「楽園」宮部みゆき
【内容情報】(「BOOK」データベースより)「模倣犯」事件から9年が経った。事件のショックから立ち直れずにいるフリーライター・前畑滋子のもとに、荻谷敏子という女性が現れる。12歳で死んだ息子に関する、不思議な依頼だった。少年は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、それを絵に描いていたという―。 お薦め度 ★★★★人気の『楽園』を読み終わりました!あの『模倣犯』の9年後の話と聞いたら、読まない訳には行かないじゃないですか!!?『模倣犯』は、残忍な殺人犯を扱った作品で好ましいとは思えない…というか、恐くてもう一度読み気が起きない…。でも、あの「犯人側視点のストーリ展開」はグングン引き寄せされてしまい、つい最後まで読んでしまいました。今回は。主人公が前畑滋子さんです。と言っても。私には『模倣犯』というと、主犯だった網川浩一や豆腐屋の親父さん・有馬義男の方がインパクト残ってて、「あれ?前畑さんってどんな女性だったっけ?」というイマイチ、印象の薄い登場人物でした。いえ、ある意味は重要人物なんですけどね!!「模倣犯」というのは彼女の一言ですし。ハイ…。(^_^;)『模倣犯』は凄い長かったですし、残虐シーンが多く読みにくかったけど『楽園』はそれに比べると読みやすかったです。前畑さんのその後。「山荘事件」はかなり彼女の心に傷を負わせてしまっていたようです。ですよね…あれだけ残忍な殺人事件だったんですから…。あれだけの大きな(特ダネ!?)事件を暴きながら、あの事件に関しての記事、書籍は一切書かず、第一線を退いていたみたいです。今回。萩谷敏子の依頼をひょんな事から受ける羽目になり、その依頼が、またそれとは別の大きな殺人事件に関わっていくと言う…。だんだん話の方はややこしくなっていくのですが、今までヤル気が無かったライターという仕事に本腰を入れる気になった前畑さん。「山荘事件」以来、沈み込んでしまった前畑さんにヤル気が起きてくれて本当に良かったです。本編の合間に「断章」といった形で、別の物語が同時進行されてますが。この主人公・マコちゃんの視点での話しが恐かったです!!一体、どういう形で本編に絡み、ひとつになるのか気になって、気になって。(^_^;)最後に。被害者・加害者。いろんなお母さん達がそれぞれ子供に対し、いろんな想いを抱いていることが判り、それを比較するのもいいかも知れないです。母親とは何か、考えさせられます、はい。ちょっと哀しいですね。(主な登場人物)前畑滋子 41歳。ノアエディション勤務。フリーライター。 9年前の「山荘事件」で一躍有名になる。前畑昭二 44歳、滋子の夫。亡き親の跡(前畑鉄工所)を継ぐ。秋津信吾 捜査一課の警部。滋子と「山荘事件」での知り合い。秋津栄恵 信吾の妻。親子で「あおそら会」に入会してくれる。野崎栄治 ノアエディション社長。滋子の永年のライター仲間。井川 恵 ノアエディション社員。26歳。荻谷敏子 53歳。スーパーパート店員。滋子の依頼者。荻谷 等 享年12歳。敏子の一人息子。超能力があった(?)萩谷松夫 敏子の長兄。実家の跡を継ぐ。荻谷ちや 敏子の祖母。享年100歳。千里眼を持つ、荻谷家の権力者。大山満夫 松夫の経営するレストラン店員。敏子と縁談話があった。大山義美 満夫の連れ子。宮田 等の通う児童相談所勤務。前小学校教諭。花田早苗 23,4歳。等の図画工作の先生。伊藤 等の小学5,6年の担任だった厳しい先生。40代後半。川崎 等の小学3,4年の担任。等と相性が悪かった。30代前半。 土井崎元 55歳。元・製紙会社勤務。16年前長女を殺めてしまう。土井崎向子 元の妻。夫と共に長女殺害後、時効まで隠し通した。土井崎茜 土井崎家の長女。享年15歳。素行不良。土井崎誠子 土井崎家の次女。25歳。心優しい女性。野本希恵 27歳。土井崎夫婦を取調べた千住南署女性刑事。高橋雄二 第二東京弁護士会所属。土井崎夫妻が依頼した弁護士。多田君 高橋弁護士の甥であり秘書。弁護士を目指す。酒井直美 25歳。誠子の幼馴染。双子の子供を持つ母。今井勝男 25歳。誠子の幼馴染。クリーニング店息子。井上達夫 30歳。誠子の元夫。生方芳江 茜の中学時代の担任。蒲田鳩子 茜の中学時不良仲間。現在スナック「鳩の巣」ママ。シゲ 不良グループの頭。茜の彼氏。本名不明。木村一哉 向子の弟。静岡の実家の跡取。銀行マン。加藤宣夫 土井崎元、製紙会社勤務時代先輩だった男性。金川一男 金川有機材工業会長。「あおぞら会」会長。荒井 馨 「あおぞら会」事務局長。50歳位。三和尚子 離婚後、長男・明男を引き取る。一男の妹。三和明男 尚子の息子。32歳。マコちゃん 「断章」主人公。小四。佐藤昌子。法山久子 法山新聞店のおかみさん。