「日英同盟~同盟の選択と国家の盛衰」(平間洋一、PHP新書)
基本的にはアングロサクソンとの同盟を続けているときには日本は栄えて、大陸国家と結ぶときには破局を迎えるというもの。岡崎久彦あたりと同じような論か。 20世紀初頭の時点で、英国との同盟がよかったのか、伊藤博文らが進めていたロシアとの同盟がよかったのか。歴史にイフがないのだから、論じてもしょうがないのかもしれないが、ロシアと結んでいれば、それ以上大陸に進んでいくことはなかったのではないだろうか。そこから先は同盟国と利害が衝突するとして。また、ロシアと同盟を結んだからといって、そのまま英国と衝突しなければならないということでもなかろうに。 また、終章で日本の針路として、海洋国家と結ぶことの利点を挙げているが、アメリカって本当に海洋国家なのだろうか。あれこそ、大陸国家ではないだろうか。中国やロシアの思考を自己中心的というならば、今のアメリカなど、自己チュー国家の最たるもののような気がするのだが。 さらに言えば、伊藤博文の路線と小村寿太郎の路線が対立したときに、小村路線が正しかったというが、南満州鉄道の経営に日本が単独で乗り出すこと自体が、日本を大陸国家的な方向に向かわせる決定的なものではなかったのか。 疑問点ばかり並べてしまったが、第一次大戦のころから、強かったオーストラリアの日本脅威論など「そうだったんだ」と思わせるところも多々あり。