しゃぼんのまぼろし
物心ついたときには、もう既に『しゃぼん玉』が見えるようになっていました。初めて意識したのは、紅い『はなぐみ』のバッジをつけていたときだったので、3歳くらいだと思います。ただ、『しゃぼんだまとばしてないのにしゃぼんだまがみえるよ』と、子供ながらに伝えても、皆意味が解からなかったようなので、そのままにしてあります。それから、瞳を閉じると、幻のオーロラが見えます。このオーロラ、ちょっと厄介で、一度現れると、瞳を開いても、同じ形のまま、半透明のブルーに色を変え、文字を読むのを邪魔したり、視線を動かす度に、キラキラとゆっくりついてきたりします。これも、物心ついたときからで、初めて意識したのは、こちらの方が少し遅く、『みどりぐみ』のバッジをつけていたとき(のような記憶がある)ので、4歳くらいだと思います。ひどく明るいものを見たり、眩しい場所に出たりすると、瞳を閉じたときに、まぶたの裏に、幻のオーロラが瞬くんです。それが、長く続くんです。これね、スピリチュアルでも、素敵でも、何でもないんだ。ちょっとした『病気』らしいです。幻のしゃぼん玉は、『飛蚊症』、幻のオーロラは、『センキアンテン』(漢字失念)らしいです。ただ、かなり幼いときからずうっとなので、調べたら、飛蚊症は生理的なもののようで、問題はなく、同じくセンキアンテンも、少しずつですが、大人になるにつれて意識するときが少なくなったので、あまり問題はないようです。それから、今はあまりないのですが、中学生くらいまで、思いきり走ると、走ってる途中で、『足が抜けた』ような状態になり、走れなくどころか、突然歩くのすらおかしくなるのです。今はなりませんが……痛くはないのです。急に右足の力が抜けてしまい、がくっとなるのです。何だったんでしょう?これ。でも、『しゃぼん』も『足が抜けた』も『キラキラ』も、大人にも友達にも解かってもらえず、子供ながらに困りました。絶対意味わかんない子供だと思われただろうな……右足は、この影響なのか判りませんが、限界を超えるストレスを感じると、右足だけ歩けなくなるようです。すごく謎。ただ、日常の生活には、どれも、全くと言っていいほど支障も異常もないので、どうすりゃいいのか、未だに判りません。今、ふと、幻のしゃぼん玉に気づいて、日記を書きました。ずうっと、ちょっとした病気は続いているけれど、誰にも見えない、私だけのしゃぼん玉と、オーロラが見えるなんて、ちょっと素敵な秘密かもしれない、そう思ったのでした。