ルーツを知る ~マンスリーセミナーを振り返って~
マンスリーの時に、生徒さんによく私のデータを持って帰ってもらっていました。 いくらでも公開しますよ。それで私の技術が落ちるわけでは無し、本物がひとりでも増えるきっかけになってくれたら嬉しいことですから。 これが役に立つなら、どうぞご自由に使ってくださいという思いからでした。 ただ... それを見ただけでマスターできるなら誰も苦労はしないし、出来るものならやってみてください、という啓発の意味もありました。 データを解析する時、表面だけ見ていてはダメなんです。 客観的事実を理解しただけで、習得したと思うのは早計と云わざるをえません。 その裏側にあるものを見抜いてこそ本当の力がつくからです。 例えば、凄いプレイをする若手のロックギタリストがいたとします。 表面だけ...と言うのは、この、テクニックの全てをマスターしている彼のプレイを分析するだけで、ギターの探求を完結させてしまう事に似ています。 彼も一朝一夕でそこに至ったわけではないとしたら、その過程をひとつずつ紐解いていかないと、本質的なものは見えてこないということです。 「身体の芯に入ってこない」と言った方が近いでしょうか。 原点を知る人と表面だけを見ている人とでは、同じサウンドを聴いても感じ方がまったく違ってきます。 ルーツを知る重要性はここにあるんですね。 データを作る時も同じです。 頭だけで考えたパズルのようなデータでは、いくらリアルで緻密に作っても深みのあるものにはなりません。 心から歌うような気持ちで演奏をデータに反映させる... その為には、自分の中の引き出しに豊富なフレーズをストックしておくことが不可欠になってきます。 そのストックを持つことは、ギターが弾けなくても可能なんです。 いろんな演奏をたくさんたくさん聴くことで、自分の中から自然にフレーズが出てくるようになればシメタものです。 そうなれば、ギター独特の細かなニュアンスの違いも手にとるように解り、データを理屈ではなく直感で操れるようになります。 他の楽器にもまったく同じことが当てはまります。 弾ける弾けないではなくて、それをいかに自分のものにするか...なんです。 データの奥に潜む核心を読み取れるかどうか... これがマンスリーで投げかけた私の最大のテーマでした。