あすとろ日記

[棋譜（プロ）] カテゴリの記事

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  今日の秀策　太田雄蔵戦　三十番碁第23局

  図書館で借りていた日本囲碁大系の秀策、一通り並べました。借りている期間に余裕があるかと思ったら、最後は駆け込みみたいになってしまいました。明日が期限でしたが、明日は宝酒造杯があって図書館に寄れないと思うので今日返しました。解説のない棋譜を含め、全部で３９局。絶局だろう御城碁１９局目を含め、張り合い無いくらい差のある対局が多かったと思います。それでも松和との御城碁第４局や、幻庵因碩との対局、太田雄蔵との打ち込み碁など、面白い碁も何局かありました。石田芳夫九段の解説は辛口で良かったと思います。太田雄蔵との三十番碁は、１７局目で秀策が雄蔵を先相先に打ち込みました。手合いが直ってから２３局目まで打たれていますが、最後の碁は、「雄蔵畢生の傑作」。秀策がそう評していると書かれていても、日本囲碁大系には棋譜が掲載されていません。古典名局選集の秀麗秀策にはその碁がありましたので、並べてみました。太田雄蔵の白番、結果はジゴ。手合いが直ってから２３局目まで、雄蔵の１勝３敗２ジゴでした。雄蔵は、この対局を最後に引退し、３年後新潟遊歴中に５０歳で亡くなったとのことです。白１、３からコウ仕掛けたのは、いくぶん足りないといてのことらしい。このコウをきっかけにジゴに持ち込んだということなのでしょうね。黒２２はコウ材で打ったはずだと思うのですが、続けて打たないのは何故なんでしょうね。秀策は、コウを譲っても勝てると思ったのでしょうか。秀麗秀策は解説が殆どないので「畢生の傑作」も何だか淡々と並べて終わってしまいました。

  2008.05.10

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  今日の秀策　村瀬秀甫戦　十番碁第６局

  秀甫は秀策の後継者と自他共に認めるところであったとのこと。かつて秀和が秀策を鍛えたように、秀甫の六段昇段を機に、秀策が十番碁を打ったらしい。手合いは秀甫の定先。この碁の結果は、白番秀策の３目勝ち。十番碁の結果は、秀策３勝、秀甫６勝、１ジゴ。第１０局の１０日後、文久元年１１月に秀策は御城碁を２局打っているが、その後に残された棋譜は無いとのこと。翌年文久２年８月１０日、秀策は数え３４歳の若さで病没した。黒１とコスんだとき、白２のツケが妙手。ここで秀甫は黒１の上に打ち反発したが、黒２の上に受けて辛抱するのだったと、秀甫は自ら評しているとのこと。黒が黒△と反発して以降、黒１までで振り変わりは一段落。ここで白２に飛んで、白が優勢とのこと。

  2008.05.09

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  今日の秀策　服部正徹戦　御城碁第16局

  服部正徹は幻庵因碩の門下。井上家１３世に内定していたのに、錦四郎にひっくり返され、錦四郎が１３世になった。そのため、幻庵は正徹に服部家を継がせたという経緯があるらしい。秀策の先番、結果は黒番秀策の１３目勝ち。白の正徹が白１とやんわりカケた場面、ここで黒番でどう打ちますか。秀策は黒２のハネから、黒４、６。白７で両アタリが生じたにもかかわらず、黒８から１４とは凄い。白に両アタリを打ってもらおうという手。黒２０までのわかれは黒に不満なし。お見事です。

  2008.05.09

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  今日の秀策　伊藤松和戦　御城碁第12局

  ペリーが来航したのが嘉永７年、その翌年安政２年１０月に江戸に大地震が起きた。この碁は安政３年の対局。ちょうどＮＨＫの大河ドラマで舞台となっている頃の出来事ですね。伊藤松和との御城碁の３局目の対局にして、秀策初の白番。結果は、白番秀策の中押し勝ち。黒１のノゾキに対して、白のシノギが勝負、というところで白２のツケ！これまで白は取るものを取っているので、軽く転身できればよいという発想らしい。石田芳夫九段は、白２から白１２まで、「手段縦横といった感じ」と評している。右辺は攻め合いとなったが、白が取りきり、１５４手で松和は投了。天保四傑のうち松和、算知、仙得の三人は、結局、秀策に御城碁で四戦全敗だった。

  2008.05.08

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  今日の秀策　安井算知戦　御城碁第10局

  秀策の御城碁の中で、一番の苦戦は伊藤松和との第４局と書かれています。日本囲碁大系の秀策では冒頭に取り上げられており、生涯を代表する１局とされています。先番の秀策が序盤の疑問手から苦戦に陥り、何度ものコウを徹底的に頑張り逆転しました。この御城碁第１０局は、秀策にとって、その松和戦に劣らぬほどの難局であったとのこと。先番安井算知、結果は白番秀策の１目勝ち。算知といえば、ここでも紹介した御城碁第１局や第６局では、一方的に圧倒した相手です。意外な感じもしますが、いかに秀策でも白番はそうらくには勝ちきれない、とあります。もし算知がヨセを正確に打っていたら、御城碁痛恨の一敗を喫するところだったようです。黒に白の薄みを攻められ、黒１の場面では黒ややリードとのこと。石田芳夫九段によると、ここで黒３、５がおかしかったらしい。左上黒１１から１０の左のハネが急務で、それなら黒逃げ込めたとのこと。しかしまだ黒がリードしているらしい。右辺黒１３が好手だったが、黒１５が凡手。黒１５では１６の二段押さえが成立し、白の右辺は破れ、黒の勝ちが確定するところだった。白１６と渡ることができ、秀策は命拾いをした、とある。と同時に、きわどいながらも白が逆転。もう黒に勝機が無いというのだから驚きだが、黒１５は算知にとって痛恨の一手となった。

  2008.05.07

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  今日の秀策　太田雄蔵戦　三十番碁第20局

  手合いが先相先になってから３局目、秀策の黒番。結果は、黒中押し勝ち。白２０のポン抜きは本手で、手厚く抜いて大勢に遅れることはない、とのこと。ただ、白２４は疑問で、黒２９絶好点を黒に打たれては、黒の楽な布石らしい。石田芳夫九段によれば、白２４あるいは２８でも、２９の所に向かうべきだった。白１に黒２と左下隅に入られ、地合のバランスが崩れたとのこと。石田芳夫九段の解説では、白１は８のところに下がって頑張りたかった、とある。黒８があざやかな決め手。四隅を取って黒の勝ちが決まった、とのこと。

  2008.05.06

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  今日の秀策　太田雄蔵戦　三十番碁第17局

  太田雄蔵との打込み碁の第１７局。秀策は第１４局に勝ち、８勝５敗１ジゴと雄蔵をカド番に追いつめたが、第１５局は雄蔵が勝ち、しのがれている。第１６局に秀策が勝って、雄蔵再びのカド番であった。先番太田雄蔵、結果は秀策の３目勝ち。通算１０勝６敗１ジゴとなり、とうとう太田雄蔵を先相先に打込んだ。秀策の父親宛の手紙の中で、この碁は自慢の局という主旨のことを書いているとのことだが、雄蔵は序盤から変調、あっさり押し切られてしまった感がある。白１０、１２、１４は秀策の新工夫とのことであり、３手に６時間かけたらしい。石田芳夫九段によると、黒２１が時期尚早、この手では右下隅Ａが手筋とのこと。白２２を利かされるのがつらく、白２４で黒は打つ手に困った形とのこと。黒１ツケは短気。隅の１子を取り込んでも味が悪い。黒１９、２１と手をかけて白２２に開かれては、白が明らかに優勢とのこと。黒１から懸命の消しだが、白は無理をしない。秀策の父親宛の手紙の中でも、白３６で勝ちを読みきった主旨のことが書かれているらしい。後は手堅く「万に一つも間違いのないヨセ」を打ち、がっちり勝ちをおさめた。

  2008.05.06

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  今日の秀策　太田雄蔵戦　三十番碁第３局

  秀策が太田雄蔵に互先に追いついた後に打たれた三十番碁の第３局。算知、松和、仙得、正徹らが「秀策こそ当代の第一人者」と意見が一致した中、秀策と互先で打ち分けていた太田雄蔵のみがそれに同調しなかったことから、この打ち込み碁が実現した。互先、太田雄蔵先番、結果は秀策の２目勝ち。白番をいくつ入れられるかというコミなし番碁で、三局目に早くも秀策が白番を勝ちました。この対局の解説には石田芳夫九段のいつもの辛口解説に加えて秀和の評も紹介されています。解説からの印象では、雄蔵に勝つ機会が多かったように思いました。まず序盤ですが、石田芳夫九段によれば、白１２が手止まりの感じで、現代のコミ碁なら、もう既に黒のいやな布石になっているそうです。黒７から１１まで、ピンとこないらしい。秀和の評に白１は悪い、とあるそうです。譜のわかれは白が損をしているとのこと。雄蔵の方も、黒１４から２０の趣向は悪く、このため細碁になったと秀和に評されている。石田芳夫九段によれば、黒１４は「甘すぎて論外」、単に黒２０で黒が面白かったとのこと。この場面、黒２はやりすぎではないかと、石田芳夫九段の解説がありました。黒２で１３にかければ、黒が悪くない感じとのこと。ここもまた雄蔵の逸機。秀和に黒１は悪く、他に打てば黒が少し勝った、と評されている。黒１は白をいじめたかったはずだが、あっさりしのがれてしまった。石田芳夫九段は、秀和言う「他」とは、黒３の右下のノゾキだろうと指摘している。最終的な敗着は、石田芳夫九段によると、黒２３のカドらしい。ここに２手かけ白２８に切られては、はっきりしたとのこと。逆ヨセの黒３３を打っても、白３４が劣らぬ大きさで、負けをまぬかれないらしい。雄蔵には惜しい一局だったようです。

  2008.05.05

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  今日の秀策　坂口仙得戦　御城碁第９局

  こちらも棋譜のみ。解説はありません。秀策が黒番、坂口仙得が白番で、１２１手完黒中押し勝ち。たかだか１２１手の棋譜なのに、並べるのにかなり時間がかかってしまいました。というか、途中で寝ちゃってました。黒２１までで左下の黒の構えが立派ですね。白２２とカタツキから消しに来ましたが、、白は活きるのに四苦八苦、左下の黒地は大きくまとまりました。

  2008.05.03

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  今日の秀策　伊藤松和　御城碁第８局

  解説なしで棋譜のみ紹介されていた伊藤松和との御城碁第８局。秀策の先番。棋譜は１５９手で止まっているが、黒６目勝ち。白１６に飛ばれて下辺の２つの黒石がどうなるのか気になるところですが、、終わってみると、左上の白が右上とつながる間に、左上の黒地が大きくまとまり、下辺の白もいじめられて２目の活きとなるうちに中央の黒にいくばくかの地ができました。

  2008.05.02

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  今日の秀策　安井算知戦　御城碁第６局

  安井算知との御城碁第６局。こちらは解説なしで棋譜のみ紹介されていた碁です。秀策先番で中押し勝ち、１５１手完。右上黒１手目の小目にいきなりカカリ、三間バサミに大斜ガケで戦いが始まりました。右上から段々中へ石が広がっていきましたが、中央の白が治まっているうちに、気づいたら左下に大きな黒地が出現していた、という感じ。御城碁第５局の解説の余談に書かれていたのですが、本因坊家は他門との試合におくれを取らないよう、段位を控え目にしておくのが例だったそうです。石田九段が手合い違いだというくらいだから、秀策の段位は実力より低かったのでしょうね。

  2008.04.29

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  今日の秀策　林門入戦　御城碁第５局

  林門入との御城碁第５局。林家は初代は門入斎で、２代目からみな門入（もんにゅう）というそうですね。ややこしい。こちらは１２世柏栄。柏栄、太田雄蔵、竹川惣和の３人が碁界の三美男だったとか。棋力の方は、七段になっているものの、「力、段に及ばず」といわれていたそうです。秀策先番、７目勝ち。石田芳夫九段、「手合い違い」発言が出ています。黒３８は「耳赤の一手」を連想させる一流の感覚だそうです。中の白は取られては大きすぎるので仕方なく動いているだけで、さっぱり感激がないらしい。

  2008.04.29

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  今日の秀策　関山仙太夫戦

  関山仙太夫は、江戸囲碁史の中で最強のアマだそうです。本因坊家に入門していたそうですが、本業は信州松代真田藩の武士。名人丈和に二子で１目勝ったことがあり、手合割りからすれば五段格。この碁は、仙太夫が秀策を松代に招待し、連日二十番打ったうちの第一局。石田芳夫九段がこれを選んだのは、仙太夫の力を知らない秀策が本気で打っただろうから。仙太夫の定先、結果は白の中押し勝ち。ちなみに二十番の結果は、仙太夫の定先で秀策１３勝、仙太夫７勝。まず感心したのは、白７のツケに対する対応。これは変化図ですが、黒８などと受けると、白９から先手で生きられてしまいます。実戦では、白７に対しては、じっと黙って黒１４のツギでした。石田芳夫九段がプロとアマの差が出たという場面がこちら。白３の手は秀策の見損じで大悪手とのことですが、白１５の手がプロらしい手。それに対して黒２０は打ちすぎで、右上黒Ａなら、黒に望みの持てる碁だったとのこと。最後は白１から秀策が勝負を決めに出て、白３３で白の中押し勝ち。しかし秀策相手にこれだけ打てるのだからすごいですね。

  2008.04.29

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  今日の秀策　秀和17連戦の第１５局

  秀策と秀和の１７連戦の第１５局。結果は黒の中押し勝ち。手堅いばかりでなく力の強さを示した一局。白１から７と隅の黒４目を取ったのは秀和の勝負手とのこと。右隅の取られていた白が黒を取って復活したのは大きい。しかし、秀策がただでそんなことを許すわけはなく、中の白を全滅させてしまった。途中白９という油断ならない手に対しても誤ることなく、きっちり仕留めた。

  2008.04.26

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  今日の秀策　秀和17連戦の第５局、第９局

  秀策と秀和の１７連戦から第５局。この碁は、石田芳夫九段曰く「秀和の不出来」とのことであり、あっさり決着した感あり。黒１０３手まで、黒中押し勝ちです。ちょっと物足りないですね。黒１に白２が「不可解」、白は各所が薄く、自ら非勢を決定的にしたとあります。白２では５の切りが必争点だったとのこと。黒１９のハネで白Ａには黒Ｂで良く、白２が「いかにつまらぬ手だった」ことか。１７連戦の９局目。８局目まで秀策７勝１敗。とうに先相先に手合いが直るところだが、秀策は頑として白を持とうとしなかったらしい。白１から１９のカケまで、白は十分に打ちまわし、白に楽しみの多い局勢いとのこと。しかし、白２９ツケから意外な展開へ。そして結果は、ジゴの可能性もあったが黒１目勝ち。石田九段によれば、碁がいいのだから白２９では手厚く打ってよかったとのこと。

  2008.04.25

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  今日の秀策　丈和との二子局

  秀策と丈和との碁は、この二子局（打ち掛け）一局だけとのこと。丈和は丈策に跡目をゆずり、隠居した身ながら名人、九段。秀策は五段なので手合いは二子。秀和が先を支えられないくらいなので、これまた手合い違い。解説では「むろん丈和も承知で、おもしろく打って見せた気味があった」とのこと。白１からの出切りに黒４が「絶好のノビきり」。白は出切る前に、４のアテを決めるべきだったろう、と書かれています。（白がそのアテを決めていたらどうなっていたのだろう？）黒１８の切りで「もう碁は終わっている」とのことだが、は、早すぎる。実際、この後しばらく打って、ここの白の一団は全部取られてしまう。秀策先生、強すぎです。

  2008.04.24

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  今日の秀策　秀和17連戦の第一局

  大阪で井上家の因碩、順節に鑑賞した秀策は、江戸に戻り五段へ昇段しました。また、秀策を当主丈作の跡目の秀和の次の跡目に、という話が持ち上がります。と同時に、秀和による秀策鍛錬シリーズというべき１７連戦が始まります。すべて秀策の先で打たれた結果は、秀策の１３勝４敗。「同門の稽古碁であるから、勝敗にこだわらないにしても、手合い違い」と書かれています。その１７連戦の第１局の終局図がこちら。白半コウ勝ちついで、黒６目勝ち。秀策が手堅く打って手堅く勝ったという印象です。あまり面白くはないともいえますが、そんな中でも秀和は油断ならない手を打っています。例えば下図の白△のケイマ。これに黒１から出切っていったりすると、白１８まで黒ハマリ。さすがに秀策はこんなことにはなりませんが、私なら何も考えず黒１に打ってしまうかも。

  2008.04.24

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  昨日の秀策から

  秀策と因碩との「耳赤の一手」の碁の中で、変化図として示されていた中のひとつです。実戦は黒Ａに打ちましたが、黒２で利かそうとすると、どうなりますか、という問題。白から「へえ、なるほど」という手が飛び出します。

  2008.04.24

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  今日の秀策　井上因碩戦

  桑原秀策と井上因碩、あまりにも有名な「耳赤の一手」の一局。黒１２７手目がその場面。秀策の先、結果は黒２目勝ちとなるけれど、なかなか難しい碁ですね。色々変化を解説していたら、この碁だけで本が一冊書けるのではないでしょうか。なお、日本囲碁大系では３目勝ちとなっていますが、２目が正しいらしい。ＰＣソフトの地合計算では２目となり、どう見ても３目にはならないのでおかしいと思ったら王メイエン九段の「囲碁ミステリーツアー」に２目勝ちが正しい旨、書かれていました。それまでの因碩の打ちまわしが素晴らしいということは、日本囲碁大系の石田芳夫九段の解説や、「囲碁ミステリーツアー」のメイエン九段の解説で何となく分かるような気になります。右下隅の大斜からの変化でコウ争いとなり、下図の２７の場面では白良し、とのこと。石田芳夫九段によれば「右下半分は黒石のほうが多いのに、双方の地が釣り合っており、そう黒地が多いとはいえない。よほどがんばらないと、勝つのはむずかしい」。石田九段説では、黒２２は２４の左に打って１目取るべきで、白２３に抜かれて黒２４の後手活きには「激痛」を覚えるという。また、メイエン九段も黒２２は問題視しており、この手では２５の右に打ちたいという。耳赤の一手が打たれる直前の場面。石田九段は、因碩は６のハザマに期待したのだろう、と書いている。気の緩みもあっただろうが、白６はかなりの好点であり、耳赤の一手が出た後で白６を非難するのは結果論だと。その一方で、石田九段なら、左辺のツメで下図白１と打ち、３と囲っておくとのこと。これで細かくとも白の勝ちは動かないらしい。このあたりの事情については、「囲碁ミステリーツアー」の中でメイエン九段が因碩の立場から、なぜそう打たなかったのか理由を書いており、面白い。耳赤の一手の後、しばらく進んだ場面。この間、白はほとんど何も打っておらず、左辺にツメた石も取られてしまっている。ここでは黒が逆転しているらしい。前半の因碩の打ち回しからすると、不思議に思えるくらいの展開。しかし、勝負はそんなに簡単には決まらない。石田九段は、コウを避けた黒１、３は「秀策が勝ちを読みきったことを示す」と書いている。ところがメイエン九段による因碩の説では、この場面では白が勝つ手順があったという。秀策は正しく打てばジゴになるところを、勝負手を放った、というのだ。因碩が正しく打てば白１目勝ちだったが、間違えてしまったらしい。興味のある方は、「囲碁ミステリーツアー」を読んでください。私には頭が痛くて、メイエン九段の示すヨセの手順を追っていけませんでしたが。最初から最後まで、実に難しい一局であった。

  2008.04.23

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  今日の秀策　中川順節戦

  丈和は、将来の秀策となる安田栄斎が１０歳の時に道場で碁を打っているのを見て、「是れ正に百五十年来の碁豪にして、我が門風これより大いに揚らん」と言ったそうです。百五十年ぶりとは道策以来を指しているとのこと。これについて、林裕氏は、秀策が幻庵の弟子にでもなって、九歳上の秀和と角逐して、真剣勝負の譜を残してくれていたらすばらしかっただろう、ということを書いておられる。夢の組み合わせというところでしょうか。そう言われると確かに見てみたかった気がします。安田秀策四段、中川順節五段、秀策先相先の手合いで秀策の白番。このとき秀策は１８歳。秀策は四年前に二子で順節に４連勝していますが、今回も黒、黒、白、黒と４連勝でした。どうも順節に問題手が多く、秀策が楽勝した印象があります。黒１カケツギは白２と叩かれ、「とうてい賛成できない」と石田芳夫九段の評があります。黒１では、とにかくノビる一手。白２の切りには黒３と取り、コウにされても黒の取り番だしおそれることはない、とのこと。次は、幻庵因碩との有名な耳赤の一手の局の予定。

  2008.04.22

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  今日の秀策

  図書館から借りてきたもう一冊の日本囲碁大系１５「秀策」も、少し並べているところです。印象に残った場面とか「へー」と思った手とかを、忘れないように書いておこうと思います。黒が桑原秀策、白が兄弟子の本因坊秀和。二子局、黒中押し勝ち。右下隅、白３で白Ａのツケだと黒Ｂにつめられそうだ、という解説は「なるほどたしかに」という感じですが、黒６の割り込みに手を抜いて白７にはびっくり。石田芳夫九段によれば、白Ｃ、黒１２を決めて白８だと、黒７にケイマされて打つところがなくなってしまうとのことだけれど、到底自分には思いつかない。白１５は黒の受け方を聞いた手だが足が遅かったとのことで、黒１６が機敏な返し技。この後もコウ争いなどが起こりますが、黒はあっさり勝った感じがしました。こちらは黒が桑原秀策、白が太田雄蔵。二子局、黒中押し勝ち。「太田雄蔵は安井門の豪勇、二つ置いて胸を借りるのであっても、他流試合の真剣勝負」とあります。白１は見るからに味が悪いけれど、雄蔵の誘いのスキだったらしい。これに秀策がまんまとはまった格好。黒２では、何にもやらずに１３の左に飛び出した方が、白は困ったに違いない、と書かれています。しかし、黒３０以降、読み合いを制して、秀策の中押し勝ち。先の秀和との対局と違って、まさに戦いという碁で、面白かったです。

  2008.04.21

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  ネット対局観戦のハテナ３

  幽玄の間で、王座戦最終予選決勝、依田紀基九段対武宮正樹九段の碁を観戦しました。結果は、依田紀基九段が白番中押し勝ちして、本戦出場を決めました。依田九段は、本戦では趙二十五世本因坊、高尾本因坊、張名人のいる山に入ったようです。厳しそうですが、我々からすると好カードが楽しめますね。それにしても、武宮九段は、いまひとつ調子が出ていなかったように思えます。以下は、私のまったく個人的な感想です。序盤白２０手までですが、既に黒が嫌な感じだと思われます。右下隅の分れは黒の三連星の勢力がそがれているように感じますし、全体的に黒は石が右側に偏っています。白１６の後、右上を攻める黒１７も、白１８とかわされては、白の方が軽快に見えます。手元の「世界の新定石ＰＡＲＴ１」によれば、右下白３以降の変化は、あまり変化の余地がない、とあります。そうすると、さかのぼって白６のカカリに黒７と受けたのがどうだったのかな、と思います。右上白のカカリには、黒１ハサミとか、積極的に行くほうが良かったのではないでしょうか。もしここで白２の両バサミなら、先手を得た黒は左下に回れます。実戦よりはこっちの方が良さそうに見えます。以上、武宮先生、生意気なことを言ってごめんなさいです。

  2008.04.17

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  ネット対局観戦のハテナ３

  １４日に行われた第21回世界選手権富士通杯2回戦、日本勢で唯一勝った依田九段の対局は、黒番の姜東潤七段が投げたようですが、昨日もちらりと書いたように、終局場面は相当細かいように思えます。半目勝負のように見えるのですが、気のせいでしょうか。もう打つところが殆どないから、負けと見て投げたのでしょうが、ここまで来たら最後まで作ってくれたらすっきりするとのにと思いました。昔懐かしい、大竹美学というのとはちょっと違いますね。２７８手完、白中押し勝ち（アゲハマは黒８、白５）

  2008.04.15

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• 棋譜並べ色々

  GO!さんの「アマに向き不向きの碁などない」という記事を読みました。皆さん色々な思いがあるものだと思いました。（それにしても今日の日記は数が多いな。）GO！さんは「武宮先生の碁がわかりやすく見えるのも表面だけで」、「読んでいないように見えて、水面下では「読みが深い」という趙治勲先生に負けず劣らず読んでいると、私はふんでいる。」と書かれています。仰る通りと思います。今日借りてきた「秀策」の前書きに、瀬越憲作九段の言葉が紹介されていました。「秀策は強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明化している。」さらに石田芳夫九段は、「あらゆる変化を読みつくした上で、これで勝てるとみれば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ。棋理にあかるく、大局観にすぐれていればこそ可能な業」と書いています。私が勝手に、簡明な碁というイメージを持っていた秀策も、実は読みの深さがあってのこと。GO!さんの武宮九段の碁に対する評と同様の指摘ですね。その人の棋力によって、見えてくる姿が違ってくるのだろうなあと思います。武宮九段の碁が分かりやすいと思っても、しばらく経てば実は難しいということが分かってくるでしょう。私は武宮九段の碁を真似ていますが、最初の頃は、模様に入ってきた相手をうまく攻めることができないことに対して、フラストレーションが溜まりました。こんなところに打ち込んでくるなんて、碁の法にないハズと、自分勝手に憤慨してましたね。そして、攻めるつもりが逆に潰れたりして、自らの非力さにも腹を立てていました。（最近は、どんなところにも手はあるものだと、多少丸く（？）なってきました。）私は、理解できるレベルに達していなくても、その時に何か感じるものがあれば、後で何らかのプラスになるものがあるだろう、いやそうであって欲しい、と思っています。その点、自分で本を読んでいて、武宮九段の碁は、こういうところが大きいのかとか、ここに一手入れておくのが本手なんだなとか、漠然とではあっても、分かりやすいと感じ、勉強になる部分が多いと思うわけです。趙治勲二十五世本因坊の碁も好きですが、大盤解説などで詳しく解説してもらわないと、着手の意味がまるで分かりません。本で勉強する題材としては、難しいと感じています。

  2008.04.13

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  碁に強くなるには

  引き続き藤沢秀行九段の「勝負と芸」から。「碁に強くなるには」と題して、アマチュアとプロの勉強法について述べられています。プロの勉強法はさておき、アマチュアについて書かれていることを簡単にご紹介しましょう。・アマチュアは、打ちたいようにうち、楽しむことが第一。　プロのまねをするのはあまり意味が無い。　プロの碁を並べるのはいい勉強になるが、ものまねに終わっては上達もたかが知れている。　楽しんで打ち、壁にぶつかったら、別の打ち方を試すのがアマチュアの最上の上達法。・詰碁をみること。「解く」のではなく、文字通り「見る」のだ。　やさしい問題を見て、多少は頭をひねって考える。　分からなければ、すぐ解答を見たってかまわない。　難しい問題なら、解答を見ながら考える。ということでした。藤沢秀行九段は、歴代名人の中で秀栄を高く評価していることは先に書いたとおりです。秀栄と田村保寿（後の本因坊秀哉名人）の碁が一局紹介されていたので、並べてみました。田村保寿の先。黒１に対する白２以下の打ち回しに対し、以下のコメントが付されています。「名人芸とはどんなものか、この碁が教えてくれるような気がする。」棋譜データもつけてみます。１２０手まで、以下略。結果はジゴとのこと。（「石葉２」を今ひとつ理解していないのですが、これでいいのかどうか。）(;GM[1]FF[1]SZ[19]NE[B]SS[@122]AP[StoneLeaf2]PB[田村保寿]PW[本因坊秀栄]DT[明治31年10月16日]RE[ジゴ]SO[080412-58]RU[JP];B[qd]ID[1];W[dd]ID[2];B[pq]ID[3];W[qo]ID[4];B[qk]ID[5];W[nd]ID[6];B[pf]ID[7];W[co]ID[8];B[qp]ID[9];W[po]ID[10];B[np]ID[11];W[ok]ID[12];B[pi]ID[13];W[dq]ID[14];B[lc]ID[15];W[gc]ID[16];B[qm]ID[17];W[pl]ID[18];B[ql]ID[19];W[on]ID[20];B[lp]ID[21];W[oi]ID[22];B[oh]ID[23];W[pj]ID[24];B[qi]ID[25];W[ni]ID[26];B[nh]ID[27];W[mi]ID[28];B[mh]ID[29];W[qc]ID[30];B[rc]ID[31];W[pd]ID[32];B[qe]ID[33];W[mc]ID[34];B[ld]ID[35];W[qb]ID[36];B[hq]ID[37];W[ci]ID[38];B[nl]ID[39];W[mm]ID[40];B[nk]ID[41];W[li]ID[42];B[ll]ID[43];W[ml]ID[44];B[mk]ID[45];W[lk]ID[46];B[lj]ID[47];W[kk]ID[48];B[kj]ID[49];W[mo]ID[50];B[ol]ID[51];W[jk]ID[52];B[jj]ID[53];W[ij]ID[54];B[kh]ID[55];W[ik]ID[56];B[mp]ID[57];W[ko]ID[58];B[kp]ID[59];W[jo]ID[60];B[ip]ID[61];W[jh]ID[62];B[ii]ID[63];W[hi]ID[66];B[ih]ID[67];W[ji]ID[68];B[ki]ID[69];W[jg]ID[70];B[hh]ID[71];W[kg]ID[72];B[lh]ID[73];W[if]ID[74];B[gi]ID[75];W[hj]ID[76];B[fg]ID[77];W[id]ID[78];B[ei]ID[79];W[mf]ID[80];B[cf]ID[81];W[dk]ID[82];B[cc]ID[83];W[cd]ID[84];B[dc]ID[85];W[ec]ID[86];B[eb]ID[87];W[fc]ID[88];B[bd]ID[89];W[be]ID[90];B[bc]ID[91];W[ce]ID[92];B[ch]ID[93];W[bh]ID[94];B[di]ID[95];W[cg]ID[96];B[dh]ID[97];W[bi]ID[98];B[bg]ID[99];W[bf]ID[100];B[dg]ID[101];W[gj]ID[102];B[ag]ID[103];W[dj]ID[104];B[ae]ID[105];W[ee]ID[106];B[af]ID[107];W[rb]ID[108];B[ga]ID[109];W[fa]ID[110];B[fb]ID[111];W[gb]ID[112];B[ea]ID[113];W[op]ID[114];B[oq]ID[115];W[fq]ID[116];B[oc]ID[117];W[od]ID[118];B[kb]ID[119];W[mb]ID[120];B[ia]ID[121];W[go]ID[122])

  2008.04.12

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• 棋譜並べ雑感

  棋譜並べは囲碁上達のひとつの方法であると言われていますね。何度となく棋譜並べにトライしていますが、殆ど長続きしたためしがありません。（今年は頑張ろうと思っていたのですが、例によってペースダウンしちゃってます。）どちらかというと、興味のある棋士のものを並べるということが多かったように思います。例えば「趙治勲傑作選」や「呉清源打込十番碁全集」。あとは武宮九段の「三連星好局集」、「二連星好局集」など。並べている人に比べれば大したこと無いのでしょうが、数少ない経験からすると、武宮九段の棋譜はアマチュアにとって石の流れとかイメージしやすく、勉強するのに良いと思います。新垣九段が言っていたと思うのですが（違っていたらごめんなさい）、アマチュアはサバキやシノギを得意とする棋士を真似ない方が良いとのことでした。アマチュアは死活の読みが甘いので、そういう棋士を真似ると潰れるというのです。お勧めは高川九段とのことでした。高川九段は本因坊９連覇されていますし、流水不争先や平明流とは如何なるものか、私は以前から興味を持っていました。しかし如何せん、高川九段の棋譜にお目にかかる機会があまりありません。「高川秀格全集」なんて、古本屋でたまに見かけても手が出る値段ではないし。随分後になって、「現代の名局　高川格　上･下」でその棋譜を並べましたが、正直、プロが並べると良いと勧めていた感じがつかめませんでした。その点、武宮九段は先の好局集の他にも解説本が沢山出ているし、勉強しやすい。呉清源九段みたいに華麗な変わり身（私のイメージです）なんて真似できませんが、武宮九段の棋譜は解説されれば分かったような気になるし、すぐに格好を真似てみることもできます。現実には宇宙流を真似ても、模様に入ってきた相手の石が何でこんなに簡単に活きるのかと、自分の非力さを嘆くことになるのですが。久々に手元にある「武宮正樹の並べるだけで二・三子強くなる本」をめくってみると、「理屈をおぼえるのはあとからで結構。まず模範になるような碁を何回も何回も並べ、よい手、よい形というものを肌でかんじることです。」とありました。武宮九段の碁は、手本になる碁だと思います。実際、この本にも何局か紹介されています。また、「百局の碁を一回ずつ並べるよりも、一局の碁を百回並べる方が碁をよりよく理解でき、上達にむすびつきます。」とも書かれていました。私は繰り返し並べるということができていないので、上達もできないのかもしれません。まあ、色々材料はあるので、これまで通り興味のある棋士の碁を少しづつ並べていければよいかなと思います。そんなに棋譜並べに時間は取れないし（少し言い訳が入ってますが）、並べたくなった時に並べたい棋譜を並べるという楽しみ方でいいのかな、と思うようになりました。実は私が最初に買った棋譜の本は、日本囲碁大系の「秀甫」でした。なぜこれを選んだのか覚えていませんが、何となくひかれるものがあったのかもしれません。一応並べましたが、随分前の話で、殆ど理解できなかったのでしょう、何ら印象に残っていません。昨日書いた藤沢秀行九段の評だと、積極的でスケールが大きいとありますし、そのうちまた並べたいと思います。今最も興味があるのは、秀栄です。白を持っての打ち回しがすばらしいそうですし、そのすばらしさを私も感じられるようになりたいですね。これもまたそのうちにですが、とりあえずは日本囲碁大系の「秀栄」の棋譜を並べようと思っています。

  2008.04.11

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  ３子局序盤あれこれ

  この前図書館から借りてきた苑田九段の本を読んでいて、あれ、と思う場面に遭遇しました。左下隅を白△と受けたところで、苑田九段によると「ここが運命の分かれ道」。「あれ」と思ったのは、この形が武宮九段の序盤構想の本にも掲載されていたからです。武宮九段の本には、白△は逃せぬ要点であり、次に黒は打ち込みに備える、という主旨のことが書かれており、次の手順が示されていました。ところが、苑田九段によれば上の図の黒２は方向違い、黒は上辺に偏っている、とのこと。苑田流の考え方で、右上の生きている石から地を増やすのは小さい、というわけです。そこで示されているのが次の図。白７の次は、黒Ａから白を攻めます。出来上がり図がこれ。色々考え方があるものだなあと思いました。武宮九段の序盤構想の図もごく自然な形であるように思います。苑田九段の本は、武宮九段の本より後に書かれているので、あるいは武宮九段の本を意識して書かれたのかもしれません。苑田九段の図も示されればそうかなと思いますが、戦いになりますから難しい面があるかも。その時の気分によって打ち方を変えるというくらいのことかなあ、と思いました。いつも戦ってばかりでは疲れますからね。もし私が苑田九段の示した図のような手を打たれると、しつこいなあと思うかもしれません。

  2008.04.05

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  カド対策

  週刊碁に「イソと井山の最新定石ファイル」という連載があります。黄七段と井山七段が、新しい定石の変化を研究しているものです。今週号で３０回目で、欠かさず（１回分抜けちゃったのですが）取っておこうと思います。先週号から、結城九段のＮＨＫ囲碁講座の初回でも取り上げられた手が研究されています。結城九段のテキストを見返すと、正しい定石手順として、白１２までが示されています。黒ａには白ｂで、この戦いは白のり、とある。ところが、今週の「イソと井山の最新定石ファイル」では、少々異なる見解が出ていました。手番も周りの状況も異なりますが、白８と「手強くハネられ、白が打てる」らしい。この場合には「黒ａと切っても、白ｂとワタられて苦しそう」とのこと。状況に応じて良し悪しが変わるということなんでしょうけれど、なんとも難しいですね。私のレベルだと、実戦で使うと、定石を覚えてなんとかになりかねない。この形、「イソと井山」ではまだ続きがあるようなので、次号が楽しみです。

  2008.03.17

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  大盤解説その５

  黒１の三々に対して、私などは白３の方から押さえてしまいそうなところ。白２から押さえたのは、簡単には活きられませんよ、損な手を打ってください、ということ。（らしい）実際、黒は７を犠牲にしないと、活きることができない。ということで、大盤解ダイジェストは、ひとまずここまでにします。１時間半少々の中で、ここには書ききれない変化図を沢山示して説明してもらいました。なかなか面白かったです。

  2008.03.15

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  大盤解説その４

  実戦白１１８手目（図のＡ）では、白１が大きかったらしい。白１のハネで黒６子は取れており、これで勝負は決まっていたのではないか、とのこと。白Ａに対して実戦は黒Ｂだったが、正しくは黒１下がりだったらしい。黒１に対して白が黒の目を取りに行っても攻め合いに勝てない。間違えたのではないかとのことだが、実は山下棋聖は分かってたのでは、と私は思いました。黒はコウが強いので、右辺に回って頑張ろうという意図ではなかったか、と。それで実戦は右辺黒８のコスミに回り、ここを先手でセキにしたのが大きい。白も右下隅Ａが利き、黒からの飛び込みが無くなったので、そんなに損をしていないらしい。

  2008.03.15

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  大盤解説その３

  黒１（実戦１０３手目）に白２は、黒Ａに割り込まれる手を横目に、頑張った手とのこと。黒３に白４がうまい手だったらしい。白４で黒からの割り込みを防ぎ、黒５と打たせ、以下右下を地にして白が巧く立ち回った。白８に黒９で黒５がまるで意味の無い手を打たせた格好になっている（らしい）。ただ、黒１５では黒Ｂに打つ手があったのではないか、とのこと。従って、白はその前にひとつ白Ｃにツケておくべきだった（らしい）。黒５では９に引く手があったかもしれず、コウ絡みの変化図もいくつか示してくれました。しかしよく覚えていないので、ひとつだけ。

  2008.03.15

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  大盤解説その２

  昨日の大盤解説では酒井九段が詳しく解説してくれたのですが、ちょっとムズでした。聞いているうちは分かったつもりになりますが、既に忘れてしまったものも。覚えているものから少し追加で書いてみます。実戦黒９１手目では図の黒３の抱えでしたが、これが良い手だったそうです。黒１にハネると、白２の切りからシボリ（！）黒攻め合いに勝っても、外側が締め付けられてダメ、とのこと。ＢＳの囲碁将棋ジャーナルを見ていたら、実戦でも黒を取る手があったらしいですね。小林光一九段がこんな手順を示していたと思います。黒の抱えに対して白１のコスミでよいらしいです。

  2008.03.15

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  棋聖戦挑戦手合第6局大盤解説

  趙治勲　ｷﾀ─ヽ(ﾟ∀ﾟ)メ(ﾟ∀ﾟ)メ(ﾟ∀ﾟ)ノ─!!! さすがは七番勝負の鬼、魅せてくれました。実は（という程でもないけれど）、八重洲の大盤解説会に寄ってきました。解説は、あの「玄妙道策」の著作がある酒井九段。趙治勲流の難解な手どころ満載の碁を、時間一杯使って解説してくれました。その中で、酒井九段が問題にしたのがこの場面。実戦で黒Ａと打った手では、黒１と白２子の薄みを攻める打ち込みが大きかったとのこと。終盤は、趙十段は勝ちを意識して妥協したのではないかと言ってました。棋聖まであとひとつ、頑張れ～！

  2008.03.14

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  ＮＥＣカップ決勝戦（４）

  なんと会場の最前列に陣取っていたらしい、武宮九段、依田九段、王メイエン九段が登場。いきなり武宮九段と依田九段が、河野天元の序盤の戦いを問題にしはじめて面白かった。依田九段はずっと観客に背を向けたまま、大声張り上げていい味出してました。趙善津九段に依田九段が厳しい指摘を浴びせかけるので、梅沢女流棋聖が客席に向かって｢依田九段は趙九段の兄弟子だから」とフォローする場面も。さて、対局後まっさに趙九段が後悔していた局面。白７のケイマは、反対側からのケイマで封鎖するのだったと。また、実戦では実行しなかったけれど、黒８に対して白押さえていくのだったと後悔。白押さえて黒ハネダシに白切っていくということですが、白が外に回って良かったらしい。武宮九段も、黒４と置いていくような手は、（封鎖されるので）悪いと断言。趙九段はここでの戦いで失敗したという思いが、ずっと尾を引きずったようでした。依田九段は、普段ならこんなことにならない、決勝を意識しすぎたのだろうと言ってました。河野天元は左下隅の形が決まったあたりでは優勢を感じていたようです。羽根九段も同じような感じでしたが、依田九段だけは、そんなことはないと力説してました。黒５の左に当てるのが大きいと、何度も繰り返して言っていました。実戦は黒がノビに回ったのですが、白が早いうちに打っておけば、随分展開が違っていたと。どう違うのか、梅沢女流棋聖が何とかフォロー説明してましたが、良く分からなかった。河野天元は優勢を意識しつつも、黒７アテコミは危なかったかもしれないと言っていました。中央に白から何か打たれることを懸念していたようです。趙九段も、ここが最後のチャンスで、中を打つのだったと言っていました。しかし、最初の失敗が尾を引いていて、という趣旨の発言を繰り返し述べておられました。そうそう、色紙が当たる抽選会、１００人に一人の確率でした。当然のごとくあたりませんでした。それから、東京テレビでの放映は、３月３０日の早朝だそうです。（とても私には起きることができる時間帯ではありません。）

  2008.03.08

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  ＮＨＫ杯

  今日放送のＮＨＫ杯は、趙十段対依田九段、昨年と同じ顔合わせの準々決勝。昨年は依田九段のミスで趙十段の大逆転勝ち、その後の依田九段のボヤキのひどかったこと。今年は序盤から依田九段が積極的に意欲的な打ち回しを見せて面白い展開になりましたね。趙十段が持ち味を発揮して、昨年に比べて余裕が感じられた勝利でした。依田十段のボヤキも少なかったように思います。さてこれで趙十段連覇に一歩近づきましたが、去年よりは残っているメンバーが厳しい。おそらく来週の準決勝の張名人×坂井七段は張名人が勝って決勝進出でしょうね。次の趙十段の相手は山下棋聖。どちらも厳しいですね。でも頑張って欲しい。山下棋聖には本因坊戦最終予選など痛いところでやられていますから雪辱して欲しい。（本当は現在進行している棋聖戦挑戦手合いで棋聖を奪還して欲しいところですが。）依田九段が白番でしたが、左下白１から３のトビにはびっくりしました。こんなに中の碁をめざすような棋士だったのでしょうか？これも天の声の影響でしょうか。

  2008.02.24

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