亡命北公使が証言「昼は金正恩万歳、夜は布団かぶって韓国映画」 2016-12-28 朝鮮日報日本語版
亡命北公使が証言「昼は金正恩万歳、夜は布団かぶって韓国映画」 2016-12-28 朝鮮日報日本語版 韓国に亡命した北朝鮮のテ・ヨンホ元駐英公使は27日、韓国メディアとの会見に初めて応じ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の暴政のもと、地位の上下に関係なく「陽奉陰違」(表向きは信奉する振りをしながら、内心は違うこと)が身に染み付いている北朝鮮エリート層の実像について証言した。 ■金正恩氏の「恐怖先行政治」 テ・ヨンホ氏は「金正恩体制は今、内部的に腐敗が進んでいる。昼間は金正恩万歳と叫ぶが、夜は布団をかぶって韓国映画を見ているのが北朝鮮の現実だ。人々のこのような言動をよく知っている金正恩氏は、住民や幹部を監視する恐怖統治をしている。金正恩政権は親子間の最も崇高な愛さえ利用、海外駐在職員は子どものうち1人を北朝鮮に人質に取られている」と述べた。 テ・ヨンホ氏は「金正恩氏の恐怖政治は金正日(キム・ジョンイル)総書記を上回る」とも言った。その一例として、金正日時代の大規模行事では保安要員が丁寧に住民たちの身分証をチェックしたが、金正恩政権以降は軍服姿の保安要員が機関銃を突き付けて身分証を確認するという。同氏はこれを「恐怖先行政治」と呼び、「人が持つ恐怖心をまず刺激し、絶対に反抗できないようにするものだ」と言った。 その上で、「監視はあらゆる(領域の)末端まで及んでいる。10人もいない公館には専任の監視要員が付かないので、公使が大使の監視役をする」と語った。しかし、「人がやることなので、仲間を監視して報告するなんて話にならない。韓国ドラマを見ていることを知りながらも、お互い目をつぶっている。北朝鮮の一般住民はもちろんのこと、エリート層も日和見主義的に生活している」と吐露した。 そして「私も『金正恩万歳』と叫ばざるを得なかったし、日和見主義的に生活するしかなかったことを恥ずかしく思っている。英国で違う階層の人に会うと、ほとんどが『あんな北朝鮮の体制をどうやって広報するのか』と聞いてくる。職務上、北朝鮮体制を擁護しなければならないため、非常につらい日々だった」と告白した。 組織部副部長もCNN見られず テ・ヨンホ氏は「北朝鮮は外部情報の流入が徹底的に遮断された状態で存在している。これは誰にとっても例外ではない」と言った。韓国メディアや海外メディアは対南関係機関と外務省の一部職員にだけ限定的に許可されているだけで、朝鮮労働党の中核エリートである政治局委員でさえ接することができないという。 同氏は「(高官クラスも)国から提供される『参考通信』や『データ通信』などのフィルタを通した情報しか見られない。(朝鮮労働党で最も力のある)組織指導部の副部長が外務省に行っても、米CNNが見られる部屋には近寄れない」と語った。 そう言いながらもテ・ヨンホ氏は「金正恩(政権)は終わりだと断言できる」と言い切った。「政権樹立から70年たった今でも恐怖政治と処刑が続いている社会に未来はない。住民はもちろん、エリート層も北朝鮮のこのような世襲体制に未来がないと思っている」と言い、「外部情報の流入」の重要性を強調した。 「北朝鮮は外部情報の流入を遮断するためありとあらゆる措置を取っている。私のような外部に出た人々は知っているが、北朝鮮に戻ると何も言えない。外国暮らしをして戻った子どもたちにも監視を付ける」と言った。 ■貧しい北朝鮮の外交官たち 北朝鮮外交官の給料を聞くと、テ・ヨンホ氏は「話すのが恥ずかしい。それでどう暮らせばいいんだと言うほど少ない」と答えた。イギリスでは大使が900-1100ドル(約10万-13万円)、公使・参事は700-900ドル(約8-10万円)だったという。「北朝鮮社会自体が兵営で、大使館は北朝鮮社会の縮図だ。大使館では家族が集団生活をしている。電気代・水道代などは国が出してくれ、外交官は衣食住の費用だけ使うので生活できた」と証言した。 李竜洙(イ・ヨンス)記者 , キム・ミョンソン記者