誕生日を知らない女の子 黒川祥子
誕生日を知らない女の子 黒川祥子 集英社
親の虐待に遭った子どもたちが、児童相談所や里親の元に行った後の様子を、関係者への念入りな取材で著す。
虐待に遭った子どもたちは、虐待を行う大人から離されて解決となるのではない。その後も様々な症状に苦しむのである。
虐待を受けていた時は、自分の感情を殺して生きのびてきたため、安心できる環境に身を置くと、抑えていた心の蓋が取れてしまう。怒りの感情が噴き出すこともある。人間の心は体と連動して動いているということがよくわかる。また、人とは教育を受けてこそ一人前になるということも実感する。
毎日のささやかだが規則正しい生活は、体だけでなく心も育んでいるのである。