挨拶の大変さ
私は夫の会社の同僚たちに、「嫂子(サオズ)」と呼ばれている。サオズというのは、兄嫁という意味。「お姐さん」という感じに近い。夫は同僚の中で、2番目に年上だから、みんな夫のことを「~哥(~兄さん)」と呼んでいる。そして、お兄さんのお嫁さんだから、私は「嫂子(兄嫁)」と呼ばれる。夫より年上の同僚の奥さんだと、私が奥さんに「嫂子」と呼びかけなければならない。日本語では兄嫁に、「兄嫁!」と呼びかけることはまずないが、中国語では、関係を表す言葉を呼びかけに使うことができる。中国では、挨拶として最初に名前か関係を呼ぶのが普通。「ニーハオ」というのは基本的に知らない人に対する挨拶で、親戚や知り合いの場合、年下なら直接名前を、年上なら、その関係を呼ばなければならない。(先輩の名前を直接呼ぶのは大変失礼らしい)関係または名前を呼ぶのが、こちらでは挨拶なのだ。中国は血縁関係を表す言葉がとても多い。父方と母方では、親族の呼び方も違う。近所の人でも、自分と同じ年代なのか、一代上(自分の両親と同年代)の関係なのか、二代上(祖父母と同年代)の関係なのかによって、呼び分けないといけない。夫のいとこに、すごく内気な人がいて、近所の人に会うのが怖くて、昼間お日様が昇っているうちは、外を出歩かないという人がいたそうだ。知り合いにばったり出会ったときにどう呼べばよいかわからないし、分からないからといって呼ばないのはもっと失礼だし、中国で挨拶するには、名前やその人との関係を覚えることが必至らしい。私も、夫の田舎に帰るとき、だれをどう呼んだらいいのか、ひととおりレクチャーを受けたけど、やっぱり覚えられなかった。中国で挨拶するのもなかなか大変ですね。