カメラの目
10/20日の大田黒さんの日記、「人は本当に捉えたいことを捉えることはできない」、カメラで例えて書かれていたことが、とても面白かった。私は写真を写していて、ちょうど逆なことを感じることが多いのです。フィルム一眼レフは、昔アサヒペンタックスSV,SP,オリンパスOM-2を使っていました。わりと身体と一体感があり、フォーカルプレインシャッターでしたが、シャッターを押しているときの闇は、まばたきしている感覚でした。あのバシャッという音もなかなかによいものでした。シャッター速度が遅くなると三脚とレリーズを使うので、フレーム内に切り取る感覚でした。本当に捉えたいものが、写っていることは素人にはほとんど無理なことで、プリントや加工の段階まで視野に入れての作業が必要だと思いました。それでデジカメなのですが、私は小型のペンタックスOptio550を使い始めて1年余りですが、見えない時間(闇の時)が、長く感じられます。連写するときはまったくタイミングがずれます。(連写機能はまだ使ったことがありませんが)つまり写された映像がカードに記憶される時間が、必要なためだと思うのです。タイムラグが生じるというのでしょうか。夜景や花火を手持ちで写していると、完全に目で見たものを捉えることはできません。それがすごく面白いのです。私にとってカメラは、捉えたいと思ったことを捉えようとするより、カメラが写してくれる意外なモノ、自分の目では捉えられなかったものを写してくれる世界が、珍しく楽しく発見なのです。これは早く言えば、無知な素人だからできる楽しみなのですが。だから、大田黒さんのまっすぐな視線を、新鮮に興味深く読ませていただきました。そして付録の発見。ラグタイム(ragtime)とタイムラグ(time-lug)を混同していました。ラグタイムはジャズ演奏の形式とその曲。rag==ぼろきれ。布切れ。つまらぬ物。くだらない人間。lug==遅れること。遅延。ずれること。タイムラグは関連しあう二つの現象の間に生ずる時間のずれ。捉えようとして、すりぬけて行くもの。ぼろぼろの時間。遅刻物。そんなものが、写せたらいいなと思う。思っているだけだけど。