十二月大歌舞伎 第三部 〈歌舞伎座〉
一、二人椀久(ににんわんきゅう) 松山太夫 坂東玉三郎 椀屋久兵衛 中村勘九郎二、京鹿子娘五人道成寺(きょうかのこむすめごにんどうじょうじ) 道行より鐘入りまで 白拍子花子 坂東玉三郎 白拍子花子 中村勘九郎 白拍子花子 中村七之助 白拍子花子 中村梅枝 白拍子花子 中村児太郎 所化 坂東亀三郎 同 中村萬太郎 同 市村橘太郎 同 中村吉之丞玉三郎さんを観たいっ!! と第三部のチケットをとった。玉三郎さんが舞台に立つと、不思議な緊張感が漂う。演目のせいもあるだろうけれど、「舞台を楽しむ」というより「美を堪能する」という見方になった。どこからどう見ても美しい映像では見たことがあった『京鹿子娘道成寺』。鐘があって、蛇になって、、、ぐらいは知っていた。配役表には〈白拍子花子〉が五人。五人も花子がいてどうするの? 踊り分けるのかな??と思っていたら、踊り分ける場面もあり、一緒に踊る場面もあり、ゴージャスで面白い演目になっていた。烏帽子をつけて踊る玉三郎さんが、踊りの合間にキッと鐘を睨む眼がいかにも怖い。五人一緒に鞠をつく振りのところ、勘九郎さんだけは身体から醸し出される雰囲気が違ったのが興味深かった。リズミックで躍動感があっていかにも楽しげ。勘九郎さん以外は女形を主に演じている方々なので、見せ方に差が出るのかもしれない。それぞれの個性を楽しむ場面なんだろう。梅枝さんがはんなりと可愛らしく、好きな役者さんになった。(12月6日 歌舞伎座)