クヌギやコナラの実に卵を産み付け、実を枝ごと切り落とすハイイロチョッキリ。【自然観察の振返り[4]ブナ科の植物・第13回・最終回】
☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年半、連載は連続2,300回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[4]】はブナ科の植物です。第13回は、ハイイロチョッキリです。(2017年9月26日撮影)☆台風などの強風が吹いた後でもないのに、コナラの木の下に枝がたくさん落ちています。しかも、不思議に思ったのは、今日落ちたばかりのように葉がしおれていないこと、そして、どの小枝にも実がついていることでした。調べてみると、ゾウムシの仲間の昆虫ハイイロチョッキリの仕業であることがわかりました。(2016年8月15日撮影)。☆同じように、実がついたクヌギの小枝も落ちています。(2016年8月15日撮影)。☆とにかく鋭い切り口です。(2016年8月15日撮影)。☆よく見ると、コナラのドングリの殻斗の縁付近に、卵を産み付けたと思われる小さな黒い傷が見えます。ハイイロチョッキリは、クヌギやコナラの実に卵を産み付けて、その後に実を枝ごと切り落とすのです。(2017年9月26日撮影)。☆植物は、虫に食べられたり傷つけられたりすると生体防衛反応として、卵や幼虫の成長を阻害する物質を分泌するそうです。そこで、ハイイロチョッキリは、卵を産み付けた実を枝ごと切り落として、クヌギやコナラが卵や幼虫の成長を阻害する物質を分泌しないようにしているそうです。(2017年9月26日撮影)。☆ハイイロチョッキリは、卵を産み付ける時に、殻斗の縁付近の薄い部分に穿孔しているのが特徴だそうです。(2017年9月26日撮影)。☆この穴の奥に、ハイイロチョッキリの卵が入っているようです。幼虫はドングリを使用の中心から食べて成長します。(2017年9月26日撮影)。☆ハイイロチョッキリの成虫は、ドングリが緑色の時期の8月20日ごろから10月下旬ごろまで、ドングリの実の成長にあわせて生きているそうです。クヌギやコナラの実が柔らかく、穿孔して卵を産み付けやすいからでしょう。ハイイロチョッキリの成虫は、10月には全部死んでしまい、幼虫が冬越しするそうです。(2016年8月21日撮影)。☆昆虫が進化の過程で身につけた知恵、素晴らしいですね。(2017年9月26日撮影)。☆インターネットで、ハイイロチョッキリに関してNHKが制作した記事を見つけました。記事を許可なく転載できませんので、リンクをクリックしてご覧ください。とてもわかりやすい動画です。◎どんぐりとハイイロチョッキリ(NHK for School)。http://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005401434_00000