技術系派遣社員の単価ダウン
昨年秋からの急激な景況悪化に伴って、まずは生産量に直結する製造派遣の削減が騒がれている。 人材を材料や動力費のように変動費的に扱うことには抵抗がある。 生産量減に応じて すぐに作業者を減らすという姿勢は 固定費のように扱っているとは思いにくい。登録型の製造派遣の場合、派遣終了+次の派遣先が無いという状況が、即 失業につながる。 同じようなスタイルを取っているのが事務系の派遣社員なのだが、こちらの場合はバックグランド業務を預かっていることが多く、固定費として予算化されているため、製造派遣ほど 急峻な動きは見受けられない。 同じような位置づけにあっても、むしろ 商品開発や設備投資などの業務を担っている技術系の派遣社員の方が、派遣単価が高いこともあって、注目されつつあるようだ。---技術系の派遣社員は 派遣会社に正社員として採用され、特定派遣として派遣先の企業で働いている。 従って、派遣終了後に次の派遣先が見つからなくても、当面は正社員としての処遇が保障されている。 派遣社員の側にとっては 安心できるシステムなのだが、派遣会社にとっては 非常に負担が重いようである。 特に 小さな派遣会社は、待機中の派遣社員を多数抱えるよりは、単価を下げてムリしてでも どこかに派遣先を見つけようとする動きが見られ、派遣単価相場が崩壊しかねない予兆がある。 景気回復後には 需要に応じて単価が戻ると見られるが、平準化された正社員の仕事・人数に対して、そもそも 変動分だけを 市場としている訳だから、トップからゼロボトムまでダイナミックに動くその市場は 極めて過敏である。 人材の扱いを それほど過敏な市場原理に委ねるべきなのか、疑問を感じている。技術系派遣社員の市場変動の急峻さは、地理的な流動にも表れている。 昨年秋までは、少なくとも同じ関西圏内で派遣先を見つけることができた人材でも、この年末から年始にかけて、地域を越えないと 替わりの派遣先が見つからないケースが増えている。 このような流動化によって、派遣会社が用意した社宅への依存度が高まり、居住地のコントロール権を手放すことになる。 この辺りの事情は、専門性がさほど高くなく 属地的に仕事をすることが多い 事務系の派遣社員とは明らかに異なっている。ある技術派遣会社によると、それでも派遣先が見つからず あまりにも待機期間が長くなる場合は、希望退職制度など、なんらかの人員調整の仕組みが発動されるのではないか...とのこと。---この年末・年始には 製造派遣への処遇が騒がれた。 派遣社員の仕事ぶりに関わる中で得た感触によると、この3~4月の年度替りまでに、技術系派遣社員の動向に 変化が起こりそうな気がする。 最初は、単価ダウン(派遣社員の側からはボーナスや手当ての減少)や派遣先の変更・遠隔地化、待機の拡大など、その後 景気や市場動向の目論見が見えないままの状態が続くと さらに大きな変化が予想され、ちょっと心配である。