ポチ袋
慣用句 「挙げ句の果て」 連歌の最後の句を挙げ句と言う。使い方「さんざん口論して、挙げ句の果てに殴り合いかい?」ぽち袋 ぽち袋の「ぽち」というのは「これっぽっち」の「ぽっち」から転じた言葉で、「ほんの気持ちだけ」を包む小さな祝儀袋のことです。 今はお年玉などに使われることが多いですが、マニアにも人気があります。 もともとは花柳界で広まったもので、旦那衆がひいきの芸者や太鼓持ちに心付けを渡すときに、軽い笑いやメッセージを込めたぽち袋を、「ほんの少し」と言ってそれとなく渡して楽しんだもので、お金をむきだしで出すことを好まない江戸っ子の粋な遊びの世界でした。 袋には贈り主の人間的な魅力が託されるわけですから、「おまえ良い袋作ったな、どこで作ったんだ」なんて言って、旦那衆は趣向の面白さにしのぎを削っていました。 ぽち袋に入れるお金はせいぜい10銭か50銭程度でしたが、図柄には相当お金をかけていました。 粋な江戸っ子が絵羽織の裏にお金をかけるのと同じで、目立たないところにお金をかけるのが粋だったわけです。 花柳界でやりとりされたぽち袋の図柄には、艶っぽいものが多く、小さな袋に、川柳や小唄、男と女の関係などがユーモラスに、のびやかに描かれていました。 ぽち袋は金銭だけを渡すものではなく、渡す人ともらう人とのコミュニケーションのひとつの方法だったのでしょう。 浅草辺りにはぽち袋の図柄を請け負う町絵描きさんがたくさんいたそうですが、残念ながら花柳界の衰退とともにぽち袋の需要も減ってしまい、町絵描きさんも姿を消してしまいました。 版木も戦前のものは戦争でみんな焼けてしまって、ほとんど残っていないそうです。 それにしても最近は、小額の金のために粋に遊ぶ人なんて居ないのでしょうね。