「恋文の技術」森見登美彦
【内容情報】(「BOOK」データベースより)京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ─。 ★★★★ 笑える 痛快 青春実は「イマドキ文通かよ!!」と思いながら読み始めました。(笑)この小説、全部が主人公・守田一郎が親しい面々に送った手紙で綴られてます。大学の同期・マシマロ小松崎の恋愛相談に乗ったり、先輩である大塚緋沙子大王に喧嘩を吹っかけつつ、思い人の近況を問うてみたり。(この二人に対する手紙は、気兼ねなく書いてるらしく、馬鹿馬鹿しいモノ多し!)時には大人ぶって。以前、家庭教師をしてた教え子・間宮少年の、思春期の悩みや現在家庭教師を勤めるマリ先生への淡い恋心への助言とか。(守田の家庭教師っぷりは、決して親には歓迎されなかったであろうと想像できます。だけど。間宮少年の様子から、子供受けのする家庭教師であったのは確かなようです)そして!文通相手として「新鋭小説家・森見登美彦」も登場!!守田が当初「恋文の技術の教えを請う」手紙のやりとりのはずが…。連日、あまりの森見氏の手紙の多さに、とうとう、筆まめであるはずの守田が「シロやぎさんではないのですから、読まずに手紙をださないでください」って。自分はいろんな人達にいっぱい手紙を書いておいて、よくも言えたもんだとその自己主張に、笑えました。その中でも「伊吹夏子さんへ 失敗書簡集」が一番、笑えました。とうとう恋文を出す羽目になった守田の「失敗集」なんですが…。どれもこれも、笑うツボ満載!!こんな恋文、もらった方はさぞや困惑モノでしょう。(爆笑!!)しかし。最後の章では、きちんとした恋文を「伊吹さん宛て」に出せた模様でホッとしました。ラブレターの返事に関しては…イエスかノーかは分からずじまいですが。読者が思っているほど「守田と言う人間は妙チクリンな奴ではないんじゃないか?」と感じました。だって、結局は、みんな守田との文通に付き合ってたんですから!!ずっと笑ったまま終わらず、ジンワリと人間関係の大切さを感じられた作品でした。追伸・PCを修理に出したままで、日記にずっと「下書き状態」だった『恋文の技術』を今日、正式にアップしました。