剣姫 グレイスリング [クリスティン・カショア]
ハヤカワ文庫 FT 533剣姫 グレイスリング/クリスティン・カショア/和爾桃子【RCP】ヤングアダルト関係のあまたの賞に輝く本作。評判がいいので読んだのだが、問題は三部作の一作目ということ。これが、ハヤカワ文庫でなければそのうち読めると思うところだが、そうはいかない可能性が頭を過ぎる。本作だけでも十分楽しめるのだが、続きがあると知れば、読みたくなるものだ。二作目も、賞をとっているようだし、翻訳してもらいたいものだ。物語は、7王国のミッドランズ国王の姪カ-ツァが主人公。賜とよばれる超人的な才能を持つが、それが殺しの賜だった故に、王の暗殺者としてその名を轟かしている。彼女には、秘密組織を作り弱者を助けるという裏の顔もあった。リーニッド国の王父が誘拐され、その陰謀を暴くのは、裏の顔だ。リーニッドの王子で賜持ちのポウと出会い、カーツァは自分の運命に立ち向かうことになる。少女の成長物語といえるかもしれない。国王の言われるがままに殺人を行ってきた少女が、その任務の是非を考えるようになる。この世界での賜は、権力者の武器になる能力ばかり。ポウがその能力を秘密にするのもうなづける。そもそもこの7王国。1冊読んだだけではわからない部分も多い。やっぱり、三部作全部翻訳してもらいたいものだな。