わたしは、ダニエル・ブレイク
四角四面のお役所仕事に対して不満を抱いたことがある方、その中で地獄に仏のような優しい職員に出会ったことがある方、いろんなシーンで『自分だけじゃないんだな』と思える映画だと思いました。これは貧しい中にも心を通わせ、正しく起きようと努力する人々の物語です。イギリスのある町で妻の介護を続けながら大工をしていたダニエル・ブレイク59歳。妻が亡くなり子供もない彼は、仕事中に心臓発作を起こして40年間続けてきた仕事を辞めざるを得なくなります。病気による支援手当を受けようとしますが、受給の資格なしという通知が届き、不服を申し立てようにも電話も繋がらないし、役所に行ってもパソコンが使えない人には申し込みさえできないんです。一人だけ役所にアンという親身になってくれる女性がいるんですが、他の職員から非難されて彼のために余計に時間を使うことができませんでした。ダニエルは役所で、同じように融通の利かない扱いを受けていたシングルマザーのケイティに出会います。ダニエルは家の修理や子供達の世話など親身になって彼女たちを助けようとしますが、どちらも金銭的に余裕のない生活を送っていました。病気による支援手当がダメなら失業手当をもらおうと役所にかけあいますが、そのためには求職活動をしている証拠が必要だと言われ、履歴書の書き方講座を受けるようにと言われます。病気のために働くこともできず、支援金ももらえず、失業給付金ももらえない状況で生活に困ったダニエルは、役所の対応に業を煮やしついに過激な行動に出るんです。『わたしは、ダニエル・ブレイク』(原題:I, Daniel Blake)は、2016年のイギリス・フランス映画です。ケン・ローチ監督が、80歳にして2度目のカンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを受賞したヒューマンドラマ。第69回ロカルノ国際映画祭で観客賞ほか、多くの映画祭で作品賞を受賞しています。映画では困っている善良なる市民を助けない役所仕事を非難していますが、どうにもならない現実にもどかしさを感じました。とてもいい映画です。おすすめです。いい映画を見たい人はこちらから