親父とは
現代日本では、家族の姿は大きく変化してきました。昔は大人数の家族が同居し、質素ながらも楽しく賑やかな生活をしていました。私の家庭もそうでした。そして家庭の中心はいつも「おやじ」がいて、凛とした雰囲気が漂っていたものです。しかし高度成長とともに、核家族によって「おやじ」の姿は次第に消えて行きました。「角界のおやじ」と呼ばれていたいまは亡き元佐渡が獄親方は、いつも稽古場の上がり座敷にドッカと腰を下ろしていました。力士達を叱り飛ばす一方で、相手の目をしっかりと見て指導をする姿は、かわいい弟子たちを思う愛情に満ち溢れたといいます。昨今は、角界のみならず、職場や、家庭においても、「おやじ」の出番が求められている時代ではないでしょうか。真摯で一直線な「おやじ」の姿は、周囲に緊張感と安心感の両面を与えます。年齢を問わず、威厳と寛容を兼ね備えた「おやじ」の姿を追い求めたいものです。