標なき道 (堂場瞬一)
「天才アスリート」「努力型秀才」を描いた本は多いが、「無事これ名馬」な主人公とは珍しいかも。主人公・青山のライバルとなる須田と武藤は大学の同窓生でもある。日本一のスピードを誇りながら怪我に泣かされ、出場を逃してきた須田、揉め事を起こして表舞台から遠ざかっていた武藤、そしてどのレースにも欠場することなく「万年3位くらい」をキープする青山。走ること、オリンピックに出ることの「欲」が三者三様でとてもいい。ドーピングと言う考え方に正直賛成はできないけれど。金をかけなきゃ強くなれないとか、スポーツの世界も平等じゃないんだよなっていう面は確かにあるよね。例えば昨今問題になっている競泳の水着。手に入れたもの、入れられなかったものの平等性は考慮されないもの。全水着統一とか(いっそ水着ナシでとか?)厳密なレースをやってみるのも一考かもしれない。無理だけど。レース部分が書き込まれていて臨場感があるのもよし。結末は予想できるが、この本のよさはそこではないので問題なし。今度買おう。 標なき道標なき道