対人援助者のための
昨夜のプレイバックは、「エンパワメント」が、キーになった。それは、参加者からの言葉だった。「すごく大事だけど、難しい。」ものとして、エンパワメントという言葉が登場してきたのだ。エン(=中に)パワメント(=パワー・力)という言葉自体は、もうすっかり日本語として、特に福祉関係の人にとっては、なじみのある言葉だろう。ところが、言葉として知っているということと、実際の具体として、身体に浸透しているのとは、違う。言葉を、イメージしてしっかり味わい、そのあとは、サウンド&ムーブメントで、その言葉を見える形でイメージする。次にシーンを具体的に表現してもらうことに。他にも、「寄り添う」「受け容れる」「共感」「社会資源」「目標」など、それぞれの言葉や、シーンが表現される中で、「エンパワメント」が、中央にどっしりと重くあった。困難に感じるシーンと、援助者としての成功体験のシーン。成功体験のシーンの表現に、言葉で補足してもらって、リテル(=retell)で物語風に、語りなおしをする。みるみる参加者の表情が、輝きを増す。次は、援助者としてではなく、一人の人として、個人的なエンパワメント体験を、リテルしあうことに。ほんのわずかな片鱗であっても、エンパワメント体験を口にしてみる。誰かに語り、語ってもらう。体験は、1回だけの経験から、話すことによって、2回目、語りなおしを観る体験で、3回目を経験する。そうして、たった一度だったら、そのまま忘れ去られ、記憶の片隅に追いやられてしまうような出来事も、しっかりと、焼き付けられる。誰かが言っていた。♪「Happy Birthday to you」は、一回だけでなく、3回4回繰り返す事に意味があると。歌ってみると「Happy Birthday to you Happy Birthday to you Happy Birthday dear ○○~~ Happy Birthday to you」確かに、はっきりと、その人の存在が感じられる。そんな記憶の定着装置が、プレイバックシアターの効用の一つでもあるのだろう。そうして、具体性がなく、漠然としたものほど、どう取り扱っていいかわからないとき、プレイバックの具体的なシーンが、はっきりとそのものを現存させ、よりしっかりと、それを感じる手助けになるのだろう。「エンパワメント」参加者にとって、もう、単なる辞書の用語ではなくなったはずだ。