嵐、去る
嵐、去るこの土日は妹ともんもんが泊まりに来ていた。私は一年365日の中で夜遅くまで出歩く時は妹が来る時だけなのだが、土曜日はぷらぷらとウィンドーショッピングをしたり、カフェではぐんぐんのめり込んで小説が捗り、あまり乗り気でなかった一日もなかなか有意義で楽しいものとなっていた。三日月に照らされた夜梅が大人の匂いを漂わせている。帰宅すると、妹の軽が妹と同じように抜け目ない表情で止まっている。玄関の鍵穴に鍵を差し込むのが少なからず躊躇われたが、私の帰る家はここしかない。帰るなり妹が待ち受けていたので、少しだけ話をしてさっと風呂場へ直行する。いつものように1時間ほど半身浴をして、その日の老廃物はその日の内にをモットーにただひたすらに汗をかく。みんなすやすや夢の中。さ、明日は早朝からもんもんにもみくちゃにされるから早く寝なくっちゃ。翌朝、霞のようにどこからともなくもんもんのきゃっきゃと笑う声が聞こえてくる。夢うつつの中、私はむっくり起きた。途端に始まるもんもん攻撃に全身全霊備えなければ。朝ごはんを食べにリビングへ行くと、テレビにかぶりついてひっついて見ている3人の後ろ姿がなんとも微笑ましい。3歳半にもなるともうアンパンマンは卒業らしく、今はヒーローものがブームらしい。◯◯レンジャーと言ってポーズを決め、私にはさっぱりわからないが、やっぱり男の子。テレビが一段落すると私に気付いた二人から同時になお!と叫ばれ、それぞれとお決まりのハイタッチで久しぶりの再会を喜んだ。私が朝ごはんを食べている間、本を広げてずーっともんじからヒーローの説明を受ける。久しくこういう類のものを目にしていない私にはかなり難易度の高いご説明だったが、字など読めないのに記憶力が半端ないもんじには感心するばかりであった。因みに、もんたはいつでもどんな時でもママにべったりくっ付いている。食べている時しかじっとしていないもんもんに、追突され、歌を歌わされ、銅像のような日々の私にはいささか血圧が上がる次第だったが、子どもは得てしてかわいいものである。それにしても二人の格闘はすさまじい。取っ組み合いがまるで小動物が戯れているようで、それでも自然と加減というものをわきまえているらしく、さすが双子だと思う。ついでにますますお口が達者になるもんもん。4月からは幼稚園で言うと年少さんになるので、そりゃあ大きくなったよなと赤ちゃんの頃を思い出して感慨深くなった私だった。その後母と4人でお出かけへ行ったので、私はいつものようにてくてくお散歩へ。適当な時間に帰宅するとちょうど晩ごはんを食べている最中だった。帰る前にちょっとなおと遊ぶからママ待ってと言うもんた。二人同時に乗っかってきてキックされるやらドタバタ走り回るやら案の定しばしもみくちゃにされた後、あーいっぱい遊んだ!とご満悦で嵐のように帰って行った。久しぶりにもんもんに会えてうれしかったが、たった数時間で私はこれだけ疲れ果ててしまい、子育てとは体力仕事、この一言に尽きる。ところで、水ぼうそうができていたもんじ。お腹にポツポツと丸い湿疹が飛んでいて、妹に薬を塗ってもらっていた。アトピーはほとんどわからないぐらいにまで良くなっていて、アトピーの辛さを知っている私は一安心したが、おそらく思春期に一気に噴き出てくるのではないだろうかと思う。