淋しい
本当はね。今も、淋しい。涙が出そうに、淋しい。理由なんか、分かりきってる。女は体の中に海を持っているから。その満ち干がココロにも影響してて。淋しい。淋しい。淋しい。切ない。どうしようもなく、ココロがざわついて。どうしようもなく、ココロがざわめいて。それが、指先の感覚まで奪うほど、淋しい。今ここで、優しく声を掛けられたなら。今ここで、優しく腕を取られたなら。ううん、来なくて良い。触られなくて良い。現れなくて良い。ココロを少し向けられたなら、それだけで、くずおれそうに。なけなしのプライドと自制心が、わたしを支える。ポーカーフェイスを装った裏で、抱かれることを夢見る。指先、首筋、腕、声。それが誰のものなのかすら、わからぬまま。幻想の「あなた」がわたしを抱く。幻想であるが故の恍惚。幻想であるが故、完璧なまでの恍惚。現実には決してありえぬ、抱擁。それに溺れきれぬ、わたし。溺れきれぬだけに募る、淋しさ、切なさ。わたしは一人、体の中の海に思いを馳せる。