夢みるきのこ

[ぼくの新しい仲間たち] カテゴリの記事

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  モスラちゃん交遊録

  　モスラちゃん達は女性同様に人知れず美しく装って僕の前に現れる。その精緻なテキスタルデザインと完璧なボディライン。訪問を受けると、覚えずうっとりみとれている自分に気がつく。きのこと蛾、飽きることのない僕の仲間だ。しかし、僕がモスラちゃんたちにいかれたのはつい最近のこと。きのこ同様とても分かりづらい。変異が多すぎるのだ。　　　　　　ヨツボシホソバ　♀　ヒトリガ科　Lithosia quadra  　地衣類を食べて大きくなるモスラちゃんは、いずれもこんなスリムな恰好をしているのがなんともおかしい。　　　　　　セダカシャチホコ　シャチホコガ科　Euhampsonia cristata 　クヌギの葉を食べて大きくなる。似た色合いと肢体をもちモスラちゃんが数種あるが、背に高く突出する毛束があるのが特徴。　　　　　　ナミモンキナミシャク　シャクガ科　Idiotephria evanescens 　このお洒落なコスチュームに包まれたモスラちゃんは春先に見かけられます。ミズナラを食べて大きくなるといわれていますが、食べ物に何か秘密があるのかな。　　　　　アカエグリバ　ヤガ科　Oraesia excavata 　枯葉そっくりの出で立ちで、ふらりと現れるこの寂しげなモスラちゃんは、厳寒期をのぞいて幾たびか顔をのぞかせてくれる。幼虫は、ポスト・フジヅルの編み籠の材料と有望視されるアオツヅラフジを食べて大きくなるという。　　　　　　キマダラツバメエダシャク　シャクガ科　Thinopteryx crocoptera　黄褐色のとてもあざやかな翅をもつ尺取虫のなれのはてといいましょうか。このモスラグループはとても変化に富んでおり、なかなか概念がつかめないのですが、出会うたびにチェックするほかありませぬ。

  2015年09月11日

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  野分の夜の訪問者

  　　　　　　　　　野分の夜の9時30分過ぎ、郵便ポストまでの往復の間に風を避けて縋り付いていた脚の赤いシロヒトリちゃんと、ほんの一瞬、暗雲の合い間から顔をのぞかせた12夜の月。　「ギシギシやスイバばかりを食べてよくこんな純白な姿になれるなぁ」と眺めていると牧水の「しろとりはかなしからずやそらのあおうみのあおにもそまずただよふ」がふと口を突いて出た。その名もヒトリガグループの逸材。

  2015年08月25日

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  誕生日のNEW FRIENDは、東京在住の中学生

  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　すでに和暦では5日の月がかろうじて雲の向こうに。冒頭の明瞭な写真は以前撮った4日月だ。　この誕生日、卒論に北方民族の動向を選んだ中学生のU.K君からの凄いメールをいただいた。　ウィルタの最後の生き証人にこの夏会ってインタビューするのに先立ち、慰霊碑を訪ねたいとのこと。　僕の中学生時代を顧みても隔世の感すらある素晴らしい青年で、最高の誕生日プレゼントとなった。碑前でお会いできるのを楽しみにしています。

  2015年05月22日

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  日々これ好日。NEW FRIENDS 続々

  　　　　　二ホンカワトンボ　Mnais costalis 　別名オオカワトンボくんがせせらぎでご挨拶。　　　　　モスラくんでは、マイマイガ(ドクガ科)の仲間だろうと思われる毛衣の紳士が訪ねてきた。　　　　　幼虫は植物の土中の根や稲の根を食害するといわれるガガンボのその名も(切り蛆)キリウジガガンボくん Tipula aino　ではないかと思われる蚊トンボくんがこの間からしばしば挨拶してくれるのだが、タイミングが悪くじっくりとお話する機会がなかった。ガガンボのほうが蚊より先に登場することが、この初夏はじめて理解した。　　　　　　　　  こちらはヤガ科のコウスチャガ　Diarsia deparca ではないかと思われるモスラくん。触覚が飛んでしまっているのでちょっと疑問が残ります。　　　　  ニッポンヒゲナガハナバチ　Eucara nipponensis だと思われるご近所さんも訪ねてきた。やや黒化しているが、ツツジなどの花によくみられる春(4～6月)のみ出没する花蜂。　とまあ、いよいよ訪問客もどんどん押しかけてくる夏がきました。うれしい夏。なつかしい夏。僕の夏が来た。　

  2015年05月14日

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  風の使者・モスラ

  　5月の台風の接近が伝えられる朝。風に乗って訪ねてきたモスラがいる。　スズメガの仲間とツバメエダシャクの仲間だ。　　　　　　　　　　彼らは僕のところで台風というジャイアント・ステップの通り過ぎるのを息をひそめて見送っているかのようだった。              　　通りに出れば、雨待ち顔のユウゲショウが風に揺られて群れ咲いていて、何でもないかのように密雲の下では日常の時間がゆったりと流れている。　　 　　　今年は僕にとっては大転換の年。すでに大いなる力が動きはじめているのを時々刻々感取していて、このスリルはなんとも言えない快感となっている。　どう転んでも、プラスに転じる気息をモスラたちの息遣いから学び取り、垣間見える動中静の瞬間を的確に掴み、激湍の木の葉を飛び移りながら、大海へ通じる河下りをやりおおせなくてはならない。　きのこ地蔵の真言、オンカカカビサンマエイソワカ。　この呪は目線を地に這わせるためのもの。　十一面千手きのこ観音の真言、オンバサラダルマキリクソワカ。　そしてこちらの呪は、東・西・南・北・上・下、そしてそのすべての間隙という全方向へ意識を拡散させ、たちどころに収斂させるためのもの。　この二つの真言は今の僕にとっては、自身のバイオリズムを統制し集中していくのにもってこいのものだ。　

  2015年05月12日

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  またまた迷彩ルックスの若者の季節到来

  　　　        ウンモンスズメ　Callambulyx tatarinovii  迷彩色で闊歩するモスラくんたちが、またちらほら訪ねてくる季節になりました。　　　　そして面白いカメムシだなと思っていましたが、これは体長6cm位のトビゲラでした。　エグリトビゲラ　Nemotaulius admorsus  前翅の外縁が波状にえぐれているのが特徴だと言う。近くの沼か池から飛来したものでしょうか。飛翔能力は優れていて近づくと敏捷に飛び回っていました。

  2015年05月02日

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  ニューフェイスのモスラたち続々!

  　　　　シロヒトリかドクガと思い近づいてみると、足や全体の印象からドクガ科のマイマイガのグループのようだが、どうも特定しがたいものがある。　　　　ナミガタエダシャクちゃんだと思って近づいてみると、こちらもまたやや微妙に異なるいでたちで、やはりニューフェイスだ。　モスラちゃんの世界も多様性に満ちみちていて面白いが、微妙な差異に目が行き始めたので、なかなか同定が困難になってきた。　My NEW FRIENDSも、いよいよNext Stageに突入したようだ。  自分が関心を持っている生物は、すべて出会い、すれ違った瞬間に、それが何者であるか、そしてどう距離を置くべきかを判断しなければ意味がない。持ち帰って、ひだが疎や密、傘の形や色がどうのこうのと要素に還元して同定する方法でわかるのは、キノコではとても限られる。それが科学的分析だと思うのは私からしてみれば間違いです。　　　どんな人でも、自分の家族や恋人を他から区別するのに額にしわが何本、首筋に何色のほくろがいくつなんて分析した結果、誰それだと特定している筈がありません。　それは誰も「暗黙知の了解」とでも言うべき方法で判断しているのです。　いやしくも自分が愛している他者や他生物は、そのように判断すべきです。　僕は、キノコに取組みはじめてからは車で走っていて道路わきの法面に生えているキノコをすれ違いざま、それが何かを一瞬にして把握する練習をしました。それはカメラをはじめた時、猛烈なスピードで走っている被写体に合わせて写真を撮る訓練をするのに陸橋の上から車を的確に捉える訓練をした時の経験によるものです。　今では、カメラに動体予測といった機能が標準で入っているので、そんな訓練は不要となりましたが、その結果、そうした技能が永遠に身体から失われて行ったと思われます。　これらは超アナログの動物としての人間の本能に属する働きなのです。無駄と思うことでも何でも、白紙の心で接し身体で覚えるようにすることは、大切です。

  2015年04月16日

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  アリグモと出会った。

  　　　　　　　　　今朝、手すりに蟻が這っているので、いよいよアリさんの季節だなと思い、指を近づけるとお尻から糸を出してスパイダーマンさながらに手すりから飛び降りた。その恰好よさといったら「そんなのアリかよぅ!」と思わず声に出してしまった。　しかし、体長は5mmにも満たない、よく砂糖菓子に群がっている小アリに似てミニ・サイズなので、こんな場所でなければ、きっとアリと思い通り過ぎていたことだろう。　急ぎ家へ戻って調べて見るとそれはアリグモ。　ハエトリグモの仲間で♂は大あごなので、それとわかりそうだが、♀は顎が小さく、ほとんどアリと区別がつかないという。　このアリグモ。Myrmarachne japonica の学名がつけられているところを見ると日本特産のようだ。　しかし、おったまげた。ほんとにほんとにささやかなサプライズ。この新しい目からうろこの蜘蛛ちゃんとの出会いは素晴らしく、静かでやさしい春の雨といい、とてもしあわせな1日となった。　次いでにいうと、列島の同緯度の隣り合わせに棲んでいる画伯が、先週水曜日頃に初つばめを見たという。マダラさんところでも来ている筈だと。　しかし、待てど暮らせどツバメは来ない。ロシアのことわざに「ツバメ一尾で春は来ぬ(アドナー・ラースタチカ・ネ・ジェーラエット・ヴェスナー)」というのがあるので、「そんなことで喜ぶなよ」とやせ我慢していたが、さすがに1週間も過ぎると額にタラリと汗が。　今日ようやくその理由がわかった。毎朝、雨でも晴れでも、とても澄んだ声で四六時中囀っている鳥がいる。その正体は浜千鳥ならぬハマヒヨドリ。これが居座っているのでツバメが来ないのだ。　わが町の空は、目下このハマヒヨドリに制空権を握られているのだ。すると、日本の空は戦後70年米軍に制空権を握られているのをふと思い出して、「ツバメよ来い。春よ来い。沖縄には今年は特にね!!。」と思ってしまった。

  2015年04月01日

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  如月・新月のうれしい訪問者

  　　　　和暦の如月1日がはじまる直前、僕がもっとも愛しく思っているモスラのツマキシャチホコ君が待ち伏せてくれていました。毎年、梅雨時以降でないとみられない夏のモスラ君ですが、陽気のせいでしょうか、通常の1/2ほどの体長で生まれたてホヤホヤといった感じでご挨拶。コナラなどのどんぐりの木の葉を食べて大きくなったPhalera assimilis 君。今年もどうぞよろしく。

  2015年03月20日

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  冬から春へ。モスラたちに見る新旧交代劇。

  　　 フトフタオビエダシャク(シャクガ科)Ectropiscrepuscularia雨にもかかわらず、春3月頃から活動を開始するシャクガがいよいよ現れました。     こちらは、クロバネフユシャク(シャクガ科)Alsophila foedataのようですが、クヌギ、コナラを食べて大きくなった冬のシャクガでそろそろ引退時期。同日、同場所で遭遇しましたので新旧交替式をしていたのかも。またまた、モスラたちの季節到来ですね。

  2015年03月19日

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  太郎坊のきのこ石と謎のかけモスラの啓蟄

                    啓蟄の日、湖東の太郎坊宮の鎮守の杜の夕べの光景がフラッシュバック。　夫婦岩までの600段余りの石段のとっつきからおびただしいきのこ石が出迎えてくれたこと。下山してきたところでこのように出迎えを受け感激。　いよいよ、きのこのシーズンも間近かです。　このきのこ石が終わるあたりに不浄に通じる語感の「不上石」というパワーストーンがあり、明治までは参詣の日、魚鳥獣肉を食べたものはここより上は登ってはいけないとされました。旧石段に用いられた石のようです。　　　　  　　　　　　啓蟄の朝、四季を通じて度々訪れてくれているにもかかわらず、ろくに調べもせず「カレハガちゃん」ですませてきたモスラちゃん。あらためて向き合ってみると、どうもそんなに簡単には断定できないことが分かりました。　このグループで有名なものに幼虫には毒のあるマツカレハがありますが、いずれ迷解答をと思っています。　啓蟄の本番の日は、謎かけモスラさんの登場で幕でした。

  2015年03月06日

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  月の雫にみまごう啓蟄前夜の訪問者

  　　　　今日も一日凍るような風が吹いていました。　そんな朝、いつの間にか風を避けて我が家に忍び込んだモスラちゃんが。　翅が少し欠けていますが、金木犀で幼年を過ごしたツトガの仲間でした。この蛾が登場するとなるといよいよ啓蟄ですね。マエアカスカシノメイガ　Palpita nigropunctalis　おそらく近くの公園のキンモクセイから飛来したのでしょう。通常は体長3cm前後あるのですが、まだ小ぶりの2cm強の身体つき。よちよち歩きの感じでした。　透明感のある白色の翅を持ち、前翅の前縁は赤褐色の縁取りが施され、結構おしゃれさんです。珍しい種ではありませんが、春を告げるモスラちゃんとして僕にはとてもたのもしい訪問者です。　和暦では今夜が睦月の十五夜。しかし、月齢15の満月は日付が変わって啓蟄の日の午前3時頃。これは単に測定時刻の設定上の問題。今夜から明朝にかけての月が望月であることに変わりはありません。ひょっとすれば、この月の雫のようなモスラちゃんは、月よりの使者だったのかもしれませんね。

  2015年03月05日

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  身を切る寒風、しかし日差しは明らかに春。

  　　　　　　　　　　　　　いつもながら楽しい「夜の顔不思議な俳句会」から深夜に帰宅し、書きかけの文章を手直ししながら寝てしまった。　さて、今朝いよいよ起きねばならなくなって片目ずつ目覚めさせると春めいた陽気。喜んで朝食もそこそこに飛び出したら、凍る風がまともに。それもそのはず、春とは言えまだ2月だ。　いつもながらそそっかしいことだと反省しながら、仕事の段取りを考えていると、新しいモスラちゃんがご挨拶。　シャチホコの仲間の小型種と思いきや、静止時には茶褐色の翅を細く折りたたみ白い帯をもつオカモトトゲエダシャク Apochima juglansiaria  だ。春2月から初夏が活動期のモスラちゃん。しかし、生まれてはみたものの氷の世界で僕同様そそっかしいと反省している様子だ。　このエダシャクくんの仲間は、実に多種多様で、なかなか概念がつかめず複雑だ。

  2015年02月27日

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  黄沙降る一日、相思鳥やテントウムシが

  　　　　　　地虫出ずる啓蟄に先だって、古くて新しいナナホシテントウちゃんがご挨拶。キリッと引き締まる冷たい朝にはじまり、太陽の光を遮り黄沙が降る午前、「まもなくお日様も顔を出しますからね」と言い置いてでんぐり返りして飛び去りました。　まだ、くちばしの黒い幼鳥の相思鳥(Leiothrix lutea)は、この浅春の日々、毎日少し距離を置いて私の一挙手一投足を首を傾げながら見つめています。このまま春定まるとはなかなか参りませんが、それでもウキウキする陽気が包んでくれる昨今、和暦は1月7日・春の七草を伝えています。月もムンムン太り、明日は上弦の弓張月。恋の季節。さて、頑張らなくっちゃね。

  2015年02月25日

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  またまたモスランディア。

  　昨年の12月4日の小春日に出てきた11cmもあったヤママユガの仲間、ヨーロッパクヌギカレハガとしましたが、正式和名はウスタビガでした。 ウスタビガヤママユガ科Ｒｈｏｄｉｎｉａ　ｆｕｇａｘ幼虫は、コナラ、クヌギなどの葉を食べて大きくなります。　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　 前翅、後翅を貫く2本の褐色帯をもつシンプルな蛾こそが以下にご紹介するヤマトカギバの特徴。クヌギなどを食べて大きくなります。ヤマトカギバカギバガ科Nordstromia japonica  　　　　 

  2014年12月09日

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  変装の名人と大型モスラの登場

  　　　　　ヒメヤママユ ヤママユガ科Satumia jonasiiサクラ、ナシ、ウメ、クヌギ、ケヤキ、クリなどの葉を食べて大きくなります。ヤママユほどではありませんが、8.5～10.5cmとやはり大きいです。4枚の翅それぞれに目玉をもっていて、威嚇しているつもりなのでしょうね。ウグイス色から褐色の秋色の大型のモスラちゃんで、お出会いしたのは、女性(♀)でした。　　　　　 　さて、お次は、変装名人のモスラくん。思わず笑ってしまいます。しかし、生きるためとは言え涙ぐましい努力ではありませんか?!。　　　　　アケビコノハヤガ科Eudocima tyrannus9.5～10.5cmと、こちらも大きい。　枯葉そのものの身体つきで、この擬態が見破られると、鮮やかな橙黄色の地に渦巻状の黒い大目玉の後翅を広げて威嚇します。アケビ、ムベ、ヒイラギナンテンなどの葉を食べて大きくなります。                     

  2014年12月08日

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  LADY in WHITE FUR & WOODY MOSS

  　　　　　　　アメリカシロヒトリ (america shirohitori)(ヒトリガ科)　Hyphantria cunae　　胸部背面のふさふさが乏しいので、シロヒトリちゃんと思いきや。あんよ、ポンポンが赤くありません。毒々しさというよりは白衣の天使めく清楚な感じさえ漂いますが、これがアメリカから帰化した毒蛾のようです。　このヒトリガというグループの名称にも僕はぞっこんで、バーカウンターで１人カクテルをたしなむボディコンのドレスをさらりと着こなしたモノトーンな女性を思い浮かべてしまうのです。　きのことおなじで、白くてすらりとした美人にはご用心。ぽっと惚れてもこの空のあお、海の青にも染まらない純白には訳があると直感できれば、野性人として初級卒業です。　自然界に「純」というものはあり得ず、にもかかわらず厳然とそこに在る場合には、氷の微笑みを感じなさいという典型例ですね。 　　　　　　　　　　　　　　　こちらは、会いたい、みたいと思っていた擬態の名人さん。まったく木の枝を模した出で立ちは、野原ではおそらく気づくことはないでしょう。ツマキシャチホコ　(Tsumaki shachihoko)シャチホコ科 Phalera assimilisコナラなどの葉を食って成長する、まったく枯れ枝の切れ端にしかみえないおどけもの。前翅の端に淡いベージュのモンがあるのが「わが心木の枝にあらず」という唯一の主張。普通は5cm前後ですが、大きいものでは8cm近くにもなります。

  2014年12月06日

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  穴まどいは蛇ですが、蛙の話。そして

  　今朝、子供広場の前を通ると砂まみれの大福もちが動いているのに出くわし、近づくと河鹿蛙のようなケロッピちゃんでした。寒波到来で、遊びかまけて冬眠準備を忘れた蛙どんがあわてて砂場にもぐりこもうとしていたのです。　ここでは何時掘り返されて蛙昇天ということになりかねないので、ちょっと急いでいたのですが、溝の脇の柔らかい土のところへ持っていって、20cmほど小穴を掘って埋めてあげました。　土と水が合わずお亡くなりになるかもしれませんが、しばし猶予が与えられれば深く反省することもできますし、「いざ、いきめやも」ってことになるかもしれません。         　そして、僕が会いたいなと思っていたエリマキの素晴らしいシャチホコガさん。こちらは真夏に首にエリマキをぐるぐる巻いて訪ねてくれたもの。　ギンモンスズメモドキさんです。このオシャレのためには「夏炉冬扇」もなんのそのという頑張り屋さんには、ずっと会いたいと思っていたのです。それがふらりと訪ねてきてくれたのには驚き、嬉しく思いました。　僕は能天気で、周りからあんたほど不幸な人はいないよとよく言われてきましたが、生まれてこのかた、犬のように尾っぽフリフリ、不幸なんて事が何を意味するのか知らずに生きてきましたので、たとえ井上井月のように野垂れ死しても、さして不都合なことではないと思っていますのでこの度の出会いは「念ずれば花は開かずとも思いは叶うもんだね」としみじみ思ったことです。ギンモンスズメモドキちゃんシャチホコガ科Tarsolepis japonica茶褐色で前翅に三角形の白い紋をもち首根っこのあたりにマフラーをぐるぐる巻きにしているようないでたちは、とってもユニーク。芋虫の姿の幼時はカエデの葉を食べて育つので、ごく普通に出会いそうですが、なぜかいままで出会ったことはありませんでした。     

  2014年12月04日

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  2014年のダンディなパピヨンたちの交友録　(続き)

            ギンモンカギバ(カギバガ科) Callidrepana patranaヌルデを食べて大きくなったカギバちゃん          ユウマダラエダシャク(シャクガ科)　Abraxas miranda 汚れたような褐色紋のあるのが特徴。マサキなどを食べて育ちます。          オオシラホシアツバ(ヤガ科)　Edessena hamadaクヌギを食べて成長する暗褐色に白いハート紋をもつ。            ウスイロギンモンシャチホコ(シャチホコガ科)Spatalia doerriesiオオギンモンシャチホコの別名をもつ。前翅に白紋をもち、コナラを食べて成長します。          ツゲノメイガ(ツトガ科)　Cydalima perspectalis 白色の翅の周縁に黒褐色帯があるすっきりしたデザイン。ツゲの葉などを食べて育ちます。            オオエグリシャチホコ(シャチホコガ科)Ｐｔｅｒｏｓｔｏｍａ　ｇｉｇａｎｔｉｎｕｍ  フジを食べて育つ変装名人。          クロフオオシロエダシャク(シャクガ科)　Pogonopygia nigralbata黒紋が発達するシャクガでシキミを食べて成長します。          腹部に明瞭な黄色帯がこの写真からは確認できませんが、キイロスズメ(スズメガ科) Theretra nessusの仲間でしょう。キイロちゃんであればヤマノイモの葉を食べて育ちます。            ウンモンスズメ(スズメガ科)　Callambulyx tatarinoviiケヤキの葉を食べて育ちます。後翅が赤みを帯びることをチェックしておきましょう。           このきわめて特徴的なデザインの容姿を示して現れたのですが、出自が分かりません。今しばらく悩んでみましょう。            コシロシタバ(ヤガ科)　Catocala actaea後翅の白紋が特徴。クヌギの葉を食べて育ちます。                         これがヤママユ(ヤママユガ科) Antheraea yamamai さんです。クヌギ、コナラ、クリ、カシなどの葉を食べて育ちます。4角目玉と白黒2色の細帯をもつのが特色です。　　　　　　　これは頭を悩ましてきましたが、いかにも毒々しいいでたち、灰白色で灰黒色の帯びをもつこと。背中の2黒点が気がかりですが、変異の多いリンゴドクガ(ドクガ科)　Calliteara pseudabietis　　リンゴの名前がついていますが、幼虫は幅広くなんでも食べると言われています。　　　　　ヤマトカギバ(カギバ科)　Nordstromia japonicaコナラなどを食べて育つことからもそうではないか?!という結論に達しました。　　　　　トビイロスズメさんかと思いましたが、モモスズメ(スズメガ科)　Marumba gaschkewitschiiのようです。モモ、ウメ、サクラ、ビワ、リンゴの葉を食べて育ちます。

  2014年12月02日

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  OLD & NEW FRIENDS OF MINE

             　11月末の数日の間に木々はめまぐるしく変遷し、ようやく紅葉となったわが町。  　　 　　　　　　ニトベエダシャク(シャクガ科)　Wilemania nitobei　各種広葉樹の葉を食べて大きくなったエダシャク君。まさに列島を寒波の覆い始めた12月1日の今朝、きてくれました。　僕は、きのことは切っても切れないくされ縁ができてしまいましたが、そんな腐れ縁の腐れ縁たる由縁をまとめあげたいと思っています。　しかし、蛾・蝶は、そんな深い因縁とは別に、ふらりと訪ねてきて声をかけられると、それだけでゾクッとして一目惚れしてしまいます。なんということでしょう。　甲虫にキノコムシがあるように、蛾にも菌類と藻類の共同体の地衣類をたべて育つコケガの仲間があり、その方たちはとびきりオシャレなのでうれしくなってしまいます。こちらもこの星雲圏で少しずつご紹介します。　　　　　　ハガタキスジアオシャク(シャクガ科)Hemistola tenuilinea　クヌギなどを腹いっぱいたべてこの初夏以来何度かたずねてきてくれたアオシャクちゃん。裸と聞いてニンマリしましたが、よく見ると波形でした。齢はとりたくないものです。　　　　　　上のシャクガとは明らかに異なるいでたちでカギバの仲間のようにも見えますが、幼時の尺取虫全般を含むエダシャクの仲間のファッションは様々で、決めかねています。　　　　　　ヒロバツバメエダシャク(シャク科)Maxates illiturata　モモ、サクラなどの葉を食べて大きくなるそうな。　　　　　　アカスジシロコケガ(ヒトリガ科) Cyana hamata　灯火にいざなわれどこかの小流れから飛来して朝方まで待っててくれていました。地衣ルイを食べて育ち蛹化するとき、自分の毛でマユをつくると言われています。このバーバチカ(ロシア語の蛾・蝶のこと)は、菌食文化の優秀なメッセンジャー。　　　　　　ヒロヘリアオイラガ(イラガ科)　Parasa lepida 　幼虫はサクラなどに潜み、毒針をもっていますが、成人すると毒気が抜けて、何か人間臭い感じがします。イラガの卵は小学生のとき、美人の先生から教えてもらい、いまだにその時の雰囲気から情景まではっきりと覚えています。イラガもシャクガには及びませんが、イライラする位、頻繁に訪れてくれますので、またおいおいご紹介します。　　　　　　　　ナカムラサキフトメイガ(メイガ科)　Lista fiski  　カシワの枯葉を食べて大きくなるという。家紋にふさわしい姿をしています。　　　　　　ツマアカシャチホコ(シャチホコ科)　Clostera anachoretaのようです。柳の葉を食べて成長すると言われています。　　　　　　　　茶の葉を食べて大きくなると言われているチャエダシャク(シャクガ科)　Megabiston pulmosariaのようです。　　　　　　ドクガ(ドクガ科)　Artaxa subflava　黄色で毛深いのですぐわかります。幼虫・成虫ともに毒針毛をもちますので要注意。 

  2014年12月01日

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  僕の2014年交友録　バーバチカたち。

  　チョウよりガに惹かれてもう5年になりますか。本当にほほえましく、絢爛豪華で、おしゃれな蛾は、フランスでもロシアでもチョウと区別しません。　そんな僕の新しい仲間。増え続けていますので、交友録をここらでつくっておかないと収拾がつかなくなりますので、この冬はときおりここでお披露目いたします。 　蚊は嫌いです。バッタ、セミもさほど関心が煮詰まらない。甲虫はキノコムシ以外はそうときめきませんが、蛾の訪問は、なぜかワクワクドキドキするのです。ジコ(我)中という病気なのかもしれません?。　　　アミメケンモン(ヤガ科)　Lophonycta confusa 　アミメコガという源氏名ももちます。　　　スジベニコケガ(ヒトリガ科)　Barsine striata 　地衣類を食べて成人するコケガです。キノコ食は美容健康に良いという見本みたいなコケガの仲間も時おり訪ねて来てくれますので、僕の「夜の蝶?」としてご紹介します。　　　　　　　ゴマフリドクガ(ドクガ科)Somena pulverea 黄色地にゴマ斑の入る、小さいけれど、幼虫、成虫ともに毒針毛を持つので要注意。　　シンジュサン(ヤママユガ科)　Sania cynthiaシンジュあるいは柑橘系の樹木の葉を食べて成長。巨大で130mmありました。

  2014年11月30日

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  雨に始まる11月1日「雨の訪問者」

  　　　　時雨ふるはつかの山の雲間よりあまりて出ずる有明の月　藤原為家　『玉葉和歌集』　時雨雲のかかる羽束山からあぶれもののような夜明けの月が顔をのぞかせたことよ。と感慨深げに詠んだのは定家の息子の為家だが、おそらく多田荘(川西)あたりから羽束山を望んで詠んだものか。二十日月のあさぼらけのこの歌とはいささか雰囲気が異なるものの、陰暦長月閏9月9日の午過ぎの時雨雲抱く羽束山。津の国のはつかの里にすむ人はけふかあすかとよをも嘆かん　和泉式部　『和泉式部集』　羽束山のはつかとわずかの意味のはつかを掛けて、摂津の国の羽束山あたりの里に住む人はわずかの人生が今日果てるか、明日果てるかと世を嘆いて生きていることよ。　羽束山は平安歌人たちによって、かく詠まれてきたが、長月閏9日生きて訪ねてきてくれた虫たちを以下にご紹介しよう。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ツマグロシロノメイガ 　　　　　　　　　　　ゴマフボクトウに限りなく近い白黒の対比の見事な蛾　　　　　　　　　　　　　　　　背面のクリス(十字)が印象的なヤガの仲間　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ウリハムシ　人は世を嘆いて生きるかもしれないが、種名がかろうじてわかる虫も以下の蛾のように取りつくシマのない虫たちも、ひとしなみに瞬時ののちの命などと頓着せずに全身を輝やかせて、待ってくれている。　　　　　　　　 

  2014年11月01日

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  雪ならぬ夏の名残りの・・・。

                    　終日、天平期の聖武天皇の心中をおもんばかり、東大寺大仏造立や正倉院の御物などからうかがう奈良時代とはうらはらにこの時代、通説のイメージとは異なり、不安が極大になった時代だったことに思いいたったところで、毛むくじゃらの黄金の蛾が飛来してきたので、日盛りに連れ出してしばし対話をたのしんだ。　　　　　カレハガ科Lasiocampidaeの蛾で毛衣をまとい真夏に飛来する仲間だ。調べてみるとヨーロッパクヌギカレハだという。　ヨーロッパクヌギカレハ　　学名 Lasiocampa quercus　英名 Oak Eggar　中・大型の蛾で約1000種報告されており、世界中に分布する。この科に典型的な特徴といえば、翅連結器を欠くことと口吻が退化し機能的でないことらしい。成虫になると食事できないということか。本日訪ねてくれたのはLady in goldといった風なお嬢さんだが、オスは通常小さく色は褐色が濃いらしい。幼虫は特に毛が密生して、暗褐色でリング状に黒色を呈する。さなぎは丈夫な繭の中につくられ繭は卵形なので、Eggar(たまごが)とも呼ばれる。旧大陸全域と北アフリカに広く分布。キイチゴ、カシ、ヒース、などの植物を好んで食べる。　たまたま天平時代のわが国での金の産出のことで頭を悩ませていたところだったので、グッド・タイミングだった。

  2013年12月04日

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  青の竜舌蘭の開花

  　　　　　　　蘭と聞いて繊細な植物だと思いきや、巨大なサボテンといった風情でした。　兵庫医大の庭に青の竜舌蘭が開花したと会員のAさんがその映像を送ってくれた。竜舌蘭といっても蘭ではなくサボテン(多肉植物)の仲間で、基部のロゼッタだけでも3～4mはあり、花の茎は開花期を迎えると1日に10cm近くも伸び、6～8mにも達し、威風堂々としていささかの可憐さもない。　ただ、それだけなら僕たちムックきのこクラブの関心を呼ばなかったのだが、この花は植えてから30年以上しないと花を開かず、温帯の日本では40年以上かかるとのこと、その上、開花は1度だけで開花を終えると親株は枯れるということなので、僕たちにとっては1生に一度会えるかどうかの代物らしい。　竜舌蘭の花茎は、知る人ぞ知るメキシコの酒・テキ―ラの原材料とされるくらいだから、メソ・アメリカでは珍しくないのかも知れないが、僕たちにとっては一期一会の花。なかなか心騒ぐ生き物であり、Aさんに感謝して転載させていただいた。　兵庫医大に行けば構内には株はまだまだあり、しばらくは開花の様子を愉しめると添えていただいたのでお近くの方は是非訪ねていただきたいものだ。        　　　　　　　　　　　蕾の状態　　　　　　　　　　　　　　　　　　　開花の状態    　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　花芽の拡大

  2013年07月21日

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  エメラちゃんの日本の或る日。

                  　　　　　　　　やはり女の子、ひろ珈琲のスウィ―ツを前にようやく緊張がほぐれました。  USAのスポーケン市よりSさん宅へホームステイとしてやって来た高校生のエメラちゃんをバイリンガルのECCの先生を伴い一日甲山方面に案内するというのでついていった。　「スポーケンは田舎よ」としきりに言い募る彼女は、日本では神社、古着ショップ、都塵にまみれたいという希望をもっている。　大の珈琲好きということでは、Sさんも同様。ステイ中はさぞ、珈琲三昧の日々となることだろう。　　　　　　　　甲山のふもとの神呪寺で鐘を突くエメラ　神宮寺ではおみくじにいたく関心をもち、神殿より漢字表記の奉納札などにしきりにカメラを向けていました。　　　　北山ダムから甲陽園への一帯は古代巨石文化の一大トポス、甲山を背景にハイ・ポーズの後はいわくらを神体とする古式ゆかしい神社へ詣で、明日行われる茅の輪くぐり神事の準備のなった境内でしばし憩いました。　　　　　　　　　　　　ご神体のこしき岩といわくらをめぐり神妙な?面持ちのエメラちゃん。 

  2013年07月10日

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  啓蟄の訪問者。ハートを抱くツノカメムシ。

   　　　　　　　　　　　　　　　 　やはり啓蟄の落とし子、春を告げる使者は来ていました。　成虫は通常1cm以上あるエサキモンキツノカメムシSastragala esakiiの4mmにも満たない新生児が、廊下の暗がりで待っていてくれました。小盾板の黄紋がハート形になるのがこのカメムシの特徴だが、バレンタインには間に合わずホワイトデーまじかの5日に訪問してきて、今朝朝日の届かぬ壁面にポツンと止まっていました。　なんともうれしい訪問者でしたが、虫けらのいのちはぼくとて同じ。ヒヨドリや春禽につけ狙われないようにとエールを送って別れました。

  2013年03月06日

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  本年最後の木の葉蛾の訪問。

  　　　　今朝、廊下でばったりと出くわしたのが、僕のもとに訪れるこの仲間ではやや大きい5cmほどの木の葉蛾だ。廊下の片隅で祈るようにうずくまっていたので、もうご臨終だと思った。ところが近づくと羽ばたいて、木の葉のコートの下は緋威しのドレスでびっくりした。しかし、冬至までとてももたないほどの弱りようで、しばらく対話ののちその場を去ることに。せめてものはなむけに、その雄姿をここにとどめることにする。　　　出会ったときは、全くの朽ち葉状態で横たわっていました。体勢を立て直し。 　　　ややあって動き始めて、挙句の果てには飛ぼうとすらして廊下脇の溝へ。  

  2012年12月17日

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  厄年のガッキ―さんのヤクの毛皮製品展

  　　　　　　　　　　　　昨年の冬、谷町のカットハウス・リトルバードで開催されたシ―プ・シップ主催の2011年パリ・コレならぬタニ・コレではじめて出会ったガッキ―ちゃんは、年明けて洛北・神護寺の真冬のきのこ探訪会でご一緒して、数語言葉を交わしただけだったが、そのとき僕のまわりに集まってくる女性たちに共通の言葉より行動が先行するたのもしい女性がまたひとり増えたなと思ったものだった。　以来、きのこ探訪会にはちらほら顔をのぞかせるようになりこの前の二上山できのこだらけの一日を過ごして、たしか今年は厄年だと聞いたような気がしていたが、そんな彼女がヤクにまみれた展示会を大阪梅田のヒルトンプラザ　イースト3Fのボアヴァンで開いていると案内をいただいたので、めがね食堂で同席した澤山画伯夫妻と伊吹珈琲専門店で「あのガッキ―ちゃんがね、寝る豚ならぬヒルトンでね個展だって」と言うと、行こう行こうということになって連れしょん気分で行ってきた。　　　大型の体重500kgのヤクから100gしかとれないというヤクの毛を手つむぎ作業からはじめて腰機(こしばた)で織りあげたざっくり感と繊細さが同居したようなマフラーやショールの数々。しかも世界に1点しかない作品にはそれぞれ粋な名前とチベット語表記が添えられていて彼女の愛着のほどがしのばれる。   　この特別展を企画してくれたボアヴァンは、タイや東南アジアのシルク衣料の専門店でとてもお洒落な衣裳が並んでおり、感じの良いオーナーの女性と息子さんかなと思われる方が応対してくれたが、衣裳などにとんと関心のうすい僕でも着てみたくなるようなセールス・トークでうれしくなってしまう。 オーナーの言うには、ガッキ―ちゃんの腰機稼業には訳があるとのこと。聞くところによると、日本人の経営するチベットの難民受け入れセンターが、維持費の捻出に日本の商社から依頼を受けて入手困難なヤクの毛を方々からかき集めてきたところキャンセルされたらしく途方に暮れているところに来合わせたガッキ―ちゃんが、ヤクの毛を買い取りまったくど素人にもかかわらず、一大奮起して糸の紡ぎ方から腰機で織りあげる方法までを一から習い覚えて今日を迎えたとのことだ。なるほど、僕の第一印象はピタリと当たっていたわけだ。               　近頃はこんな娘ほどの世代の人たちに教えられることが多く、西村さんと言い、ガッキ―ちゃんと言い、こんなシットリ感溢れる女性たちが次代を担っていくのだと思うと、日本もまんざら捨てたものではないなと思わせられたことである。    

  2012年11月20日

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  立冬直前の訪問者

  　　　　　　　　　　立冬を明日に控えた本日はまた冷たい雨の昨日とうってかわって小春日を賜わりました。よべの雨に木々を離れたとりどりの紅葉を掃き集めながら、ひそかにはなやぐ僕の心にシンクロするかのようにハッと息を呑むようなお洒落なモスラくんが陽気に誘われて訪ねてきてくれました。しばしきのこ言葉で語り合いましたが、「それではまた会えるかしらね」と言い終えて飛び立った刹那、そのふっくらとしたボディーラインがちらりと見えましたが、なんとオレンジ色のチュルックに包まれていました。　小春日のひととき、なまめかしい夢から醒めたような印象を残していってくれました。

  2012年11月06日

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  セイボウ科 Chrysididae のハチ　　　　

  　　　去る金曜日、出会ったルリ色の金属光沢著しい蜂は、即同定できるとよろこびいさんで帰宅したが、どうしても該当種に行きあたらず、モヤモヤした気分のまま、日曜日川西キノコクラブの能勢妙見山の探訪会に行ってきた。前の晩より雨脚が烈しく降り続き朝まで持ち越していたので、今日は僕一人かなと思いつつ妙見口に降り立つと、美女5名、おまけの男子3名が今や遅しと待ちかまえていた。歩きはじめると、至るところからキノコが顔を覗かせ、能勢電の妙見口から1km弱の道をケーブルの駅まで辿りつくのに1時間。山上駅から公園までの100mほどの間にも1時間、この分では夕方アンジェイ・ワイダ監督の映画『ドストエフスキーの悪霊』鑑賞を控えた僕はブナ林まで辿りつけないのではと秘かに危惧しはじめたのだが、茸愛ずる姫君たちの感嘆の声を後ろに残しながら同じく先を急ぐ澤山画伯と談笑しながら歩いているときふと思い出して、図像をお見せすると、さらりと「オオセイボウではないでしょうか」とのこと。　図鑑でその辺りを調べてくださいと言われて、帰宅して調べ直すことに、何度図鑑をひもといてみても行きあたらなかったこのハチ、なんとありました。こんな身近に居て特徴も著しい種でさえ分からないのだから、生きものって奥が深い。　  オオセイボウ　Stilbum cyanurum 　体長1.2~2cm。スズメバチに寄生すると云うから僕たちにとっては益虫だ。本州い以南に生息するという。撮影した個体は翅を失ってしまっていたが、なんと美しいんだろうと思ってその場を去り難く、撮影に及んだしだいである。当日の妙見キノコのことは今日あたり佐田さんがリスト作成して川西きのこクラブ宛てに送附していただくことになっているので、途中抜けした僕のキノコニュースと併せてまたここでご披露したい。とにかく胸のつっかえがとれて気分爽快、きのこたちに見送られながら星降る山をかけ足で下った。

  2012年09月25日

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  はんみょう　Cicindela japonica

  　　  湖南地方の甲西町では、ハンミョウ　Cicindela japonica が行く先々で案内をしてくれた。鎌状の大顎と細長い触角をもつ体長2cmほどの食肉性の甲虫で、日中、細長い脚で敏捷に走り回りながら餌を求めている。劇毒を持っているが、つかまない限りまず大丈夫。墓地や表土の露出した場所に棲息し、近づくと先へ先へと飛び立ち、人を導くような習性から「道おしえ」とも呼ばれる。

  2012年09月05日

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  笠置でちょっと一休み

                  　笠置山では夏のきのこのほか、なんともうれしいことに季節を逸した山吹がまちぶせしていた。山吹はこの春、四天王寺で出会って以来のことだ。また、笠置寺の参道へと続く民家の小道にはすみれを大きくしたような金魚草?がご挨拶。笠置で物思いに沈む序章となった仲間たちだ。室町文化の円熟をもたらした南北朝時代のことについて僕の考えを披露したいが、そのまえにちょっとひとやすみ。 ♪　夏が来れば思い出す　はるかな戦さ、  遠いきのこ雲　♪　夏の土用明けの8月6日は広島に、そして爽やかに迎えた8月7日の立秋をはさんで明日9日は長崎を見舞った原爆。67年前のことだが、忘れやすいですまされることでは決してない。  そんな中、大飯原発は再稼働され、その事実すら日常に流され忘れて行くことは人間として恥ずべきことだ。愚かですまされることでは決して無い。  広島、長崎をはるかに上回る福島の悲劇はたった今はじまったばかりだと言うのに。   

  2012年08月08日

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  新しい仲間たち　シダ

  　シダはとてもパッと見にはとてもわかりにくい隠花植物だが、じっくりとつきあえば、心を開いてくれる。要するに共生感覚をもつことがなによりも大切だ。すこしずつ出会いのときめきの失せぬ間に書き留めていこうと思う。まずは、先週末、川西能勢の高代寺山でみかけ、野草に詳しいよしのさんから教えていただいた比較的明瞭な特徴をもった羊歯くんたちとの出会いをここにとどめておく。 　　　　　　　　　　　　ジュウモンジシダ　Polystichum tripteron オシダ科　高さ30~50cm。比較的湿った谷間や林地に生育する。葉のつきかたに特徴があり、最下羽片が長く十文字になっている。　　　　　　　　　　ゲジゲジシダ　Thelypteris decursive-pinnata　ヒメシダ科高さ30~60cm。中軸に翼がつくので見分けることができる。低地の山野にごく普通に見られる。葉柄、中軸に淡褐色の鱗片がある。胞子のう群は円形から楕円形で包膜はない。　　　　　　　　 　　　　イノデシダ　Polystichum polyblepharum オシダ科　高さ60~100cm。東北南部以西の山地の林。葉柄基部の鱗片は広い披針状で、縁は不規則な鋸歯があるので見分けることができる。ただ、この仲間はこの特徴をもつものでアスカイノデ、カタイノデ、サイゴクイノデ、イノデモドキ、ツヤナシイノデ、サカゲイノデ、アイアスカイノデ等々、微妙な差異により更に細分化される。　すれ違いざま、瞬間的にその顕著な特徴から誰それと言い当てることができるようになるためにはやはりその根っこのところに対象に対する愛情がなければむずかしい。僕たちの野山散策は身ほとりのの自然に息づく生きものたちに親しみをもって接し、そのかけがえのないいのちの営みを理解することにはじまる。これがやがて地球というものを考える大きな視点となる。これが言葉の正しい意味でのグローバリズムだと僕は思っている。　　ヘテロソフィアHeterosofiaというものの考え方は、異なもの(=hetero)をいたずらにおそれたり、小馬鹿にしたりして排除するのではなくしっかりと見すえ、慈しみ、その健気な生きざまを理解し、彼らから多くのこと(叡智=sofia)を学びとろうとする態度である。

  2012年07月25日

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  カマキリモドキ+キッコウアワタケ+ヘリカメムシ?

  　　ボクサ―みたいな蜂が飛んできたと思いきやカマキリモドキくんだった。さほどめずらしくないのかもしれないが僕にとってはまれびと。　キカマキリモドキ　Eumantispa harmandi 　体長20mmほどでヘビトンボも含まれる脈翅目に属するおしゃれなファイターは、6～8月に山地にみられるという。「よくおいでくださいました」と挨拶を交わし、ハイ・ポーズしてもらいました。小昆虫を捕食するというから恰好だけではなさそうです。　　　暑くなってきますといよいよ登場するアワタケは先週飛鳥で発足したアワタケクラブのメッセンジャー、熱中症にかからぬよう、アワタケを思い出しなさいということか?。ここまでひび割れるとバクサレアワタケとでも呼びたくなるが、連休明けの職場近くで卒塔婆小町となるまでじっと待っていてくれたので丁重にご挨拶させていただいた。この仲間は緑色を帯びた黄色の大きい管孔を持ち、それが泡を吹いているように見えるところから名づけられた。　キッコウアワタケ　Xerocomus chrysenteron 　ビロード状のオリーブ褐色または赤みを帯びた褐色の傘をもち、成長にともない皺しわになっていく。属名はギリシャ語由来の乾燥した(=xeros)+頭髪(=kome)で見た通りの様子が彷彿される。柄には赤みがかった茶色で縦に繊維紋が走り、中実。肉は薄黄色で管孔同様やや青変する。広葉樹林に普通に見られる仲間だが、きのこの訪問者はシロナギナタタケ、ヒラタケ、ハタケキノコくらいで比較的稀れなのでうれしいかぎりだ。　　さて、ボクサ―モドキに出会ってまもなくの朝まだきに現われ、午後、また別のところで出会った体長20mm程のベッコウ色のお洒落な昆虫。形はどうみてもカメムシのようで、目下頭を悩ませているが、おそらくヘリカメムシの仲間ではないかと思っている。また、澤山画伯にコメントいただこう。

  2012年07月17日

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  夏の奥津城と新しい仲間たち。

              豪雨のあとの晴れ間に母親を伴い月例の墓参を果たしてきた。日々刻々のいのち、辛いときも多々あるだろうによくぞ健気に生きていてくれるものだ。この市章山のふもとの追谷墓苑はバリアフリ―とはなっておらず、車椅子で来ても3ケ所　計50段ほどの階段は手すりを伝って歩かねばならない。この階段の30分ずつの往復1時間の歩行が母の唯一の運動で、これをやるとやらないでは体調に雲泥の差が出るのだからやめられない。　しかし、一歩ずつ階段を上り下りする姿を見ていると、ゴルゴダの丘へ十字架を背負い歩いていくキリストを思い浮かべてしまう。　　　　　　　　　　　　　　僕の新しい仲間たち  　チビコブカミキリ Miccolamia verrucosa　スジコガネ　Mimela testaceipes　　　　チビながら瘤つきのカミキリくんは伐採枝や枯れ枝に集まるという。また、オオスジコガネくんは杉の葉を食害するというが、こちらの小型のスジコガネ君は何を食べているのだろう。毎年数個体たずねてきてくれる。　　　　　　　　　　　　　　  　　　アシナガコガネの仲間か?こんな明瞭な特徴を備えていても種名に至らないのがかなしい　いわゆるコガネムシのグループはカブトムシからカナブン、ハナムグリ、アシナガなどの和名をもつものを含み、多くは植物を加害する。しかし、上記の仲間のような明瞭な特徴を持っていても種名確定にいたらないのはつらいぜベイビー。　　　　　　　　　　　　　　　        　　　　　　　　　　　　　　　　　キイロテントウ　Illeis koebelei  この1週間、羽蟻の異常発生で訪問者は比較的少なかったが、僕の大好きなけし粒大の黄色いテントウ虫が数個体たずねてくれた。白渋菌を食する益虫で盛期は5月頃なのだが、今年はこの可愛いテントウちゃん同様いずれの訪問者も1月遅れで大気が乱高下し大いに変動していることを伝えてくれている。羽蟻にしても1月以上遅れて来襲した。　遅れても、来てくれる間は安心だが、こうして延び延びになったいのちの定期便がハタと届かなくなる日が無きにしもあらず。自然のかすかなメッセージを大きく受け止める習慣を身につけたいものだ。　  

  2012年07月16日

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  カミキリ、蝶たちの午後。

  　飛鳥では鬼の雪隠付近でクワカミキリ、橘寺付近でウラギンヒョウモン、そして週明けの労働日の午後、タケトラカミキリと出会った。　生きもの世界の豊饒は単に僕が知らないだけなのかもしれないが、こうした訪問者がハタと途絶える日が突然やってくる可能性は高い。人にしてもそうだ。昨日笑顔で別れた翌くる日、その人の訃報が届くことも何の不思議でもない。カミキリや蝶、そして僕の愛するきのこたちの午後がいやさかに続くことを祈るのみである。　カミキリムシ　天牛と呼ばれ広く世界に分布し、その数およそ2万種、きのこなんて足元にも及ばない。日本産だけでも約650種。僕の典拠としている保育社の図鑑は昭和30年発行、平成元年6月増補改訂されたものなので、日々更新される昆虫世界の案内書としては古典的でさえある。この仲間はおおづかみして頭が前に伸びているカミキリは花に集まり、垂直に下向するものは樹皮や枝を食べるのに適しており、複眼の分割の細疎(こまかい粗い)は夫々、昼行性、夜行性に関連すると言われる。　　　　　　　　　　　　　　　飛鳥のクワカミキリムシ　Apriona japonica Thomson  中型のカミキリムシで、クワ類の害虫であることからその名がつけられている。養蚕さかんなりし頃の天敵だったのかもしれない。そう言えば入鹿の首塚のあたりでクワの実を見つけたっけ。しかし、彼はヤナギ、クルミ、ニレ、イチジク、ビワ、ナシ、リンゴ、ミカンとなんでも食害するので厄介だ。6～8月頃成虫はこれらの樹上で見ることができる。　週明けのわが町では、阪神タイガース模様のカミキリがたずねてきた。虎斑があることからトラカミキリというグループに入れられている。　　　　　　　　　　　　　　　タケトラカミキリムシ　Chlorophorus annularis Fabricius やはり7～8月頃出現する小型のカミキリムシで、新しく伐ったタケやトウモロコシに集まり産卵、翌年5月頃蛹化、ついで成虫となり外部へと飛び立つ。広く熱帯に分布、西はインド、東はニューギネアに達し、北上しては小笠原、琉球、本州、四国、九州、そして大陸では満州が北限とされている。前回ご紹介したタカサゴシロカミキリムシ同様とてもお洒落である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ウラギンヒョウモンチョウ　タテハチョウの仲間で後翅のギン白紋からその名が。一旦翅を広げると緋威し色のドキっとする鮮やかさ。食草はスミレ類だが、盛夏の頃までさかんに飛び回り交尾をし、秋にスミレの近くの枯れ枝などに産卵するという。ヨーロッパから極東までの温帯ベルトの全域に生息するチョウで門外漢の僕たちにもなじみがふかい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヤブカンゾウ　　　ユリ科の朱色の花をつけ農業用ため池や水田の畦にしばし顔をのぞかせている。春の若芽は山菜として重宝される。実はこの花、僕の友人の柿原さんによると、史前帰化植物とでも言うべきいつ渡来したか不明な一群の植物の一つであり、他にもシャガ、オニユリ、ヒガンバナ、ミョウガといったものがあげられるという。帰化植物の多くは大陸から農耕とともに紛れ込んできたものだが、これらの植物は人が意識して持ちこまないかぎり渡来しなかったという。その理由は、ミョウガを除きこれらの植物は種なしスイカと同じ三倍体で種子が出来ないので、栄養繁殖で人が植えなければ広がらないからだという。ヤブカンゾウとよく似た花をつけるものにノカンゾウがあるが、これは花が一重であることで区別される。　僕がここで身近な自然に息づく友人たちを紹介しているのは、自然の造形を超えるアートはいまだかってないことを伝えたいからである。自然に帰れというルソー流の教育としてではなく、地球の隅々にまで浸透している神の意志の証明という博物学、分類学とも異なり、虚心坦懐に自然に接し、その素晴らしい世界を自身のアート心の中心に据えることこそがその目的なのだ。ムックきのこクラブとはそんな集まりであることはいくら強調してもしすぎるということはない。　遊び心だけが地球を救う。これが次世代に伝えたい僕の唯一の願いだ。　そしてもうひとつ大切なことは、昆虫、植物、動物はどんなに変異に富んでいても、部分ぶぶんの特徴をあげていけば一目瞭然となるが、名前がついているとされるたった3000余りのきのことヒト科1種のみの人間だけが、どんなに知識を深めても種名、素性さえもほとんど特定できないことがおわかりいただけるとおもう。　きのこというあべこべ生物は、他の生物とは全く異なる存在様式を持ち、僕たち意識をもつ人間の頭脳の生みだしてきた世界をそのまま体現しており、それがきのこをますます曖昧模湖とさせてきた。きのこは人間の鏡であること、そして僕たちの頭脳の生み出してきたと思われるものすべてが自然の模倣にしか過ぎないことをきのこは葉末からそっと微笑みながら語ってくれているのだ。　生きものの語り部としてのきのこ。僕はそんなきのこをアートの中心に据えたいと常々思い、そんな思いを共有する友と交流してきた。他日、そうした仲間と新しいアート運動として形にしていきたいと考えている。 

  2012年07月12日

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  お洒落な訪問者。

    　毎夏たずねてくれるカメムシくんの中でも愛のメッセンジャー・カメムシくんがようやく訪ねてくれた。またあとひとつはシロカミキリくん。　このダンディーなカミキリムシはタカサゴシロカミキリOlenecamptus octopustulatus formosanusで。台湾産を意味するタカサゴがついている。ノグルミ、ウリハダカエデの樹幹を加害する昆虫だ。本州、四国、九州、徳之島、奄美、台湾と分布。原種はシベリアだという。　ハートの紋をともなうカメムシは近年までマル紋がたまたまハート形になったものとしてマルモンツノカメムシ Sastragala scutellata Scott とされてきたが、江崎さんが新しい和名を献じ和名もエサキモンキツノカメムシSastragala esakii Hasegawa となったという。本州、四国、九州に分布し卵塊を保護する習性があるといわれている。　 　そしてハンミョウくんかと思いきやアトキリゴミムシくんと、いよいよ盛期を迎えたカナブンくんTorynorrhina japonica。うれしいことにこうした訪問客が僕の季節である酷暑の帝王・炎帝を連れて来てくれる。　十七夜の月はあいにく寒冷前線の到来で雷雨を伴う荒れ模様のためお隠れ遊ばしているが、そのためより一層moon lightを感じ、ときめいている。 

  2012年07月06日

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  新しい週を目前に。

  　　　　　　　　　カノコガ　　　　　　　　　　　ミドリの鮮やかなアブ　春にはじまり夏を迎える頃になると、人と自然とさまざまな交流がはじまり、収拾不能に近い状態になる。それが熱い心を冷やせよと言わんばかりの6月、ジュ―ンだ。その6月も明日で終わる。1年の半分があっと言う間に過ぎてしまったことになる。さて、その交友録の虫くんたちの中でも僕が愛してやまない蛾がカノコガ君だ。いつもよそ行きのお洒落な服装には敬服する。写真右のムシ君はハンミョウの仲間だろうか。シロとクロのパターンがすばらしい。7月を迎える前に名前の分かったあるいは名前がどうしてもわからないnew friendsたちの極く一部をここにご紹介したい。人との出会いは図像ではなく言葉で語る方がその交流が出会うべくして起こった必然までが伝播できるので、ここではいきおい他の生物が中心となる。幸い、日々仕事場を訪ねてくれる虫たち、植物たちは僕の心をハイにしてくれるのでやめられない。しかし、あまりに大挙して訪れるので交友録に未掲載の友達がどんどん増えてきてしまう。やはり圧倒的に多いのが、蛾の仲間。じっくりと観察するいとまがなく申し訳ないが、彼らのモードを眺めていると猿澤さんの主宰するsheep ship 毛織物工房のファッションショウを見ている気分になる。　　　　キキョウソウ(写真上左)は草抜きを頼まれ、猛スピードで引き抜いていてハタと手が止まってしまった。小粒ながらその可憐さには思わず声をかけてしまった。　　　蛾に次いで多いのがカミキリムシとコメツキムシとコクゾウの仲間たち。　写真右はずっと死んだふりをしていたコクゾウムシくんだ。　　　サビカミキリ君たちも良く見るとお洒落に気を配っている様子が見てとれる。写真上右は、以前立派なシロスジカミキリを紹介したが、この地味だが、お洒落なストライプ柄のカミキリくんは明日なろう物語よろしくまぎらわしいが、スジシロカミキリというらしい。　　　真夏に毛皮は暑かろうと心配してしまう蛾もいればアロハと声をかけたくなる蛾も居る。写真下左のミドリの蛾はとても賢そうな顔をして哲学者風だ。　　　　　木の葉に擬態する蛾は面白いことに常に秋色なのが不思議だが、やはり末枯れた雰囲気を漂わすことが彼らの生き残り戦略なのかもしれない。　　　　この白い蛾は鏡に自身を映して「私きれい?」と自問自答しているようでいじらしいではないか。　　　　写真上左、真ん中の蛾はO青年言うところのシリアゲの仲間だろうか、いつもシャチホコ立ちしているのが面白い。何かに擬しているつもりなのだろう。この1ケ月だけでもここに挙げきれない位のファッショナブルな紳士淑女たちが訪ねて来てくれた。　夏至も過ぎて8月7日の立秋までのひと月余り、千客万来なので、月の変る明日は冒頭から神戸生物クラブの探訪会があり、こちらから出向いて会いに行く仲間も否応なく増えるだろうから、ここに訪問客の姿だけでもとどめて御礼に替えたい。               

  2012年06月30日

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  蛍

  　　　                           へいけぼたる　Luciola lateralis  ようやく訪ねてくれた平家ボタルくん。今朝のマンションの廊下の片隅に息を凝らしていました。初見参です。源氏に比べて個体サイズは小さいが、清流でなくとも棲めるのが味噌。ニュータウンと呼ばれる僕の生活圏では源氏はまず無理なのですが、先週末には蛍蛾とデートしたところでしたので、平家は「いつか王子さまが・・・」の小唄よろしくお待ちしていましたが、それがようやくかないました。　平家蛍との遭遇の予兆となったホタル蛾。　　　　　　　　　　　　　　　   

  2012年06月26日

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  孔雀サボテン

                　サボテンに月下美人というのがあるが、これは白くて強烈な臭いと深夜に花ひらき明けがたには閉じてしまうことからこの時期よく新聞に登場する。でも　こちらのサボテンはシャコバサボテンかと思っていてあまり注目していなかったのだが、或る朝突然花をつけたのに出くわして驚いた。鉢の主に聞くと孔雀サボテンというそうだ。このサボテンの花も2日ともたない短命さは同じだが、あでやかな紅色といい、開花時間が明けがたから夕方という、月下美人とは全く対照的なところ、まさにサボテンの別称・覇王樹(はおうじゅ)と呼ぶにふさわしいと思った。　初日にふたつ花をつけ、それが閉じるのを待って写真左の蕾状態の花が翌開花した。  

  2012年06月22日

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  アオカミキリモドキくん!。お待たせ!!。

       　今日の仲間は、アオカミキリモドキ　Xanthochloa waterhousei くん。しばしば訪ねてきてくれているのだが、千客万来でなかなかここで紹介できなかったポン友だ。この仲間はほとんど区別のつきがたいものにカトウカミキリモドキ、シリナガカミキリモドキがあるが、エイヤ―でアホカミキリちゃんとした。いやアオでした。どちらかというとこの仲間たちはカミキリムシというよりはクビナガムシのほうに近いような気がします。僕たちの好奇心をくすぐるのは、体形その他はそっくりだが、翅部分が紫藍色で首が黄色いキクビカミキリモドキは触れると液体を発し、それが皮膚に水ぶくれを生じさせることだ。この青色種はそんな心配はなさそう。

  2012年06月20日

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  ヒマサンとミヤマクワガタの夫婦。

   　この夏は、近年になく超多忙の日々で、ブログで残しておきたい心の内外の想いもドップラー効果よろしくどんどん浮かんでは消えていき、なかなか追いつかない。新しい訪問者もファイルに溜まる一方だ。               　訪問してくれる仲間たちのうちでも蛾の仲間はダントツに多いが、情けないことにそのほとんどが名前すら分からぬまま通り過ぎていく。そんな日々の中で、久しぶりに15cmは優に超える大きさのヤママユガが訪ねて来てくれた。その名もヒマサン。忙しい忙しいなんて言っちゃって本当は暇なんだろうとでも言いたげな名前だが、食草がヒマであるところからの命名で、他意はなさそうだ。　前翅後翅にある幅広い淡色の帯、各翅の中央の幅狭で透明の三日月の斑紋が特徴のおしゃれな蛾君だ。触覚が羽毛状であるところから♂ではないかと思われる。アジア原産だが、北米に持ち込まれ、現在ではヨーロッパでも絹糸を採るために飼育されるという。夜行性の蛾だが、もちろん昼間まどろんでいるところをパチリ。こんなのも寝込みを襲うというのかな?。　学名はSamia cynthia ヒマサンという名が可哀想と思し召される方にはエリサンという別名(eri silkmoth) でどうぞ。　　　　　　　   先週来、クワガタが夜灯に導かれて飛来するようになった。子供の頃はヘルメットをかぶったような出で立ちから「兵隊」と呼んでカブトムシよりはるかに珍重されたものだ。そんなミヤマクワガタの♂が来たと思えば翌日は「放っていかないで」とばかりに♀が追いかけてきた。今年の夏は短そうなので、「love loveの日々でも間に合わないからせいぜい励んでね」と訳のわかんないことを言って別れた。　　　　　　　 

  2012年06月19日

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  僕の新しい仲間たち。シロスジカミキリ

  　　　　　　　　　　　　　シロスジカミキリ　Batocera lineolata　　あらなんともなやきのうは過ぎて誕生日　　　　　　　芭蕉もどき　何やかや言ってもこの歳になると誕生日というのは年齢を久々に意識するだけのもので、何とか無難に過ぎてまた現実を忘れて若ぶりたい一心なだけであることがよくわかりました。　そんな1日が過ぎてホッと一息つくと、また新しい仲間が気がかりに。そんな誕生日明けの日はシロスジカミキリくん Batocera lineolataが訪ねてきてくれた。当初ゴマダラくんと思いきや、澤山画伯よりご教示いただきました。この貴公子はわが町のシイ、カシ、クリ類、ヤナギ、キリなどの樹幹で繁殖しているらしく、これからの5～8月、その樹皮を噛んで1粒ずつ産卵し、幼虫は材部を食害しながら翌年成虫となり2年から4年で外部に出て飛びまわる。ただ時折り幼虫はウマノオバチ、卵はコバチ科のハチに寄生されることがあるという。よくぞ無事成長して訪ねてくれたものだ。記念撮影のあと、マンションの高階から、また来てねと言いつつ放してやると、玉虫そっくりのおよそかっこよさとはほど遠い大の字飛翔で飛んで行きました。　　　　　　　　　　　　　　　　触覚が鞭状の♀のヒゲコメツキ　　　　　　　　　同じく寝コロンボ状態　本日はヒゲコメツキくんのお嬢様も訪ねてきてくれたので、早速コメツキの名の通りの実演をしていただくことにした。この女性は、しばらくネコロンボ状態にしておくとペッチンと自分でコメツキ特有の運動をして起き上がったのでおもわず、「やっぱりコメツキちゃんだ」とつぶやいてしまった。そこで、今日も数匹手すりの溝に潜んでいた男前くんに同じ動作をしてもらおうと試してみたが、1分経っても2分経っても、丈夫な触覚をもつカミキリくんみたいな真似をしてヒゲで起き上がろうとあがいている。おそらくペッチン運動も出来るのだろうが、警戒心が強いか、飽くまで立派と自賛する触覚に頼り過ぎるヒゲ依存症なのかもしれない。結局今日も♂のほうのペッチン体操に見れずじまいとなった。　　　　　　　　　　　　　たくましいヒゲが自慢げな♂　　　　　　寝ころんでもヒゲでささえようとする。  

  2012年05月23日

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  飛鳥でのもうひとつの出会い。

  　　　　　　　　　　なによりもこのあでやかな花木に惹かれて近づいてアゲハに気づいた次第ですが、このなんとも云えぬ美しい花は日当たりのよい山地などに自生する落葉低木のバイカウツギ　Philadelphus satsumiのようです。花弁が丸みを帯び、梅の花に似ていることによります。ウツギは空木、枝に空洞があることからの命名で、トルコの人はこの木で笛をつくっていたことから「笛の木」と呼ばれています。別名サツマウツギとも言い日本列島南部原産。ただこちらは花が大きいのでおそらくは園芸種でアメリカ原産の西洋バイカウツギのようです。ユキノシタ科で高い香りを持つとのことですが、垣根越しの出会いで望遠の映像につき香りまでは楽しむことはできませんでした。その香りは一度嗅ぐと忘れられず折りに触れ思い出すことから花言葉も「思い出」、そのほかにも「気品」「品格」などが当てられ正にその通りのあでやかな花でした。　飛鳥の一日、僕にとってはとても印象深いものがあり、頭の中でバチバチ火花が散ってさまざまな案件がリンクしまくっていましたので「思い出」の花言葉がひときわ心に残りました。

  2012年05月11日

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  ひげこめつき

  　　　今年はいつまで経っても寒い日が続くが、今日はこんな仲間が数個体初訪問。いろいろ調べてみたが、ひげに特徴がある以外に手がかりはなく、おそらくは体色は変化が多いとされる「むねあかくしひげむし Horatocera niponica ではござんせんか?。」ということに。赤褐色なのは♂で、♀は通常黒色、あるいは前背板のみ赤褐色とある。ただ図鑑のものとは異なり背に紋様があるのがいささか気になるところだ。しかし、この見事な櫛状のおひげさんの持主はそうざらにはいらっしゃいませんので、エイヤッとばかりに決めつけました。その後、この虫くん、夢にまで出てきてどうも気がかりなのでペッチンと飛びはしませんが、この体形には何か見覚えがあったので改めて調べ直し、ヒゲコメツキ Pectocera fortuneiの♂に行きあたりました。目玉と頭部の印象、サイズがタイプより小さくやや違和感がありますが、時期的にも背面の文様からも、こちらのほうが妥当。しかし、僕にとっては新しい仲間。再会を心待ちにしています。 

  2012年05月10日

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