週末アジア旅は増えるか…(10/18)
LCCと円高という好材料に、反日世論が冷や水 「週末アジアでちょっと幸せ」(下川裕治:朝日文庫新刊 2012.8)を買った。旅行記を読むのが好きで、特にアジア・アフリカ・南米ものにはつい手が出てしまう。 この本は、週末を利用したアジア各国への旅の記録である。金曜の午後に出発して月曜の早朝に帰国するというちょっとハードな日程もある。しかし、最近増えた格安航空会社(LCC=ローコストキャリア)を利用すると、安い料金で週末を海外で過ごせるという。「週末はアジアで過ごす」(韓国、台湾、マレーシア、シンガポール、中国、ベトナムなど7ヶ国への旅の記録) まだ全部は読んでいないが、「第1章韓国」の場合、行程は次のようになっている。 (この韓国への旅は、2011年11月に行われている) 大阪~釜山間のフェリーで金曜日15時10分に大阪出港、翌日(土曜)10時釜山港着。料金は14,525円(6人部屋)。その日(土曜)は釜山の町で食べ歩き釜山泊(3,000円)。翌日(日曜)はKTX(韓国の新幹線)でソウルに行く(3,600円)。夕方、ソウルから飛行機で成田に帰る(ユナイテッド航空 24,890円)。このような、2泊(1泊は船中)3日の旅である。 大阪からもフェリーが出ていることをこの本ではじめて知った。この行程で、交通費と宿泊費が5万円以内におさまるという格安の週末旅である。 最近はLCCが増え、安い料金で海外に行けるようになった。特にリタイア世代は料金が安い平日の閑散期を選べるので、円高の今は安く海外旅行を楽しむ絶好の機会である。 しかし最近、島根県竹島や沖縄県尖閣諸島の領有権問題で、韓国や中国の対日感情が悪化している。修学旅行先を韓国や中国にしている中学高校では、やむを得ず行き先を変更した学校も多いようだ。個人旅行も同様で、韓国や中国への旅行は軒並み半減しているし、韓国や中国から日本に来る観光客も激減している。 旅客減少を食い止めようと、佐賀空港に乗り入れている中国のLCC春秋航空は、佐賀空港~上海間の料金を片道1円という破格の料金を設定すると発表した。この発表に対して佐賀県当局も観光客の増加につながるとして期待していた。ところが、今日の新聞ではこの特別料金キャンペーンは急に中止になったという。「1円航空券中止に」(中国の反日世論と政治的圧力によるものだろう~2012.10.18 佐賀新聞) 人的、物的交流の縮小は、双方にとってマイナスである。今日の新聞には、7~9月の中国の経済成長率は7.4%となり、減速傾向が続いていることが報じられている。中国にある日本企業の操業中止の影響も今後出てくるだろう。 本のタイトルみたいに「週末アジアでちょっと幸せ」とはいかないようだ。