侯爵の憂鬱な結婚
【送料無料】侯爵の憂鬱な結婚 [ ジョ-・ベヴァリ- ]読後のなんともざわざわした感じは、どこからくるのだろう?良薬は口に苦しということわざが浮かんでくるジョー・べヴァリーのRITA賞受賞作。無頼同盟というシリーズの2作目だが、この違和感は1作目にも共通している。ナポレオンの動向にイギリス国内が一喜一憂するなか、アーデン侯爵は、父親のベルクレイヴン公爵から、結婚を強制される。その理由というのが、アーデンは公爵夫人の私生児なので、最近見つかった公爵の私生児と結婚することで、ベルへイヴンの血統を絶やさないようにすること。公爵の娘であるエリザベスも出生の秘密を知らずにいたが、自分の勤める女学校の行く末を脅迫の材料にされ、仕方なく結婚に同意した。アーデンもエリザベスも、自分の置かれた状況に怒り、苦しみ、追い詰められていく。アーデンの所属する無頼同盟の思惑やエリザベスの教え子の事件に巻き込まれながら・・・・・・憎み合っているかのようなアーデンとエリザベスの会話は、はっきり言って心地よくはない。むしろ、どこまでも微妙で、近づいたかと思えば離れていくような奇妙な距離感がある。それは、公爵と公爵夫人にもいえることで、とにかく予測不能で、目が離せないというのが正直なところ。これは、恋愛小説として読むと、かなりキツイと思う。カテゴリーから外してみて、初めて魅力がわかるような気がする。登場人物たちの傷が、どうしても胸に痛い。けれど、シリーズの続きが読みたいのも、事実。このフクザツな心境は、私だけなのだろうか?