ため込むだけではいけない
荘子の言葉に財産をためこんでも、握りしめたまま使うことを知らず、毎日、心が休まる暇がないのに、それでもまだ利益を求めてやまない。こういう人は自分で自分を苦しめているようなものだ。お金というのは、ためるよりも使う方がもずかしいといわれる。たしかにそんな気がしないでもない。私どもの周囲でも、運に恵まれたり、勢いに乗じたりして、どかっと大金を手にする人がいる、しかし、そんな人にかぎって、つまらない使い方をする人が少なくない。その点、見事だと思わせるのは、架橋の生き方である。彼らは裸一貫で海外へ飛び出し、それこそ爪に火をともすような生き方で、こつこつと資産を築いていく。そういう人ほど、どちらかというと、握り締めてはなさないタイプが多い。ところが、架橋は十分に資産を蓄えた晩年になって、自分の郷里にドカット学校などをきふしたりする。彼らの全部がそうだというわけではないが、そんな人が少なくないと聞く。ある意味で、かれらこそ人生の達人なのかもしれない。