毒草師(高田崇史)
「QED神器封殺」(日記は→こちらから)に初登場した御名形史紋の職業名がタイトルになっている,高田崇史の「毒草師」(2007)を読んだ。東京にくることになった熊野出身の御名形(魔女の隠れ家(たばさ6992さん)の日記によると「河童伝説」で奈々ちゃんに話していたらしい)は1997年12月から九品仏のマンションに住むことになるが,そこでの隣人であり彼より4つほど若い西田真規が本書での第2の主人公でもある。マンション自体が和歌山の熱田記念病院院長→医療業界雑誌「ファーマ・メディカ」編集長遠藤悟士(「退かずの遠藤」)→編集者の西田へと降りてきて,伯父が所持するマンションの一室を西田が紹介したものだ。最近マスコミをにぎわわせている鬼田山家の不思議な事件を,雑誌で世話になっている一ノ関元子が同家の主治医であることもあって,編集長から調べるように命じらた西田の相談を受けることから御名形は事件にかかわっていくことになる。ここらで,ちょっと全体的感想。古今集やら伊勢物語やら,「一つ目」,「一つ足」やらのウンチクは出てくるものの,本作ではそれが現実の事件とそれほど乖離していず,さらには,御名形がウンチクをだらだら述べるのではなく,本人はその一部について無関心を装い,西田と協力者の篠原朝美が調べて語り合うという形になっていたのが,(どうせ著者が語りたいのだろうというのはおいておいて,笑)なかなかよかった。「QED」シリーズよりも読みやすく,読者を広げるシリーズになるかもしれない。感想休題。墨田区南業平(押上駅近く)の鬼田山家の事件は以下のようなものである。平成10年1月(書き出しの頃の直近)鬼田山壮次郎(故人)の後妻久乃が離れに閉じこもったあと消え,家政婦の間宮静子が前日に一つ目の生き物を見たと発言。平成3年(記録で)壮次郎の前妻志麻子の死亡後しばらくして,娘の志子が離れに閉じこもったあと,一つ目の鬼を見たと発言したあとに消え,妹の麻子も家から姿を消す。昭和54年(記録で)当主の鬼田山壮次郎が一つ目の山羊を見たと言って突然離れにこもり,消え,1か月後に墨田川から遺体が上がる。以上について御名形に相談したり篠原の協力を得て調べたりしているうちに,後妻の長男である柊也が毒殺されるという事件まで起こってしまい……ストーリーの続きは読んでのお楽しみ(笑)西田君のキャラクターがとってもよかった。御名形にかなうはずはないのに,結構むきになって対抗心を燃やしたり,わからないながらも一生懸命調べて核心に迫ったり……御名形によって謎が明かされていくのと同時進行で進む西田と篠原のそれなりの事件検討会の緊迫感もよかった。絶対に朝美は怪しいと思っていたのだが「アサコ→アサミ」,「シコ→シズコ」のパターンに気づいたのが読後だったのはとても残念!!(笑)高田崇史の他作品はについての日記は,フリーページ 読了本(日本) (高田崇史)からごらんください。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ → ミステリ・サスペンス・推理小説全般 (↑関連トラバの集積場所)こちらもクリックをよろしく! → このブログのRSSのURL → RSS ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━著者ホームページ:club TAKATAKAT ~高田崇史 公認ファンサイト~楽天ブックス毒草師 高田崇史記事関連のオススメ日記気まぐれ日記(kemeko09さん) (日々のあぶく(kiyu25さん))