遠野高敗退と『遠野物語』
サッカーをナマ観戦したのは10数年ぶりのことだ。高校サッカー準々決勝、遠野高(岩手)-高川学園高(山口)。岩手はボクの故郷、しかも昨年は岩手代表の盛岡商高が全国制覇をしている。ラグビーでは盛岡工高がすでに敗退したため、あまり興味のないサッカーではあるけれど、遠野高選手たちを応援するため、勇んでさいたま駒場スタジアムに出かけた。-------------------------------------------------試合開始から防戦一方の遠野。たまにカウンターで敵陣に攻め入るものの、中盤から相手ゴールまでが遠い。高川学園のディフェンスが常に5~6人いるのに、遠野の選手は3人ほどが敵陣にいるだけでは、なかなかパスがつながらない。結局、偶然に頼るように中盤から長いパスを蹴り上げるしか術がない。遠野、何度も何度もピンチを凌いだものの2点を失い、0-2で敗戦。国立競技場には、もう一歩のところで届かなかった高川学園、強豪と聞いていたが、ボクにはその校名はまるで記憶にない。旧校名が多々良学園と聞いて、初めて合点がいった。確かにパスの精度の高さなど、残念ながら遠野より上手だったように思う。----------------------------------------------------遠野高のある遠野市といえば民話『遠野物語』と、そこに登場する河童が有名。先日、日刊ゲンダイにコラムを連載している作家・五木寛之氏が民族学者・柳田國男氏の著書『遠野物語』について書いていたことを思い出した。そもそも遠野地方に語り継がれていた民間伝承を、柳田國男氏が筆録したのが『遠野物語』。だが、柳田氏があまりに優れた文章でもって昇華させた完成度の高い作品であるため、それまで語り継がれきた自由度や雑多性がなくなり、逆に住民たちの手から離れてしまう矛盾を残してしまったと書いていて、ボクにはとても興味深かった。------------------------------------------------------試合終了後、高川学園高・白井三津雄監督の表情を見た。白髪だらけの頭髪と、クチのまわりに伸び放題の白い無精髭。それはまさに『遠野物語』のような民話に登場しそうな人物の容姿で、白井さんが遠野高の監督だったなら、マスコミ向けに格好の話題が提供できたのに・・・なんて思ったりして・・・※写真は、遠野高が敗退して肩を落として帰途につく河童クン。1日1クリックお願いします >>人気ブログランキング