ご縁
祖母が亡くなって、もうすぐ、5か月になろうとしています。祖母の姿はもう見えないのですけれど、その存在は、以前より強くなっているような気がいたします。不思議なことですね。先日、母と、叔母とお墓参りに行った時のこと2月になって、雪の舞い散る寒い日が多かったのですが、その日は、比較的、気温が高く、過ごしやすい陽気でした。お墓周りのお掃除をして、新鮮なお水をついで、手を合わせようとしたその瞬間に雲が晴れ渡って、お日さまが顔を出しました。その明るい日の光を今でも忘れることができません。叔母が言いました。祖母が、私たちに会うために、どこからか降りて来たのだって。私も、その通りだと思いました。その帰り道、私と別れた後、母が普段あまり行かないスーパーに立ち寄ったら、祖母の家に、長年、お花を習いに来られていた方にばったり出会ったそうです。その方は、私が生まれた時によく来られていた保健婦さんでもあり、そして、また、私が長女を出産後、実家に里帰りしていた時、沐浴を2週間ほどお願いした方でもありました。母は、思ったそうです。お墓参りの帰りに会えるように、祖母が引き合わせてくれたのかと。それから、これは 先週のある日のこと。母の買い物に、百貨店まで付き添いました。三嶋亭でランチを食べ、帰りにお茶をしていると、びっくり!そこには、祖母が月に何回か、お花を生けに行っていたお宅の奥さまがお茶に来られていたのでした。母は、祖母が亡くなってから、一度も挨拶に行っていないので。そろそろ、挨拶に行かねばと思っていたところだったそうです。母は、こんなところで出会えるなんてと感激しておりました。とても優しくてエレガントな方で、祖母がいつもその方のことを褒めていたのを覚えています。年を重ねられても、素敵な方は本当に素敵ですね。春の装いをされていて、とてもお似合いでした。そういえば、その昔、その方は、私にお見合いのお話をいくつか持ってきてくださったことが。そのご縁はお断りばかりしてしまいましたわ。。。また、母が言いました。私と出かける時は、祖母が親しくしていた人とどこかで再会するって。祖母が亡くなる前も、母とこうしてよく出かけることはありましたが、祖母と親しくしていた人と、出会うことはありませんでした。祖母が、やはり引き合わせてくれているのかしら。それから、もう一つ。祖母の容態がとうとう悪いという時期だったでしょうか。祖母が大変お世話になっていた方のお孫さまが、突然、私にお花の仕事を持って来てくださったのです。その仕事場というのが、曾祖父が生前、時々お勤めしていたところです。不思議なことでしょう。そして私にとってはまた、忘れられない青春の思い出がたくさん詰まった場所のすぐ近くです。(祖母と私の母校は、同じ)祖母も、その昔、その方について、いろいろとお手伝いしていたようなのですが、それから、何十年かたった今、私は、そのお孫さまのことをお手伝いしているというわけなのです。これも祖母の引き合わせなのでしょうか。本当に感謝したいと思います。いつどこででも、出会いというものを大切にしたいと思ったのでした。それは、きっと未来にどこかで繋がるのですね。どこでかはわからないですが。きっと、どこかで。50年後か100年後かに。。。おばあちゃん、いつも見守ってくれていてありがとう。がんばります。祖母とも、そのうち、どこかで再会できるのでしょう。最後に私が好きな英国詩の中からまた一つ、クリスティーナロゼッティの詩を皆様にプレゼントいたします。この詩を読み返しながら、ふと”薄明かりの中に夢見ながら眠っている”祖母の顔を思い出し、何かしら心が休まるような気がいたしました。そのように穏やかにまどろんでいる祖母は、私の心の中に、確かにいるのだと思ったのでした。SONGby Christina Georgina Rossetti When I am dead my dearest,Sing no sad songs for me;Plant thou no roses at my head,Nor shady cypress tree:Be the green grass above meWith showers and dewdrops wet;And if thou wilt, remember,And if thou wilt, forget,I shall not see the shadows,I shall not feel the rain;I shall not hear the nightingaleSing on, as if in pain;And dreaming through the twilightThat doth not rise nor set,Haply I may remember,And haply may forget.私が死んだら、愛しいあなた悲しみの歌など歌わないでください。薔薇の花も、木陰をつくる糸杉も私の枕辺に埋めたりしないでください。ただ雨露に揺れる緑の芝草を私の上に敷いてください。そして気が向いたら、思い出してくださいね忘れたって、私はかまいません。私はもう暗闇を見ることもなく雨を感じることもなくなるでしょう苦しみに耐えぬように歌い続けるあのナイチンゲールの歌声も聞こえないでしょうそして、日も夜もないあの薄明かりの中にで、うつらうつらと夢見るように時折は、あなたを偲びまた、時に忘れもいたしましょう今日も、皆様にいいご縁がありますように