いっぺん来てみなはれ
行きつけの、すし富で。先日、こんなことがあった。カウンターで機嫌よく食べていたら、後のテーブル席で、やたらうるさい客がいた。といっても、文句を言っているわけではない。その逆で、やたら誉めまくっているではないか。どうやら、初めての客のようだね。「これは、旨いわ…」「すげえ…」やたら感激しまくり。と、おもむろに板さんに質問をする。「この海苔はどこの?」板さんが答える。「あっ、やっぱり…」ネタではなく、脇役にフォーカスを当てて蘊蓄をたれたり…隣に居たお連れが、「この人は、一流のものしか食べないから解るんだよ」とお上手をする。極めつけは、「こりゃ、銀座九兵衞より旨いよ」板長は、軽く苦笑い…どうやら、自分のグルメ自慢をしたいらしい。私を含め、その場にいた常連の間には、「なに解りきったこと言ってんの?…田舎者が」そんな空気が漂う。板さんたちも、誉められて悪い気はしないだろうが、こういう、取って付けたような押し付けがましい誉め言葉は、ヨシとしない。寿司屋特有の、高飛車な態度が微塵もないすし富だが、こんな客に対しては冷ややかな態度をとる。板さんたちや女将さんが本当に嬉しい言葉は、ずぅ~っと通い続けている我々常連がポロッと言う、「美味しかった」、「ありがとう」なんだ。何の気取りもない、世界一の大衆寿司屋は、ここ、東大阪市にあるんだよ。いっぺん来てみなはれ。