古典朗読CD
ブログを始めた頃、日本の古典の朗読CDを聞いていた。ある日、山上憶良のCDを聞いて以来、ふっつりと止めてしまった。あまりにも同じだったから。現代日本人である私は彼と同質で、なんら進歩も変化もしていなかったから。日本の古典を読んでいると、いらだってくるのだ。血を思い出させられ、蓋をしていた不快なものやらがもそもそとこみ上げてくるのだった。まあなんと、不遜なものの言い様なのだが。それが何を思ったかふと唐突に、「枕草子」を筆写してみようと思い立った。亡義父は書や絵画をよくした人だったので、40年以上前の未使用の半紙や巻紙が残っていたりする。今は変色し穴が開いたり端が破れていたりするのだが、私はそういう物が捨てられないのだった。どうせ使い道がないのなら、私が下手な文字を書いてもかまわぬだろう。と思い立ち、筆ペンを買ってきて書き写し始めた。写経なら精神が落ち着くのだろうか。私はやはり苛苛しながら書き写している。とにかく紙があるだけ書き写してみたい。苛苛しながらやめられないのも、いとをかし、と思う。