日和ぼこ
口癖のそれはそれはと日向ぼこ 好幹先日の句会である。5選句をし隣に座っている91歳の人の選句を見ていた。選句用紙に揚句が書かれていた。「よし一票入った」と思ったときだった。その人が辞典を取り出した。お年寄り用だから大きな字であるので隣からも見える。日向と言う字を見られていた。するとやおらに揚句を選句用紙から消された。「うん」と思って清記用紙を見てみるとなんと「口癖のそれはそれはと日和ぼこ」になっていた。清記用紙には誤字脱字はそのまま書くようになっている。「これこれの句は誤字です」と自分でも言えないので黙っていた。痛恨の誤字であるが仕方がない。順番に自分が選んだ句を発表するときになった。主宰の順番になったとき「5番 口癖のそれはそれはと日向ぼこ」といわれた。すると91歳の老人が「これは日和で日向とは読めませんよ。季語の無い俳句です」と言われた。主宰も初めて誤字に気がつき「そうですね。しかし日向ぼことして採ります」と言われた。後二人が採ってくれて3点句になった。推敲が苦手であるがしっかりとしなくてはいけないという経験をした。