿が兄の寅之助にかけ合う場面。講義中に塾生を突き飛ばして突然ズカズカと乗り込む。久坂玄瑞を「指さし」して、茶話会で文に付き添うことを、言い方は依頼だけど、久坂を見下ろし中身は命令。なんとも立ち居振る舞いが粗野で失礼な姉になってます。夫が藩のご重役に取り立ててもらったら、夫の出世で妻である自分もエライ人になったかのように振舞う、かなり感じの悪い奥さまです。寿を、なにもこんな形にしなくてもねえ。文のお相手選びで、もし塾生たちの「オレじゃない」の場面を盛り込みたかったのなら、例えば塾生全員で、庭で何か作業をしているときにとか、無理のない場面もあったと思うのですが。寿が文に「罪人の兄がいる。何かあったときのために、後ろ盾となってくれるお相手に嫁がんと。」と言うことも、たしかにそうでしょうね。でも力に頼るということは、頼った相手が永遠に力があればいいのですが、何かの事情で力がなくなったら、自分も危うくなるのですよね。ドラマ終盤では、その頼りの椋梨さんが失脚しちゃったし。あー、それにしても、人間ドラマがこってりで、もっとワクワクするはずの、幕末の歴史が薄いドラマです。藩内の対立を論議する場もなく、終盤で伊之助が「恐れながら」と切り出して、殿のお許しを頂いて熱弁。すると椋梨以外の一同が「恐れながら」、「私も」、「同じく」と伊之助に賛同し、形勢が逆転。するとお殿様が周布に「早急に我が藩中の意見を集め、それをまとめよ。」と申し付ける。周布が「必ずや、毛利家の面目躍如たるものを。」と返答し、殿が「そうせい」でオシマイ。そして番組のラストで、伊之助が寅次郎に宛てた手紙の内容は、文と久坂玄瑞の、縁結びのものでした。藩政のことが書いてあるのかと思ったら、ははは・・・。拍子抜けしましたわ。この先、歴史の部分でちゃんと盛り上がってくれるのかな・・・。吉田松陰(寅次郎)を演ずる伊勢谷さん。第9回ラストで、高杉晋作が乗り込んできたときにお茶をこぼして「アッチッチ!」とか、今回の冒頭で、女子学を講義していたときに、義姉・亀の居眠りに、「ん、んーっ!」と咳払いとか。さりげない演技が優しくてカワイイです。