やどかり(その8)
ー うそも方便 ーこれだけ部屋の中がスッキリすると、空いたスペースと同じように気持ちも大きくなってくるもんです。 京都のパーティに出発する日、昼過ぎの新幹線に間に合うように、午前中いろんな予約を入れていました。新居の契約手続きはまだでしたが、もう月末まで3週間しかありませんでしたから、見切り発車で引越業者さんにも見積もりに来てもらうことにしていました。大将の職場のグループ割引が使える業者さんの中から選んでいましたので通常より安くなるし、荷物も減ったからすごく安く上がるかもねなんて言っていました。この日は火災報知器の点検やら、パソコンリサイクルの引き取りやら千客万来で、旅行の準備もありましたから相当バタバタしていたんです。研修の部下の方を連れて11時頃、引越業者の方が来られました。ボードを手に細かいチェック項目に書き込みながら部屋を見ていきます。一通りご覧になって、ここからが商談です。最初の見積もりを見せてもらって、大将と私はひっくり返りそうになりました。「トラック2台で26万円ですね。」26万円!! (@へ@)うそでしょ。(@o@) なにそれ?引越ってそんなにお金のかかるもんでしたっけ? こんなに荷物減らしたのに?きっとこれは営業の手段なんだろうな~と思いました。よく刑事物で取り調べをするとき、怒鳴ったり追いつめたりする刑事さんと、カツ丼なんかとってくれて優しく接してくれる刑事さんがコンビで供述を引き出すみたいの、あるじゃないですか。これも、最初に高い値段を提示して驚かしておいて、ぐっと値下げして、お客さんはホッとしたところで契約にもっていく手法なんですよ、きっと。案の定、値引きが始まりました。で、15万5千円まで下がりました。いきなり10万円も下がっちゃって、それも驚きですよね。 (@~@)しかし月末に引越しすると割高なんだそうです。しかも、土日だし。本当は何社か見積もりをとって、比べるのがいいんでしょうけど、私達には時間がありませんでした。新幹線の時間も迫ってきます。しかし、営業の方にも弱みはあったんです。必ず見積もりをした日に即決させること。これ、営業の鉄則です。しかも、研修生連れてますから、絶対お手本見せないといけません。そこで私達はまず、『考えさせてくれ。』攻撃に出ました。月末&週末で何万円も高くなるなら、来週会社に相談して休みを調整してみるからということで。それに対して営業の方は、今日決めていただければ、月末&週末料金を値引きして、平日と同じ料金にしますからとさらに13万5千円まで下げてくれました。大将は大喜びで契約書に名前書きそうだったんですが、私はゴネました。「前の引越の時は、10万円いかなかったですねぇ。」(←ウソです)営業の方は頭を抱えてしまわれました。「それは、ものすごく勉強されたんですね。どちらの業者さんですか。うちですと一番頑張って13万が限度なんですが。」もうそろそろタイムリミットでした。私は、もう一息、12万円台だったら契約しましょうといいました。大将は完全にギャラリーになっちゃってて、私の強気の態度に声裏返って『ひぇ~。何言ってんの~。』なんて言ってます。どっちの味方なのょ。営業の方は上司に電話をかけ、どこまで下げていいか交渉に入りました。こうして何とか引越し費用を12万円台に納め、研修生の手前営業の方の面子も立ち、引越用のダンボール箱が大量に搬入されて、私達はあわただしく京都に旅立ったのでした。(つづく)