フェーム 1980年代アメリカ 青春の光と影
『フェーム』は、1980年に製作されたアメリカ映画。アラン・パーカー監督。舞台はNYの芸術学校。歌、演技、楽器、ダンス、バレエなどでその道を目指す生徒たちの成長や挫折をドキュメンタリー風に描く青春群像劇。学生は純真で恐れ知らず。「壁」にも体当たりで立ち向かう。そして、厳しいショービジネスでの成功を夢見る。すがすがしさを感じましたよ。学生のエピソードもジーンときます。同行した不良の彼氏の方が合格し、「こんな三流学校来てやるもんか」と悔し涙を流す女性。文字が読めないのにテキストを読むことを強要され、行き場のない憤りから荒れる生徒。イエローキャブの運転手の父親は息子の楽曲を大音響スピーカーで流し、学生達が路上で大群舞する。この場面は、さすがアメリカだなと思いました。極めつけは「ロッキー・ホラー・ショー」の観客参加型鑑賞場面。このノリはアメリカ。皆の中心であり華やかさを振りまいていたココはオーデションと騙されてヌードにされ、恥ずかしさ悔しさで涙を流す…。本当にアメリカの青春の光と影です。 根本に60~70年代に得た多文化主義「人種のサラダボウル」がうかがえます。出自に関わらず、実力と素質、才能がある者が成功する。1980年代とは前向きな明るさがあったんだな。この映画は彼らの過去や生い立ちも、そして卒業後も追いかけない。成功したものも挫折したものもいただろう。しかし、答えを出すことなく、日々過ごす生徒たちの今どう生きるかだけを迫っている。