現場検証
翻訳者を募集して一堂に集め、全員を別の部屋に移動させている間に、持参させたパソコンのデータを改竄した容疑を認めた中越に対して、現場検証が開始された。 果たして中越の証言通り、40人のパソコンにある豪訳くんのデータを、みんなが席をはずしたわずか数時間の間に本当に改竄することができたのか。また、その目的は何なのか。 中越が急に狂ったように叫び出した。「ありえない。私がしていないことが起きている。私はここまではしていない。なぜ、なぜだ」「なんだ、どうした」「こんなことはやってない」 中越は周到な準備を経て今回の犯行に及んだという。それなのに、その中越が考えもしなかったことが起きている。事件ののちすぐ、40人のパソコンは押収されている。だれかが手を加えることなどできないはずだ。 40台のうち、これまで検証を終えた12台分にはどれも同じ変化が起きていた。「あとの28台はどうだ。中越が唯一改竄しなかった梨畑のパソコンはどうだ」「その検証は無理です。あんなひどい訳文の入ったパソコンの前に中越を座らせたら、また嘔吐します。なにしろ、ガンダーラコーポレーションの訳でも嘔吐するくらいですから。つい、この間も、朝日新聞の「メラミン混入の恐れ」というありえない日本語を見ただけで嘔吐したくらいですから」←ランキングに登録しています。クリック、よろしくお願いします。