黒猫の遊歩あるいは美学講義:森晶麿
でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられた青年、川に振りかけられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す映画監督、楽器なしで奏でられる音楽。日常のなかにふと顔をのぞかせる、幻想と現実が交差する瞬間。美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」は、美学理論の講義を通して、その謎を解き明かしてゆく。第1回アガサ・クリスティー賞受賞作。内容(「BOOK」データベースより)エドガー・アラン・ポーを研究する大学院生の助手が語り手となり、若くてイケメンで天才の美学教授、「黒猫」が謎解きをするミステリです。絵になります。第1回アガサ・クリスティー賞受賞作ですが、血生臭さはなく、登場する魅力的な謎たちも、日常の謎といった趣です。そして、6つの事件は、すべてポーの作品が下敷きとなっています。「黒猫」は、美学を駆使して謎を解くので、ペダンティックな会話の連続に、楽しいながらも煙に巻かれたような気になりました。美しいイメージが広がるけれど、もどかしくもあります。助手は、「黒猫」に思いを寄せており、「黒猫」もまんざらでもない様子なのですが、それも、少々甘ったるく、もどかしいところです。幾つか、ポーの作品のネタばらしがあるので、ご注意ください。【送料無料】黒猫の遊歩あるいは美学講義 [ 森晶麿 ]にほんブログ村