殺人鬼II 逆襲編(綾辻行人)
殺人鬼シリーズ2作目,綾辻行人の「殺人鬼II 逆襲編」(1993)を読んだ。「殺人鬼」(日記は→こちらから)にひき続き,当然のことながら,スプラッタの連続……。ではあるのだが,ストーリとしては,今回のほうがおもしろかった。以下ストーリーのネタバレがあります。双葉山でTCメンバーズのキャンプ参加者が次々に殺される事件(「殺人鬼」)が起きてから3年後,当時崖から落ちて死体が見つからなかった殺人鬼と目される大男が,再び姿を現すことから話が始まる。「殺人鬼→双葉山」という構図が頭にこびりついていたためか,絶対安全と思われた双葉山付近の県道にがっしりとした体格の男が登場したときには,正直驚いた。しかも,登場の仕方は警視庁捜査一課の辣腕刑事が運転しその妻子が同乗する乗用車に「はねられる」という形である。このシーン,いろいろな意味で凄い(まあ,想像はつくと思うが,笑)のだが,ここをクリアしてしまうと,あとは「気持ちよく」(変か?)読み進めることができる。ここで止まってしまった人は,ぜひあと1歩先まで進めてほしい! とも思う(笑)前回,殺人鬼に抵抗できたのは,結局殺されてしまうことになるが,茜を守ろうとした麻宮少年だけだった。そして,今回はその「まみや」を名前にもつ白河真実哉少年が登場して,殺人鬼から姉の愛香を守ろうとする。しかも,彼は東京の病院で茜由美子と交流をもち,双子の「心の交流」についての話を聞き,自分の「発作」について話したりもする。その発作の間,真実哉少年は心が自分から離れ,知らない誰かの「目」になってしまう。この「誰か」が,殺人鬼の被害者であったり,時には殺人鬼自身であったりすることから,真実哉少年の殺人鬼に対する孤軍奮闘が始まっていく。さらに,前回大八木を動かした殺人鬼の悪意の波動が,今回は真実哉少年やその周囲に及び,半年前に双葉山中で何者かに襲われ植物状態となった少年の父が入院し,「県道の事件」で重傷を負った冴島美砂子(刑事の妻)も運び込まれている白河外科病院(少年の伯父が経営)に魔手が迫ってくる。今回「はしがき」はないのだけれど,ミステリとしての「仕掛け」もしっかりある。殺しまくっているこいつは,いったい誰だ? ということなのだが,驚かされたというよりは,途中で想像していた人物,つまり愛香,でなくてよかったというのが感想なのだが,これもまあ,作者にしてやられたということだろう(笑)今回の最後で,殺人鬼の首は切り落とされ,頭部はぐちゃぐちゃに叩きつぶされる。しかし,結局彼の死体は発見されずに終わる。作者は,「殺人鬼III」を考えているらしい。といっても,「気長にお待ちくださいませ」と文庫本のあとがきに書いてからすでに10年近くたっているのだが(笑)この殺人鬼が,どのようにして再び姿を現すのか? 次はどこに現れ,誰が立ちはだかるのか? 続きが読みたい!!綾辻行人の他作品についての日記は,フリーページ 読了本(日本) (綾辻行人)からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━ このブログのRSSのURL → RSS ━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス殺人鬼II 逆襲編綾辻行人