文房具好きの原風景。
いくつになっても、枕元にプレゼントが置かれているという光景にはワクワクする。あれは、姉が小学校に上がる年だったと思う。朝起きると、枕元に 鉛筆削り が置かれていた。バンビの絵がついた、緑色の手動の鉛筆削りだった。姉より先に起きてそれに気が付いた私は、目がパァッと輝いた。それは、入学した姉への父からのプレゼントだったが、「2人で一緒に使いなさい」と言われたように思う。さっそく鉛筆を削ってみたが、削り過ぎず、先の尖り具合もちょうど良く、中指の当たる部分もなめらかに削られていて、とても使い心地が良かった。後に電動の鉛筆削りも使ったが、確かに早いけど、アッという間に鉛筆が減ってしまう気がする。削られた木の芯の部分もザラザラしていて、持った時の感触がまずい。特に困ったのが中で芯が詰まった時で、電動のそれは、折れた芯が見えないし、なかなか取れないし、それにコワイ・・しかし、手動のバンビは、ひっくり返して、折れた芯をチョイとなにかで引っ掛ければとれるのだ。アナログな道具だが、実は今も現役で、実家の私の机の上に鎮座している、ご長寿さんのバンビなのである。