ラプラスの魔女・東野圭吾
☆ラプラスの魔女・東野圭吾・(株)KADOAWA・2015年5月15日 初版発行・書き下ろし♣︎羽原円華小学生のとき、母の実家に帰省中、突然発生した竜巻に巻き込まれ、一緒にいた母を亡くした。♣︎羽原全太郎=円華の父。医者。開明大学教授。画期的な手術の手法をいくつも編み出している、脳神経細胞再生の第一人者。♣︎甘糟健人硫化水素事故により、母と姉は死亡、健人は意識不明の重体となった。♣︎甘粕才生映画監督。健人の父。映画の鬼だといわれていた。遠く離れた温泉村で、相次いで硫化水素による中毒事故が起き、2人が死亡した。最初の犠牲者は映像プロデューサー、2番目は売れない役者。たった2ケ月の間に映像業界の人間が2人、相次いで硫化水素を吸って死んだのだ。亡くなった2人は、どちらも映画監督の甘粕才生と繋がりがあった。その甘粕才生の妻と娘は硫化水素で死に、一命を取り留めた息子の健人を羽原全太郎という天才医師が救った。そしてその医師の娘である羽原円華は、硫化水素事故のあった温泉地で木村と名乗る1人の青年を探していた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・意識不明の重体となった甘粕健人は、羽原博士の手術により植物状態から奇跡的に回復した。彼は過去の記憶を無くしたが、脳の手術により特殊な能力を得た。健人は、ある事情により退院後も独立行政法人数理学研究所で生活していたが、昨年の春、博士に感謝の手紙を残して姿をくらました。羽原円華は小学生のとき、突然発生した竜巻に巻き込まれ、一緒にいた母を亡くしていた。円華もある事情により、数理学研究所で生活しており、行方が分からない健人のことを誰よりも心配して、行方を追っていたのだ。円華が初めて健人と会ったのは、父が忘れた携帯を届けようと、病院で教えられた「数理学研究所」へ行ったときだった。いきなり近づい来るなり「傘をさしてっ」といい、円華の傘を素早く広げ頭を押さえてきたのが健人だった。訳がわからずしゃがんだ円華のすぐそばを、一台のトラックが水飛沫を浴びせて走り抜けて行った。なぜ分かったのか聞く円華に、少年は困ったように首を傾げた。☆開明大学 数理学研究所、羽原博士の話繰り返し訓練することで、脳は効率の良い神経回路を作り上げる。その速度や成果には個人差がある。健人の場合、新たな神経回路が形成されるスピードが格段に早い。健人の脳は未来の状況をほぼ完璧に予測できることが分かった。本人自身が実験台になることを強く望み、羽原円華にも、健人と同じ施術をした。優しかった、暖かかった、強かった大切な円華の母を、竜巻は一瞬にして奪い去ったのだ。彼女の心を動かしたのは竜巻だったのだ。円華は「ラプラスの魔女」になりたかったのだと言う。♣︎ラプラス=フランスの数学者・天文学者♣︎ラプラスの悪魔=ラプラスが自著で述べた超越的(未来を完全に予測することができる)存在のこと。本の帯に、こんなことが書いてありました。『これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。そしたら、こんな小説ができました。ーーー東野圭吾』ー中略ー価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。作家デビュー30年、80作目の到達点。