20090613三十五歳の夏だから(1)
前職(投資先開拓営業)時代のクライアントには、本当に素晴らしい経営者が多くいた。S社長もその一人。オールドエコノミーに属する、高齢の社長だったが、外国勤務経験からの高い視座、当時としては稀有な経営者。彼は、娘婿の2代目社長、だった先代は、自ら一代で斯業トップシェアを作り上げた。しかし、その競争力の源泉だった部品メーカーにしては稀有な力強い直販営業を、本流に据えた企業戦略に限界を感じていたのか・・・理系・ロジカルで物静か、紳士的で、しかし革新的なトップマネジメントの招聘。嫡男でなく、妾の子でもなく、彼を後継者に抜擢した、先代は慧眼だったしかし、『2代目』として引継いですぐ、権力基盤の禅譲プロセスに入る間もなく、先代は急逝。相手は、力強い直販営業が本流の企業文化。そこには、不透明な金の流れ、既得権がある。故に革新やロジカルさは好まれない。 ※今ならよくわかる子分を持たない(親分スキル)のない彼を、その組織構造の各所に親族も紛れて・・・、彼の足を引っ張った。そんな状況下ゆえに、エクイティ財務戦略などスコープ外。しかし、僕とはよく会ってくれて、新しい世界・社会、あるべき経営、企業の姿。それを純粋に話すのが楽しい、と言ってくれていた。僕も、すごく勉強になった。会う度に、なおも続く跡目争いを吐露し、正論・ロジック、そして結果で君臨するしかない、と静かに闘志を語っていた、痩身の社長。僕がWeb関連企業へ転職するとき、業績は苦境にあったしかし、HPやDELLのWeb戦略をよく研究し、自社の強みであり、しかし最大コストも生む直販の顧客接点を強化するためのWeb戦略を語り、いつか、xx業界のrr市場と呼ばれてみせる、と。ーーーーーーその、S社長のインタビューが乗っていた。業績は、6年前の1.7倍に成長していた。オールドな部品メーカーなのに! Q、社長にとって、『社長』とは何ですか? A、・社員たちが最大級に力を発揮できるよう、 舞台を整える下準備を行うのが社長の務めです・会社全体としての「先のこと」は社長の責任・スピードと、可能な限りの情報収集で、 的確な決断を下すことが、 必要なこと(仕事・役割)でしょう 優柔不断ではいけませんね。ーーーーーー僕の、今の仕事は、2点。S社長のインタビューを基に再認識してみる。・優秀な経営者(TOP)の存在を前提として、 まるでベンチャー企業のように、 彼が全てをリアルタイム把握し、 全てに的確な決断をリアルタイムに直接下す、 ための環境整備 どんな大きな組織でも、古い組織でも、 セル(細分)化によって、ベンチャー企業のようにする ・Strategy Level、Execution Levelにおいて、 経営課題毎に、組織の各レイヤー別に Intel. neuro (uplink)=現況が見えやすく、 Command line(downlink)=指示と進捗が見えやすく、 整備していくこと・既成事実をどんどんつくり、革新の方向感をつくり、 どんどん参加させていくこと (最も革新が必要な現場には、個別徹底フォローをする)最終的には、トップマネジメントは方向性を示すだけで、組織が高速始動し、高速で巡航し、高速で方向転換ができるように、ベンチャー企業のようにつくり変えていく。これが、今の、僕の仕事だ。この道が、いつか、自分も、S社長のように、どんな新天地でも経営していける人になるための、糧になるのだと信じて。以上