今年の発表会は・・・
指に 秘める 想い私が産まれた時、家にはピアノがあった。幼い頃は鍵盤の上を走り、時に蓋で手を挟み大泣きし、共に成長してきた。幼稚園の頃から近所の先生に習い初め、私はもう30歳に迎えた。ピアノ歴かれこれ25年。25年経ってやっとピアノというものを理解し始め、弾く楽しみを感じられるようになってきた。これまでは半分仕事でもあったものが、完全に趣味に転じたからかと思う。間違いなく、多発性硬化症(MS)を発病して2年間発表会から遠ざかった頃からだ。今年は発表会復帰3年目になる。明らかに今まで見えなかったものが見えてきている。ピアノは私自身であり、自分の一番近い場所で生涯を共にする「一部」だ。だが、今より少し遠のいた所で一定の距離を保っての併走にしたいと思う。こんな気持ちが芽生えるとはまったく想像していなかったが、今はそう思う。今年の発表会は昨年とはまた違う想い入れになりそうだ。