「つばさものがたり」雫井脩介
つばさものがたり価格:1,575円(税込、送料別)【内容情報】(「BOOK」データベースより)君川小麦、26歳、パティシエール。家族と“天使”の助けもあって、ケーキ屋を開店。大ヒット作『犯人に告ぐ』『クローズド・ノート』に続く新たな代表作誕生!どうしても泣けてしまう、光あふれる家族小説。★★★★ 感動 泣ける 親子表紙が全てを物語ってます。温かみの漂う素敵な作品でした。今回はミステリーと無関係な話なのですが、温かみの有る作品でよかったです。少なくとも。雫井さんの代表作と言われる『クローズド・ノート』よりも、こちらの方が(私は)数段上の作品だと思います。余談・雫井さんの作品で一番好きなのは『火の粉』ですけどね。26歳と言う、余命少ない女性・小麦が主人公です。もう、この地点で「ウルッ」と泣けてくる終わり方が約束されてるようなモンです。周囲の人間が「癌の治療に専念してくれ!」と小麦に強要したりせず、小麦のやりたい事(=母親と一緒にケーキ店を営む)に賛同してくれて良かったと思います。兄嫁である道恵さん。「義妹が開くケーキ店を手伝う」という軽い感覚で働き出すけど、小麦は「自分に何かあったら変わりに道恵さんが…」と考えてて、二人のケーキ店に対する思いの違いがギクシャク…。確かに。小麦はケーキ店を開くのが夢だったけど、道恵さんの想いは!?極普通の主婦として生きてきたのに、小麦亡き後に「ケーキ店を頼みます」と言われた方は、たまりませんよ!!そのあたりは、小麦も気付いたみたいなので良かったですが。小麦が余命短いと知ってしまった後、どんな顔で付き合えばいいか迷った挙句…ある日、突然、ズバッと自ら決断した道恵さん。カッコイイと思います。そして。忘れてならないのが、小麦の甥に当たる叶夢くん。まだ五歳の幼稚園児。引っ込み思案で、ブツブツ独り言を言う「風変わりな子」。そんな叶夢くんを父親・代二郎はどう接していいか苦難します。叶夢くんの妙な行動ですが。後に「レイ」という天使候補の男の子が見えていて、いつも一緒に居る事が判明。レイは、夢に向かって頑張ってる小麦のオーラが大好き。(一方、代二郎のオーラは「くさい」と不評・笑)「レイ」は天使と妖精のハーフで。天使に成るための試験として、10メートル空を飛ぶ事がまず必須。翼の小さなレイは、他の天使候補よりも空の飛ぶのは苦難の技…。そんなレイに声援を送る叶夢くん。他の人には決して見えていないレイの存在を、代二郎や小麦が全面否定しなかったのが良かったです。叶夢くんとの関係も良い雰囲気のものになったし。(#^.^#)実は。最後、私は泣きませんでした!!この物語は病魔に冒された主人公の「闘病記」ではなく、夢を最後まで諦めなかった女性の生き様を描いた作品だから、悲しいと言う感情よりも「よく頑張ったね!」という想いが強く残ったからです。