慶応大学で教壇に立つ初の西洋人芸者・紗幸さん
「花柳界で初めての西洋人芸者」として、浅草でデビューして1年余り。芸者を続けながら、今月から母校、慶応大学で講師として「外国から見た日本の伝統文化」について教える。オーストラリアのメルボルン出身。15歳で交換留学生として来日し、日本の高校を卒業。慶大で心理学を学び、オックスフォード大で社会人類学の博士号を取得した。その間、日本企業に勤めた経験もあり、博士論文のテーマは「日本のサラリーマン」。ドキュメンタリー製作もてがけ、芸者になったのも番組つくりのフイルドワークがきっかけだった。「お座敷には着物、お花、料理と、 日本文化の最も美しい部分が凝縮されている。心底ほれこみました」。花柳界を研究するだけでなく、芸者としても生きてみたい願うようになった。置屋で礼儀作法やしきたりを仕込まれた。着付けや、正座、踊り、すべてゼロからの挑戦。中でも上下関係の厳しさは想像を超えていた。「先輩より深くお辞儀をしなかったのでしかられました」。横笛はフルートの関係があったので得意だそうだ。浅草に残る芸者衆約50人の1人として、お座敷と稽古にいそしむ日々。自身のホームページを作り、メールでお座敷の申し込みを受け付けている。「浅草以外へも伺います」とのこと。いまだに偏見のある芸者の真の姿を伝えたい、ともいう。