ダメ母に苦しめられて
【送料無料】ダメ母に苦しめられて価格:1,575円(税込、送料別)1999年の出版なので、古い。中国新聞(←広島地元紙♪)に掲載された記事を基に、編集、出版されたものだとのこと。ダメ母、という言葉は適度に軽くていい。メシが不味いとか、掃除がどうにもうまくないとか、なーんか一日中テレビ見てるよねとか、そんなイメージになる。でも、ここに集められたものは、全て『毒になる親』だ。カルく装ってあるけど、AC問題を語っている書だ。中国新聞のHPの一部には古い連載が残されており、『殴る母』というコーナーがある。古い記事だけれど、コンスタントに読まれている、というような説明書きの一文があるけれど、中国新聞自体が、家族の病んでいるところにスポットを当てることを得意としている、もしくは意識しているのかもしれない。新聞に連載されたのは、色々なタイプの毒になる母親に苦しめられた男たちの声だ。はじめに、の中で列挙されているタイプは期待しすぎる母厳しすぎる母放任しすぎる(かまってくれない)母ヒステリックな母干渉しすぎる母だけれども、「ダメ母」をいくつものタイプに分類しつつ、それに苦しめられてきた男性の声を集めている。また、反響として上がってきた、男だけではなく女(娘)もダメ母には苦しめられてきたのだ、という女性の声や、こんなに一生懸命育てて来たのにこの仕打ちはどういうことだ、という母の声もある。内容には、AC関連書籍を何冊も読んで来た身からすると、全く目新しいものは無く、どこかお決まりのパターンを感じる。一つ一つ、大変なドラマが展開されたはずだろうに、数をこなしたがために、特に興味をひくものは無い。ただ、息子、娘、母親、と主張をそれぞれに収録したのち、まとめとして著者(編者?)が最後に書かれているものは一読の価値がある。息子、娘、母親、と話を聞くと、必ず母親にも原因があったことが分かる。母親自身が何かしら心理的な「問題」を抱えている。そして、そこには父親がカギになっている。男性は概して、鈍い。妻のSOSを汲み取れず、心情面で行き違う。妻は夫に幻滅し、頼りにすることを止めていく。そういったことが原因にあるのだと、指摘する。男たちがそうなってしまったことには、歴史的に仕方がない面も認めている。明治の富国強兵も、戦後の復興も、男たちにかくあるべしと求めたのだ。それを求めたのは、育てた母親たちであることも確かだ。だが、とここでさらに踏み込む。時代は変わったのだ、と。男性が変わるべき時代に来たのだ、と。最後のまとめ部分には、「ダメ母に苦しめられた息子たち」を焦点にしたものにしては、やや飛躍した感じが否めなくは無いが、その通りだと思う。AC関係本はだいたい専門の人たちが書いているのだけど、この本はそういう意味では素人たちの書いたものだろう。それだけに視点が面白いと思った。一番のメインである事例には面白いものは無かったにしても、まとめだけでも十分興味深く読めた。