さらば冬のカモメ
たった40ドルの窃盗で、8年の刑を受ける18歳の水兵メドウズ。彼を遠方の刑務所まで護送する任務についたバダスキーとマルホールのロードムービー。 18歳の世間知らずで、不憫なメドウズに手旗信号を教えたり、お酒を飲ませたり、童貞を卒業させたりする。メドウズはどうやら今までロクに人間関係を構築してこなかった人物のようで、ここでの体験は、貴重なものにきっとなったはず。しかし旅には終わりが付き物であり、3人の道中も目的地へと近付きつつあった。刑務所に送られる前日のボストンで、3人は冬の公園でバーベーキューをする。雪の公園で、まずそうにビールを飲むニコルソン。たまりませんね。食事の後、マルホールが「もう止めにしよう」と呟く。メドウズは太い枝を懸命に両腕で折ろうとしており、何度も繰り返した末に枝を二つに折る。そして、何かを決意した表情で立ち上がったメドウスはゆっくりと歩き出し、呼び止める二人に手旗信号を送る。「ブラボー(B)・ヤンキー(Y)・ブラボー(B)・ヤンキー(Y)・終わり」=「BY BY(バイバイ)」と送った後に走り出していく。脱走だ。メドウズを追いかける二人。バダスキーは拳銃を抜き、弾倉を入れ装填するが撃つ事はできなかった。躓いたメドウスにつかみ掛かるバダスキー。こうして彼らの旅は終わった。バダスキーを演じたのはジャック・ニコルソン。 ジャック・ニコルソン無くしては、こうまで良い映画にはならなかったと思う。ジャック・ニコルソンはこの映画によって、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロと並ぶ70年代最高の演技派俳優としての地位を不動のものとした。8.5点(10点満点)